「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第303話 営業の率先垂範を勘違いしている経営幹部の末路

「前回のコラム記事(301話)に経営幹部の姿勢として、率先垂範が書かれていましたが、そこで質問があります」

 

「我が社では、営業の新規開拓を電話アポイントで行っていますが、率先垂範を意識すると、経営幹部も営業スタッフと一緒になって、電話アポイントをしなければ姿勢は見せられないということでしょうか」

 

これは、率先垂範の言葉の定義が当社と違っていたので、コラム記事で取り上げることにしました。

 

今から述べることは、当社の率先垂範の考え方になりますので、参考になる着眼点があれば、それを意識して取り組んでいただければ幸いです。

 

当社では、営業スタッフが実施している作業を経営幹部も自ら背中を見せて取り組むことを率先垂範とは定義していません。

 

まれに、新規開拓の電話アポイントを経営幹部も一緒になって、営業スタッフに背中の姿勢を見せるために、全員営業と勘違いをされて実施している会社もおられます。

 

このようなことを言葉で伝えると、当社に嫌悪感を持たれる会社もおられます。

 

誤解のないように伝えると、経営幹部が電話アポイントをすることに是非を置いているのではありません。

 

率先垂範という言葉に囚われて、営業スタッフと一緒になって、営業スタッフが実施していることを経営幹部が行うことに疑問があるというだけです。(営業リーダーであれば疑問はありませんが、営業スタッフを5名以上抱えている場合の営業リーダーは対象外にしています)

 

まずは、率先垂範という言葉の前に次の前提が当社にはあります。

 

この前提が機能していない限り、率先垂範は、単なる居心地の良いスローガンだけの言葉だけの発信で終わっているからです。

 

ただ、まじめな経営幹部の方は、この前提を押さえていないので、営業スタッフにパフォーマンスを見せることを目的に、瞬間だけ一緒になって営業スタッフの作業を一緒になって行っています。

 

そう、率先垂範を瞬間的なパフォーマンスにしています。「やっているふり」の「ふり」です。

 

もし、このような状態になっていれば、次に述べる前提を確認していただければ幸いです。

 

【前提】

経営幹部の仕事は「決める」ことである。その決めたことを「任せて実施」するのが営業スタッフの仕事である。

 

この前提を押さえた上で、経営幹部が「任せて実施」の能率を高めるために、新規営業開拓の電話アポイントを瞬間的に指導するのであれば、今回いただいた質問は何も問題はないとうことです。

 

ただ、「決める」ということをせずに、営業スタッフの仕事を手伝うことが率先垂範の見本であると勘違いをしていれば、それは、空回りの元になるということです。

 

経営幹部の仕事は「決める」です。営業スタッフの仕事は「実施」です。

 

文章なので、誤解が生まれそうですが、この実施もやらされ感の実施では、効果は発揮されません。創意工夫の実施が効果を発揮します。

 

この創意工夫の実施ができる組織は、「場づくり」ができている会社になります。(場づくりの説明は今回の記事では割愛します)

 

ちなみに、「決める」の仕事の一例(狭義)としては、年度方針、年間営業戦略、拠点方針等があります。

 

営業戦術は、創意工夫を行い、営業スタッフが改善を加えていきます。

 

では、今回も長文になっていますが、もう少し深堀をしていきます。この深堀を押さえていないと空回りの危険性があるからです。

 

押さえて欲しいことは、2つです。

 

ひとつ目は、「任せて実施」の意味の取り違いです。

 

まれに、「我が社では、営業スタッフに目標数値だけを設定して、後は、自分たちで創意工夫して目標達成をするように自由度を与えて、自由な社風を意識しています」と言われる経営幹部もおられます。

 

この発言には、正解・不正解はありません。その会社がそれを信念にしていれば、何も問題はないからです。

 

ただ、ここに信念があり、「任せて実施」したのであれば、結果責任は経営幹部にあるということも意識できていれば問題はないということです。

 

「えっ、言っている意味が理解できないのですが」という声がきこえてきそうですね。

 

まれに、「任せて実施」と言っておきながら、結果責任を営業スタッフに押し付け、経営幹部は、飴と鞭だけを使い分けていることを仕事にしているケースを見かけるからです。

 

何が言いたいかというと、優れた経営幹部は、「決めた」ことの目標未達は、自らの反省として、目標達成に向けて必死で考えるということをしています。(他人事ではなく、自分事です)

 

言葉は悪いですが、自己評価しか気にしていない経営幹部は、結果責任を営業スタッフもしくは、営業リーダーの責任として、これを責め、自らは必死で考えようとしていないということです。

 

このような状態で、率先垂範を言葉だけ叫んでいても意味はないということです。

 

しつこいですが、経営幹部の仕事は「決める」、営業スタッフの仕事は「実施」が本当に機能しているかです。

 

次にふたつ目です。

 

「関わり」です。

 

経営幹部が決めたことに対して、営業スタッフが実施するにあたって、経営幹部と営業スタッフの関わりは避けて通れません。

 

中堅企業になれば、経営幹部が営業スタッフに、直接、関わることは現実的に無理なので、営業リーダーもしくは、営業所長との関わりになります。

 

では、この関りは、どのように持てば良いのでしょうか。

 

当社が推奨している関わりの4ステップを紹介します。(これは、正解を述べているのではなく、このような着眼点があるという感じで読んでいただければ幸いです)

 

今回は、新規開拓を例にステップを説明していきます。

 

ステップ1は、現実の認識です。違う言葉にすると、現実の「見える化」です。新規開拓において、どのような現実を「見える化」して、営業スタッフと共有化するかということです。(ここを掘り下げると、コラム記事1本になりますので、ここでの詳細は省きます)

 

ステップ2は、現実を認識したうえで、何をするのかを「考える」です。新規開拓においては、どのようにすれば良いのかを仮説を作るということになります。

 

ここが分かれば、新規開拓において、経営幹部が電話アポイントを取るということは、おかしいことに気が付かれるでしょう。

 

なぜなら、経営幹部になれば、電話アポイントよりも、もっと違う良い方法があるからです。営業スタッフは、質より量を追いかける電話アポイントの方法でも良いのですが、経営幹部になれば、量よりも質を追いかける方法を模索した方が成果はでやすいからです。(ここもどのような方法があるのかを掘り下げるとコラム記事1本になりますので、ここでの詳細は省きます)

 

ステップ3は、計画に落とし込むです。期限を決めて、時間軸のストーリにするということです。違う言葉に置きかえると、シナリオづくりです。シナリオで大事になってくるのは、いつまでにという期限も大事になりますが、いつからスタートするのかの開始日も大事になります。この2つがあって、計画になります。

 

ステップ4は、実行と振り返りです。違う言葉に置きかえると、進捗確認と遅れ対策です。言いっ放し、やりっ放しの会社は、このステップ4が疎かになっています。

 

この4ステップを見て、多くの経営幹部の方は、「当たり前のことだよね」と口を揃えて言われます。

 

ただ、これは、あくまでも当社の経験則ですが、多くの会社では、ステップ1とステップ2が曖昧(あいまい)の状態で、ステップ3から取り組まれているように感じています。

 

ひどい場合は、ステップ1とステップ2がなく、ステップ3の数値目標とその数値目標から逆算した行動計画の立案をしています。

 

なぜ、ひどいかというと、ステップ2の考える場づくりがない状態なので、マネジメントとしては、飴と鞭で、営業スタッフの尻たたきしかしていない状態になっているからです。違う言葉に置きかえると、気合と根性の精神論頼みです。(気合と根性も大事なのですが、これだけだと、どこかで疲労がでてきます)

 

長文になっていますが、最後に余談をひとつ入れると、新規開拓は、こなす仕事ではなく仕掛ける仕事になります。

 

仕掛ける仕事は、売上につながるまで時間がかかります。営業スタッフは、数字目標を常に持っているので、目先の今すぐ客のこなす仕事を追いかけていきます。

 

この行動は、悪いのではなく、自然の行動です。なぜなら、仕掛ける仕事ばかりしていては、目の前の売上目標は未達を繰り返すからです。

 

よって、このバランスをどのようにするのかも経営幹部のマネジメント力になります。(ただ、仕掛けるの情報見込み客のストックがたまりだすと、経営の安定につながることが理解できるので、営業スタッフも仕掛ける仕事の重要度を理解していきます)

 

しかし、経営幹部が頭でっかちになると、仕掛ける仕事もこなす仕事も全て全力で取り組めと、営業スタッフに無理難題を押し付けて、人間関係がギスギスしだします。

 

そして、頭の良い営業スタッフは、経営幹部からの無理難題をどうかわすのかという、かわす術だけを身につけていきます。かわす術とは、うその報告や、経営幹部の居心地のよいおべっかを使うということです。

 

こうなっては、本末転倒もいい所です。

 

最後にまとめます。

 

率先垂範という言葉を掲げるにあたって、まずは、その前提が明確になっているかということです。

 

今回の事例で言えば、経営幹部の仕事は「決める」ことであり。その決めたことを「任せて実施」するのが営業スタッフであるということです。ここに仕組み化のメリットがあります。

 

そして、この前提が明確になった後、次の2つに誤解が生じていないかということです。

 

ひとつ目は、「任せて実施」の意味の取り違えです。

 

ふたつ目は、「関わり」です。

 

この2つが、「分かっているつもり」の「つもり」になっていれば、営業スタッフを飴と鞭のマネジメントの力技になる傾向があります。

 

飴と鞭のマネジメントは、経営幹部が若い時はまだ、機能しますが、年を重ねると機能しなくなってきたりします。

 

その理由は、単純に経営幹部の怒る迫力が衰えてくるか、営業スタッフが怒られることに免疫を持ってしまうからです。

 

今回のコラム記事が、率先垂範を大事にしている会社のなんらかの気づきになれば幸いです。

 

追伸)コラム記事に紹介した4ステップですが、この言葉とは違う表現ですが、社是・社訓にして、毎朝唱和している会社があります。

 

この会社の社是・社訓を見た時に、本質を捉えた素晴らしい社訓だと感じました。

 

コラム記事で紹介した4ステップの表現よりも素晴らしい言葉だったからです。ちなみにこの会社の社是・社訓は、短い言葉で5ステップになっています。

 

この社是・社訓が経営幹部だけでなく、末端の社員まで浸透すれば、素晴らしい企業文化の会社になることでしょう。

 

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