仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第143話 営業目標達成と営業ノルマの違いについて本当に理解しているか
先週のコラムを読まれた、クライアントの営業マンから、「乾先生の言っている意味がものすごく分かります」という言葉をいただきました。
先週のコラムでは、「○○する」の姿勢を持つか持たないかで、営業目標達成の半分は決まるという話でした。(忘れた方は、先週のコラムをもう一度お読みください)
そして、その営業マンから、「これって、営業をノルマと考えているのか、目標達成と考えているのか違いですよね」との言葉もいただきました。
この営業マンの方は、30代前半の方ですが、私自身がその内容を聞いて、「なるほど」と感じましたので、今回のコラムはその内容をシェアします。
その営業マンの方は、自分の体験事例を用いながら、私に次のように説明をされました。
営:「乾先生が我が社に来られる前は、所長から当月の営業課題が提示されて、その課題を取り組むための訪問リストを与えられていました」
乾:「例えば、どのような営業課題ですか」
営:「例を挙げれば、○○商品の値上げ交渉等です」
乾:「なるほど、その営業課題に取り組むために上司から、値上げ対象先のリストをもらってアプローチしていたのですね」
営:「はい、そうです」
乾:「課題が明確で、リストまで展開されて素晴らしいのですが、何か問題でもあるのでしょうか」
営:「乾先生が当社に来る前までは問題とは思っていませんでしたが、今は問題であったということが良く分かるようになりました」
乾:「えっ、どういうことですか」
営:「リストはもらうのですが、訪問の結果だけを重要視され、やり方の訪問先の優先順位や価格交渉の話法やツールは自分で工夫しろということでした」
乾:「やり方は、自分達で考えると言うことは、考える力がついて良いことじゃないですか。上司も部下の方に考える力をつける工夫をされているのですね」
営:「実は、そうじゃないのです。話法が思いつかないときに、上司に相談しても自分で考えろと言われて終わりです。上司も自分の目標達成に一生懸命で、部下の成長には構っていられないようです」
営:「そして、上司自身もやり方の具体論は持っておらず、得意先との人間関係で交渉しているような感じでした」
乾:「じゃあ、営業力ではなく、人間力を磨けということですね」
営:「はい、得意先に好かれていれば、交渉はできるという考え方でした。だから、訪問リストを渡されて終わり・・・でした」
乾:「なるほど、実態を理解できました」
営:「だから、リストをもらって創意工夫もなく訪問するだけなので、訪問がノルマのように感じていました。とりあえず、もらった訪問リストは、全て回らないといけない・・・という感じです」
営:「だから、営業は楽しいものではなく、ノルマという認識がものすごくありました」
乾:「なるほど、営業=ノルマという認識が頭の中でできあがっていたのですね」
営:「でも、乾先生が、当社にきてからは、営業がノルマという認識が変わりました」
私:「どういうことですか」
営:「今までは、リストを上司から貰って、終わりでしたが、そのリストに対して、どのような話法でどのようなツールの工夫を行うのか議論をするようになったので、営業が少し面白くなりました」
乾:「営業が面白くなったということですか」
営:「はい、議論をすることで色々なアイデアが浮かび、自分の工夫次第で顧客の反応が変わることを理解することができるようになったからです」
乾:「ということは・・・」
営:「リストの顧客を訪問するだけというやらされ感から、仕事を楽しむという感覚が分かりました」
乾:「それが、ノルマと目標達成の違いということですか」
営:「はい、ノルマとは、目標達成できるか分からない状態でも、取り敢えず何かをやらなければいけないというものだと思っていました。今回の例で言えば、取り敢えずリストの顧客を訪問するという形です」
営:「そして、目標達成とは、目標達成するストーリーが見えて、そのストーリーにチャレンジすることであることが分かりました。乾先生が当社に来ていただいて、ストーリーを営業メンバーで考えるようになり、それを実践して振り返りを行い成長を実感できたので、そのことが理解できるようになりました」
乾:「深い気づきですね」
営:「はい、営業をノルマと考えていれば、その呪縛から脱出することができなかったです。しかし、目標達成の考え方を理解できると、営業を楽しむことが出来るようになりました」
以上、長文になりましたが、クライアントの営業担当者と私の会話のやり取りを描写させていただきました。(詳細のやり取りは紙面上、割愛しています。要点のみの記載です。)
最後の「営業を楽しむことが出来るようになりました」の言葉をもらった時は、思わず胸が熱くなり、コンサルタントとしての充実感を得ることができました。
今回は、営業担当者の方が、「ノルマ」と「目標達成」の違いについて、自分の体験を通じて言語化をしていただいた事例です。
恐らく、この営業担当者の方は、この「考え方」が定着したので、この方が上司になった時は、部下の指導方法は変わることが予想できます。
訪問リストを部下に渡して、「しっかり訪問しておけよ」の「ノルマ方式」の営業のやり方は実施しないでしょう。
ただ、営業管理システム(SFA)の営業プロセスの数値だけを管理している営業マネジャーは、このような「ノルマ方式」パターンに陥っている可能性があります。
多額の営業管理システム(SFA)にお金を投資しても、「ノルマ方式」になっていれば、恐らく効果は出ないでしょう。なぜなら、営業管理システム(SFA)投資以前の問題だからです。
あなたの会社の営業責任者は、「ノルマ」と「目標達成」の違いについて理解しているでしょうか。
この考え方の違いだけでも、営業成績に大きな差が生まれることでしょう。
