「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第436話 成果が出ないのは営業戦略のせい?否、鍵は社員の主体性を引き出す「場づくり」にあり

はじめに

目まぐるしく変化する市場、激化する競争、そして守るべき社員の生活。

中小企業の経営者、あるいは組織を率いる管理職の皆様は、会社の舵取り役として、常に最善の戦略や戦術を模索し、その実現のために膨大な時間と情熱を注いでおられることと存じます。

新しい手法を取り入れ、改善を繰り返す。

これは、企業が荒波を乗り越え、持続的に成長していくためには、決して欠かすことのできない営みです 。

しかし、時には、どれだけ知恵を絞り、力を尽くしても、期待した成果に結びつかない現実に直面することがあります。

「練りに練ったはずの戦略が、どういうわけか現場で空回りしている」「以前は活発だった会議から、斬新なアイデアがめっきり出てこなくなった」「社員たちの間に、どこか指示待ちというか、『やらされ感』が蔓延している気がする」

そんな、目に見えない壁に突き当たったような感覚を覚えたことはございませんか?

もし、少しでも思い当たる節があるならば、今、皆様が目を向けるべきは、新たな戦略や戦術そのものではなく、これまで見過ごされてきたかもしれない「もう一つの、しかし決定的に重要な視点」なのかもしれません 。

戦略の効果を「倍増」も「半減」もさせる、見過ごされがちな要素

私たちが、組織として、あるいはチームとして成果を最大化するために、戦略や戦術(=「やり方」)と同じくらい、いや、時としてそれ以上に重要視すべき「もう一つの着眼点」。それが「場づくり」です 。

「場づくり」と聞くと、単に「職場の雰囲気を和やかにすること」「風通しを良くすること」といったイメージを持たれるかもしれません。

もちろん、それらも大切な要素の一部ではあります。

しかし、ここで私たちが注目したい「場づくり」とは、もっと深く、組織の成果に直接的な影響を与える、戦略的な概念なのです。

「場づくり」とは、「企業が持続的に成長するために不可欠な要素」であり、「社員の主体性と能動性を引き出し、アイデア創出や試行錯誤を促進し、共通認識の醸成や問題改善、マネジメントの質向上、組織文化の変革を促す」力を持つものと定義されています。

そして、この「場」の状態こそが、どんなに優れた戦略や戦術(=「やり方」)であっても、その効果を劇的に増幅させもすれば、逆に著しく減退させもするのです 。

少し具体的に考えてみましょう。例えば、あなたが導入しようとしている新しい営業戦略や生産プロセス改善策があるとします。この「やり方」自体が持つ、潜在的な改善効果が「1.5」だと仮定しましょう 。

さて、この「やり方」を導入した時、あなたの会社の「場」は、その成果にどのような影響を与えるでしょうか?

もし、あなたの会社の「場」が、社員一人ひとりの自発的な意見や提案を歓迎し、失敗を恐れずに前向きな試行錯誤ができるような土壌、つまり「場づくり」が「1+1=2以上」を生み出すようなポジティブな状態であればどうでしょう 。

その「やり方」(改善効果1.5)は、社員たちの主体的な工夫や協力によって、期待を大きく上回る「3.0」といった高い成果を生み出す可能性を秘めています 。

まさに、「場」の力が戦略のポテンシャルを最大限に引き出し、増幅させるのです。

逆に、もしあなたの会社の「場」が、新しい挑戦に対してどこか冷ややかで、「余計なことはするな」という空気が漂っていたり、部門間の連携が悪く情報共有が滞っていたりするような、いわば「場づくり」が「1+1=0.5以下」しか生み出せないようなネガティブな状態だったらどうでしょうか 。

せっかく導入した「やり方」(改善効果1.5)も、その本来の力を全く発揮できず、「0.75」といった、導入前とさほど変わらない、あるいはそれ以下の低い成果に甘んじてしまうかもしれません 。

組織の「場」が、戦略の効果を打ち消し、成果を大きく目減りさせてしまうのです。

これは、戦略論や戦術論だけを追いかけていては見えてこない、しかし、多くの組織が直面しているであろう、もう一つの厳しい現実と言えるでしょう。

どれほど優れた「やり方」を選び取ったとしても、それを受け止め、活かす「場」が整っていなければ、成果は決して最大化されないのです 。

優れた「場」が組織にもたらす、具体的な3つの恩恵

では、「場づくり」が機能し、組織が良い状態にある時、具体的にどのような恩恵がもたらされるのでしょうか? その恩恵を以下の図にまとめました。

メリット1:『情報空間』からアイデアを引き出すことができる

組織の「場」が、役職や部門に関係なく、情報がオープンに交換され、多様な意見や視点が自由に飛び交う場所になっていると想像してみてください。

そこでは、単に個々人の頭の中にある知識だけでなく、組織全体に蓄積された暗黙知や、さらには外部からもたらされる新しい情報までもが自然と集まり、結びつきやすくなります。

まるで、組織全体がアクセスできる「情報空間」という名の巨大な知識ベースから、必要な知見や、これまで誰も思いつかなかったような斬新なアイデアを、自在に引き出すことができるようになるのです。

これにより、予期せぬイノベーションの種が生まれたり、多角的な視点からの本質的な問題解決が可能になったりします。

メリット2:外部の知恵(コンサル等)との『掛け算』のアウトプットが生まれる

外部の専門家、例えばコンサルタントの知見を導入しようとする際も、「場」の状態は決定的な役割を果たします。

組織の「場」が開かれており、外部からの新しい視点や知識を「自分たちにはないもの」として素直に受け入れ、それを自社の状況に合わせて咀嚼し、社内に蓄積された知見と積極的に組み合わせようとする文化があればどうでしょう。

コンサルタントが提供する情報は、単なる一方的なアドバイスに留まらず、社内の多様な「脳」と化学反応を起こし、1+1が3にも5にもなるような、想像を超える大きなアウトプットを生み出す可能性が高まります。

逆に、場が閉鎖的であったり、外部に対して「どうせ現場のことは分からないだろう」といった不信感が根強かったりすれば、どれほど優秀な専門家を招いても、その知恵を真に活かすことは難しいでしょう。

メリット3:「どうせ無理」を乗り越える、『試行錯誤の推進力』が生まれる

これは、特にリソースに限りのある中小企業にとって、極めて重要なポイントと言えるでしょう。

変化の激しい時代において、常に新しい挑戦や改善を続けることは、企業の存続と成長に不可欠です。しかし、「どうせやっても上手くいかない」「前に似たようなことを試して失敗したから」といった、挑戦する前から諦めてしまう空気が組織に蔓延していては、未来を切り拓くことはできません。

優れた「場」とは、失敗を単なる「ダメな結果」として終わらせず、「なぜ今回はうまくいかなかったのか?」「次はどこをどう変えれば、もっと良くなるだろうか?」と、原因と結果の間にあるプロセスに目を向け、粘り強く考え、果敢に次のアクションを試すことを奨励する場所です。

この、いわば「試行錯誤の推進力」とも呼べるエネルギーこそが、組織の学習能力を高め、変化への適応力や、真のイノベーションを生み出す原動力となるのです。

社員一人ひとりが「まずはやってみよう」「失敗から学んで次に活かそう」と自然に思えるかどうか。それが、企業の未来を大きく左右すると言っても過言ではありません。

「場づくり」こそが、持続的成長への道を拓く鍵

これら3つのメリットの根底に共通して流れているのは、「社員一人ひとりの主体性と能動性をいかに引き出すか」というテーマです。

優れた「場」は、社員が「言われたからやる」という受け身の姿勢(やらされ感)ではなく、「この組織をより良くするために、自分に何ができるか」という内側から湧き上がる意欲(当事者意識)を持って仕事に取り組むことを可能にします。

その結果、組織全体のエネルギーが高まり、多様なアイデアが生まれやすくなり、現場レベルでの問題が自律的に発見・改善され、管理職のマネジメントもより本質的なものへと進化し、やがては組織全体の文化そのものが前向きで活力に満ちたものへと変革していく。

これらはすべて、企業が予測困難な外部環境の変化に柔軟に対応し、時には厳しい逆境をも乗り越え、持続的に成長を遂げていくために、絶対に欠かすことのできない要素なのです。

戦略や戦術が、目的地へと向かうための「航海図」だとすれば、「場づくり」は、その航海図を実現するための「船そのものの性能」であり、荒波に立ち向かう「乗組員の士気」であり、未知の海域へも果敢に漕ぎ出す勇気を与える「羅針盤」のようなもの、と言えるかもしれません 。

どんなに精密な航海図があっても、船が老朽化していたり、乗組員たちの心がバラバラだったりしては、決して目的地に辿り着くことはできないのです。

皆様が目指す経営目標の達成、そしてその先にある企業の持続的な発展のためには、最新の経営理論や競合の動向分析に加えて、この「場づくり」という視点が不可欠です。それは、皆様が描く戦略を、単なる「絵に描いた餅」に終わらせず、現場で躍動する「血の通った活動」へと昇華させ、社員一人ひとりが持つ無限のポテンシャルを最大限に解き放つための、最も強力なレバーとなり得るのです 。

今一度、自社の「場」に、そっと意識を向けてみませんか?

そこは、社員たちが目を輝かせ、自らのアイデアを語り合い、困難な課題にもチーム一丸となって立ち向かえるような、生命力あふれる「場」になっているでしょうか?

それとも、無意識のうちに、社員たちの意欲の芽を摘み、新しい挑戦を躊躇させてしまうような、淀んだ「場」になってはいないでしょうか?

この「場づくり」への意識的な取り組みと投資こそが、これからの不確実性が高まる時代において、皆様の企業が確かな成果を出し続け、さらなる飛躍を遂げるための、最も賢明な一手となるはずです。

まずは、自社の「場」が、社員たちの主体性や前向きな試行錯誤を後押しするものになっているか、それとも、新しい「やり方」の効果を阻害する要因となってしまっていないか、率直に現状を見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか 。

そのための具体的な問いかけや、組織の状態を可視化するチェックリストを作成してみるのも有効な一歩となるでしょう。

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