仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第304話 営業のマネジメントツールの「見える化」の前に、営業リーダーが押さえて欲しいこと
「中堅企業にもなれば、営業のマネジメントツールにもいろいろな工夫があるのでしょうね」
「我が社でも、営業管理システムを導入して、営業のマネジメントツールの可視化と共有化を図っていけば、営業リーダーの管理力はアップするでしょうか」
若手の営業リーダーに個人の営業力だけではなく、組織力を高めるマネジメント能力を身につけてもらうにはどうすれば良いのかを試行錯誤されている中小企業経営者からいただく悩み相談です。
この経営者は、中堅企業になれば、営業のDX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでいるので、そこから何らかのヒントがあるのではないかと模索されているようでした。
この相談を受けた時に、まず、2つの幻想から目覚めることをアドバイスしています。
ひとつ目は、中堅企業は営業マネジメント能力が高いというのは思い込みであるということ。(社員の人数が多いからマネジメント能力が高いという因果関係は成り立たないということ)
ふたつ目は、中堅企業が現在取り組んでいる営業DXが最先端というのも思い込みであるということ。(営業のDXは単なる手法であり、手法の前に目的の明確化が重要になり、目的を明確にすると案外、営業のDXの前にやることがあるということ)
この2つの幻想の理由を深堀りすると、コラム記事の本題から離れるので、詳細は割愛しますが、まずは、この2つは幻想であることを認識して欲しいということです。
この2つの幻想を認識しても、次に出てくる質問として、「営業のマネジメントが見える化できるツールとしてどのようなものが良いでしょうか」があります。
これは、当社でも、5つのツールの見える化をするだけで、営業力を高めることができるということをセミナーで話しているからだと思います。
そこで、今日のコラム記事もセミナー等で話していない、内容を伝えていきます。
言っていることは当たり前のことのように感じられるかもしれませんが、出来ているのかという視点で聞いていただければ幸いです。
案外、「分かっているつもり」の「つもり」で終わっている可能性があるからです。
では、本題です。
若手の営業リーダーのマネジメント力を高めるために、どのようなマネジメントツールを使うのかという前に大事なことが、ひとつあります。
このひとつを押さえておかないと、どんなに素晴らしいマネジメントツールを使っても空回りする恐れがあるからです。
では、何を押さえておく必要があるのか・・・。
「営業リーダーの視座を月間ではなく、年間でも捉えられるようにする」です。
簡単に言うと、期間軸を月間だけではなく、年間でも見られるようにするということです。
このように伝えると、勘違いしている営業リーダーは、次のように答えられます。
「年間の営業目標の数値を月間に落とし込み、常に進捗を確認しているので、年間と月間の両方をみることができていますので大丈夫です」
この答えは、当社が意図している、年間と月間の両輪が大事であるということが伝わっていません。
今回も長文になっていますが、年間と月間の両輪ができていな事例を紹介します。この事例に該当していないかセルフチェックをしてみてください。
A社では、年間の営業目標売上を月間に落とし込み、月間の目標達成状況について、営業会議を開き、目標未達の原因を確認して、次月の対策を練っていました。
一見、普通のように見えますが、この会議には大きな落とし穴があります。
会議内容のワンシーンです。
ある営業所長のコメントです。
「月間の目標売上を達成するために、当営業所では、売上から逆算をして行動計画に落とし込みをしています」
「具体的には、売上目標から当月の見込み金額を引いて、目標未達の金額を算出します」
「その目標未達の金額を達成するために、必要な見積枚数を逆算して、見積提出先の企業を選び出し、そこにアプローチをして、目標を達成していきます」
「見積枚数は、目標未達金額の3倍に相当する社数を算出して、成約率3割を目指して営業のアプローチ活動を行います」
一見、結果からの逆算で行動に落とし込んでいるので問題はなさそうに感じますが、大きな問題がひとつ隠れています。
その問題が、視座が月間なのか年間なのかということです。
勘の良い方は気づかれたかと思いますが、視座が月間になっていれば、見積提出先の選び出しは、今すぐ客を追いかけるようになるからです。
今月の目標を達成するために、今月に刈り取れる顧客を探すという感じです。
今月刈り取れる顧客がいなければ、来月以降も刈り取れる顧客を探し続けるという行動パターンです。
そう、農耕型営業(種まき→育成→刈取り)ではなく、狩猟型営業(見込み→刈取り)になっているということです。
狩猟型営業が成立するのは、アプローチ顧客の管理顧客が多い場合になります。人間関係だけをしっかりと構築して、訪問量を稼ぐ、御用聞き営業が成立するからです。
管理顧客が少ない場合は、新規のアプローチ営業が必要になります。ただ、この新規も種まき営業ではなく、刈取り営業になるので、成果に結びつく確率論は厳しいことから、営業スタッフは新規アプローチを敬遠しがちになります。
結果、ベテランの営業スタッフは、個人目標達成のために、既存顧客の優良顧客を無意識に囲うようになり、若手との営業成績の格差は広がるばかりになります。(若手に刈取り型の新規アプローチを任せるため)
そして、このような状態の中で、ベテラン営業スタッフは若手に対して、精神論の発破掛けをするので、若手は営業活動に嫌気を指して離職していきます。
なんとなく、当社が言わんとすることは伝わっているでしょうか。
月間の目標必達を追いかける時に、営業リーダーが月間の視座しかないと、「そのうち客」ではなく、「今すぐ客」を追いかける営業スタイルになっているということです。
そう、「今すぐ客」を追いかける営業スタイルです。
結果、見込みがない顧客は継続アプローチをしないので、顧客訪問が流れのある線(種まき→育成→刈取り)の活動ではなく、点(見込み発生)の活動になっているということです。
訪問件数だけを評価している会社の落とし穴としては、線の訪問活動ではなく、点の訪問活動が多くなっているということです。
点の訪問活動は、「今すぐ客」の発見になるので、種まき活動(価値にきづいていただく)ができていないので、価格競争になりやすいということです。
これも、見積もりを出すことの見積提出枚数が目的になっている落とし穴です。
そう、月間思考になっていれば、「今すぐ客」を追いかける営業活動にならざるを得ないということです。
管理顧客が多い営業所であれば、目標数値は何とか誤魔化せますが、景気が落ち込んだ時は、誤魔化しはきかなくなります。
地道に種まき活動の情報見込み客をストックして、線の営業活動ができている営業拠点が長期的にみれば、成果は安定するからです。
この情報見込み客をストックするためには、視座が月間ではなく、年間にする必要があります。
多くは語りませんが、新しい期がスタートする2か月前(4月スタートの会社は2月です)に、年間の増販増客計画と増販増客施策の立案を勧めているのはそのためです。
営業リーダーの視座を月間ではなく、年間にするためです。ここ重要です。
もし、ここで、年間の視座が持てなければ、営業活動は、農耕型営業(種まき→育成→刈取り)ではなく、狩猟型営業(見込み→刈取り)になるからです。
営業現場の実態が、狩猟型営業(見込み→刈取り)になっていれば、仕掛ける仕事の重要性を経営幹部が発信をしても、仕掛ける仕事は言葉だけのスローガンで終わるということです。
これは、営業会議で営業リーダーの発言を聞いていれば、視座が月間なのか年間なのかをすぐに見抜けるはずです。
言葉はきついかもしれませんが、営業リーダー以上の方の視座が月間になっている限り、仕掛ける営業や農耕型営業(種まき→育成→刈取り)は言葉遊びで終わる可能性が高いということです。
追伸1)これは、一倉定さんの著書「一倉定の社長学第2巻 経営計画・資金運用」から引用した抜粋の言葉を以下に記します。
「社長は年単位でものを考える人である。年単位で何年も先を考えるのである。月単位でものを考えたら、何年も先のことなど考えられるものではない」
奥が深い言葉です。誤解のないように伝えますが、一般社員は月間の視座でも問題はないと思っています。
ただ、一般社員を束ねて旗振りを示す役割を担っている営業リーダーになれば、年間の視座は必要になってくると感じています。
経営幹部になれば、年間の視座は当たり前です。ただ、この年間の視座を単なる目標数値のことを言っていれば本末転倒ということです。
ましてや、月間の目標達成だけにこだわっていれば、近視経営に陥り、一般社員と同じ視座になっているということです。この状態で、どんなに素晴らしい方針を発信しても、絵に描いた餅で終わるということです。
追伸2)ここまでコラム記事を読まれた方は、理解できていると思いますが、年間の視座は、単なる数値目標の設定だけではないということです。(これだけだと、年間の視座になっていません)
当社の定義では、年間の視座は、年間目標を達成するためのシナリオづくりです。
そう、シナリオです。
このシナリオづくりに、増販増客の計画と増販増客の施策の見える化が必要になったので、マネジメントツールとして活用しているだけです。
よって、このマネジメントツールを使えば、OKという短絡的なものではありません。ここを経営幹部の方は理解していないと、営業管理システムを導入しても空回りが続くだけになります。
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