「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第395話 「PDCAサイクル」✕「考える文化」で自立型人材を育て、営業力と経営力を飛躍的に向上させるコツ

はじめに

多くの経営者は、「考えて行動する自立型の人材を育成するには、P-D-C-A(マネジメントサイクル)を定着させることが一番の近道ではないか」と考えているようです。

確かにP-D-C-Aサイクルは、業務改善や目標達成を効果的に進めるためのフレームワークとして、多くの企業で導入されています。

しかし、「導入しているのに期待する成果が出ない」「社員の主体性がなかなか高まらない」といった課題に直面しているケースも少なくありません。

そこで本記事では、P-D-C-Aサイクルの落とし穴と、自立型人材を育成するために押さえておきたい2つの重要な着眼点についてお伝えします。

P-D-C-Aサイクルの落とし穴:計画(PLAN)の偏り

まずはP-D-C-Aサイクル自体を簡単におさらいしましょう。

P-D-C-Aとは、計画(PLAN)→ 実行(DO)→ 評価(CHECK)→ 改善(ACT)の4段階を繰り返すことで、業務を継続的に改善していく手法を指します。

多くの企業がこのサイクルを導入していますが、その“運用方法”には大きな差があるのが現状です。

特にありがちなのは「PLAN優位」のサイクルです。

計画段階で売上数値や訪問計画といった“量”の管理にばかり目が向き、肝心の「どんな打ち手を考えて行動するのか」という視点が抜け落ちてしまうのです。

【例】

売上目標を達成するために「顧客訪問を徹底し、提案営業を強化する」という計画を立てるだけでは、どこか精神論的であいまいです。

「年間顧客の増販と増客をどのように進めるか」という具体的な戦略を明確にしないと、結局は行動が続かず成果が出にくいという結果につながりかねません。

自立型人材を育成するための2つの着眼点

こうした計画の偏りを解消し、社員一人ひとりが主体的に考えて行動できるようになってほしい。

多くの経営者や管理者が抱える共通の悩みではないでしょうか。

実は、自立型人材を育てるには、P-D-C-Aサイクルだけでは不十分で、以下の2つの視点が欠かせません。

1) 「仕掛ける仕事」を営業活動に取り入れる 
2) 計画(シナリオ)を立てる前に、「事実を見る」と「事実から考える」

それでは順を追って解説します。

「仕掛ける仕事」を営業活動に取り入れる

営業活動には、大きく分けて「こなす仕事」と「仕掛ける仕事」があります。

●こなす仕事:今までの経験で対応できるルーチンワークや、顧客からの問い合わせに対応するといった日々の通常業務 
●仕掛ける仕事:顧客の需要を喚起し、新たな価値を提案することで見込み客を成約につなげるなど、積極的に市場を開拓する活動

多くの企業では、どうしても日常業務である「こなす仕事」が優先されがちです。

その結果、「仕掛ける仕事」に割ける時間が不足してしまい、意図的に新規顧客を増やしたり新提案を考えたりする余裕が生まれません。

ここでポイントになるのが、“増販(既存顧客のプラスαの需要を喚起する)”と“増客(新規顧客の需要を掘り起こす)”という考え方です。

主力製品やサービスの魅力を活かし、既存顧客にはさらなる購入意欲を喚起し、新規顧客には新しい価値を提案して関係性を築く。

それを実現するためのシナリオを描き、実行に移すプロセスこそが「仕掛ける仕事」なのです。

計画(シナリオ)を立てる前に、「事実を見る」と「事実から考える」

「仕掛ける仕事」を増やそうと思ったとき、大切なのは“まず現状を正しく把握すること”です。

いわゆる“思い込み”だけで目標を設定してしまうと、実際の顧客動向や市場ニーズとずれた計画を立ててしまい、結果的に成果が出ずに終わってしまう恐れがあります。

そこで重要になるのが次の2ステップです。 

1)「事実を見る」:マネジメントツールを活用して客観的なデータを収集する。たとえば、顧客の購買履歴、市場動向、競合他社の動きの顧客情報や、自社営業担当の行動履歴などを丹念に分析し、新たなビジネスチャンスや課題を洗い出す。 
2)「事実から考える」:集めたデータをもとに、「なぜこのような結果が出ているのか」「今後どのような対策が必要なのか」といった深い考察を行い、実行可能なアクションに落とし込む。 

この「事実を見る」「事実から考える」という2つのステップがしっかり機能している会社は、いわゆる「考える場づくり」がきちんと確保されています。

つまり、社員が自らの観点で意見交換し、新たなアイデアを生み出せる環境が整っているのです。

こうした場が存在しないと、自立型人材を育てる土壌は生まれにくく、結果的に“一部の優秀な社員にだけ依存してしまう組織”になる恐れもあります。

「考える場づくり」の重要性

「考える場づくり」とは、社員が自由に意見交換を行い、互いに学び合いながら新しいアイデアを生み出す場を組織の仕組みとして整えることです。

言い換えれば、「事実を見る」「事実から考える」のプロセスを組織全体で共有できるようにすることでもあります。

たとえば定期的なミーティングや勉強会を設定し、経営者や管理者も積極的に参加する形をとると、“現場の声”との距離が近くなり、より実践的なアイデアが生まれやすくなります。

この仕組みが機能しないまま、いくら素晴らしいマネジメントツールや営業管理システムを導入しても、思い通りの効果は期待できません。

ツールに頼るだけではなく、いかに社員一人ひとりが「考え、発言し、行動する」文化を根付かせられるかが鍵となります。

 P-D-C-Aサイクルの超基本的事項のセルフチェック

P-D-C-Aサイクルが活きる組織をつくるためには、以下の“超基本的事項”がきちんと徹底されているかを確認してみてください。

1) 営業活動の計画(PLAN)があるようでない状態 

●日々の営業活動が惰性や受動的な形になっていないか。 

●当月の重点活動の施策を全員が理解し、どんな成果を目標としているかを明確に把握しているか。

2) 営業活動の記録(日報など)をつけている(DO)が、CHECK段階で「何が良かったのか」「何が悪かったのか」を振り返れていない 

●形だけの日報になっていないか。 

●振り返りが「成長のための場」であるという認識が共有されているか。

3) お客様の新たな課題を発見(DO)しても、営業マン個人の頭の中だけで終わっている(ACT)になっていないか 

●新しい課題を組織全体で共有し、売上やサービス改善につなげる仕組みがあるか。 

●社員個人の洞察が組織に還元され、次の計画(PLAN)に反映される流れをつくれているか。

これらのポイントをセルフチェックするだけでも、組織としてのP-D-C-Aがしっかり回っているかを見直すきっかけになります。

年間顧客の増販と増客を考えるマネジメントツールの活用

最後に、P-D-C-Aサイクルをより効果的にするために欠かせないのが、年間を通じた「増販と増客」を明確に考えられるマネジメントツールです。

これがない状態だと、計画(PLAN)は常に場当たり的になり、その場しのぎの営業活動に終始しがちです。

たとえば、年間の販売施策を一覧化できるシステムや、営業活動の進捗・成果を定期的にビジュアル化して確認できるツールを導入するだけでも、「今年はどのタイミングで新規提案を強化すべきか」「どの顧客層を重点的に開拓すべきか」が見えやすくなります。

こうした情報に基づいて仮説を立てることで、より実践的な計画が立案でき、現場のモチベーションにもつながりやすいでしょう。

まとめ:P-D-C-Aサイクルを“考える文化”の土台に

P-D-C-Aサイクルは決して「計画と数値管理」をするためだけの仕組みではありません。

本来は「考える場づくり」と「仕掛ける仕事」を支援し、組織全体に“考える文化”を根付かせる土台となるものです。

これを活かすも殺すも、現場で働く社員の意見を取り入れ、経営者や管理者が率先して対話を重ねる姿勢にかかっています。

もし「P-D-C-Aを導入しているけれど期待した成果が出ない」と感じているなら、まずは「事実を見る」「事実から考える」のプロセスを強化してみてください。

そして、「こなす仕事」だけでなく「仕掛ける仕事」にも時間を投資し、より戦略的な営業活動を目指すことをお勧めします。

ツールやシステムの導入も、その上でこそ本来の力を発揮するはずです。小さな見直しを積み重ねて組織全体のPDCAをアップデートしていくことで、社員が主体的に行動し、経営目標を達成するための強い組織に生まれ変わっていくでしょう。

 

「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方を学ぶセミナーは、こちらをクリック!