仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第232話 営業の仕組み構築の新規顧客開拓で見落としていること
「営業の仕組みづくりにおいて、特定多数に対応することの重要性は理解できました」
「特定多数にするためには、新規顧客獲得の増客が大事になるということですね」
前回のコラムを読まれた方から上記の感想をいただきました。
「はい、そうです」と言いたいところですが、実は、上記の言葉のやり取りにも落とし穴があります。
今回のコラムは別の記事を書く予定にしていましたが、急遽、上記の感想についての落とし穴について書くことにします。
コラム読者の方も、新規開拓について、その落とし穴にハマっていないか、念の為にチェックしていただければ幸いです。
では、上記のやり取りで何が落とし穴なのか・・・。
何だと思われます・・・。
それは、新規顧客開拓=特定多数という考え方です。
違う言い方をすれば、新規顧客開拓の数を増やすということです。
「えっ、言っている意味がわからないのですが・・・」という声が聞こえてきそうですね。
今から言うことは、正解・不正解を言っているのではなく、当社の経験から導いたひとつの考え方になりますので、このような着眼点があるという視点で聞いていただければ幸いです。
当社の新規顧客開拓の考え方は次の通りです。
「新規顧客開拓は、数を追うものではない」
「狙った業界、客層(ポテンシャル金額)等の狙いを絞って開拓すること」と定義しています。
簡単に言えば、狙ったところを取りにいくという発想です。
少し雑談になりますが、10年前に起こった事例を紹介します。
ソフトウェア関連を販売しているA社は、新製品を使って、新規顧客の開拓をすることになりました。
その当時は、電話及び飛び込み訪問等の手段で開拓を行っていました。
この時の新規顧客開拓の戦略は、新製品なので、とりあえずたくさんの顧客を獲得してこいという大号令がかかっていました。
顧客獲得のやり方は、電話や飛び込み以外は営業個人の裁量に任せて、キャンペーン的に社内を盛り上げる形で行っていました。(何社獲得できれば、○○賞みたいな感じです)
結果どうなったか・・・。
新規顧客は獲得できましたが、経営的には大きなマイナスを引き起こすことになりました。
そう、大きなマイナスです。
どういうことかと言うと、戦略は営業担当者に任せていたので、営業担当者がとった行動は、訪問しやすい顧客にアプローチをしていたということです。
営業担当者が訪問しやすい顧客とは、小規模で提案力よりも人間関係と低価格の訴求でなんとかなるところを狙っていたということです。
小規模なので、決済スピードが早いのと、決済者との人間関係が重要になるので価格訴求力をメインにして顧客開拓を行っていました。
価格訴求をメインにしていた理由は、安い取引ができたというイメージを決済者に持っていただき、決済者の社内の評価をあげていただくことが狙いになっていました。
結果、新製品の受注ではなく、安価で利益額が少ない既存製品が売れることになりました。
安価な製品を入り口にして、新製品を売るシナリオで営業していればよかったのですが、小規模企業を相手にしていたので、新製品は売れず、利益が少ない製品だけが売れました。
結果、客数が増える事は良かったのですが、利益率が低い製品だけの販売になっていたので、売上以上に仕事量が膨大に増えて、儲からないジレンマに陥っていました。
忙しいけど儲からないということです。
売上高は増えましたが、営業マン一人当たり稼ぐ利益額は増えておらず、結果、残業代だけが大幅に増えていたので、経営的には何をしているかわからない状態になっていました。(利益以上に人件費が増えていた状態です)
「そんな会社はないでしょう」という声が聞こえてきそうですが、文章にすれば、大袈裟なように見えますが、案外このようなことが起こっているのではと感じています。
これは、経営幹部(拠点長含む)の新規顧客開拓の戦略があるかないかだけの違いだと当社は考えています。
この例は、新規顧客開拓に戦略がないという典型例を紹介しました。
新規顧客開拓を数だけ増やせば良いというのは、厳しい言葉で言えば、戦略がない典型例だということです。
一般例として、新規開拓でスピードを要する場合、営業担当者は小規模で安価な価格を切り口で勝負する場合が多いと感じています。
その理由のひとつは、決済スピードが早いからです。
かたや、中堅企業規模で、ポテンシャル金額が高い会社へのアプローチは、ハードルが高く、決済までに時間がかかります。
そして、顧客獲得までのシナリオを考える必要があり、仕事としては、時間がかかり面倒臭い取り組みになります。
よって、営業担当者は本能的に面倒臭いことは避けたがります。
しかし、顧客開拓に成功すれば、将来的には受注金額が増えて、営業的には楽になります。
頭では理解することができますが、さて、あなたの会社では行動はできているでしょうか。
当たり前のことですが、行動に移すためには、戦略のシナリオが必要です。
新規開拓においては、最低でも、狙う業界、狙う客層(ポテンシャル金額)は決める必要があると当社は考えています。(現実は、営業スタッフのやる気を高めるために、狙う客層は複数に分けて取り組んでいます。すぐに獲得できる小規模も含んでいるということです)
これが決まれば、次に増客の施策の立案になります。
増客の戦略がないのに、施策を電話や新規飛び込みに決めているのはおかしな話です。
今日は、もう少し雑談にお付き合いください。
これは、年間売上目標設定にも同じことが言えるからです。
年間売上の増販(既存顧客売上)が60%以上を占める会社には次の質問をしています。
1、今期の年間売上目標はいくらですか。
2、その売上の内訳で増販(既存顧客売上)の金額と、増客(新規顧客)の金額は、いくらになりますか。
3、それを達成するために、増販と増客の施策はどのようなことを行いますか
4、ちなみに、増販と増客の施策で昨年と違うことは何ですか(同じ施策でも目的や取り組み項目が違えば、そのことの発表で大丈夫です)
5、最終的に、売上の構成を見て、どの業界とどの客層のシェアを伸ばそうと考えていますか。
過去にこの質問をある会社に行いました。
そうすると、ある経営幹部は、1の質問には即答されましたが、2の質問に対しては、次のように答えられました。
「そんなもの、やってみないと分からないよ、やる前の皮算用をやるよりも、目の前のことに対して全力で取り組むことが大事だよ、コンサルタントは頭でっかちだな」と言われました。
この答えに、当社は正解・不正解は求めません。なぜなら、考え方は、会社が自由に選択できるからです。
ただ、この会社は、年間売上目標を月別目標に落とし込み、営業担当者には次のように話をされていました。
「月間売上目標を達成するためには、結果から逆算して、そのギャップを埋める行動のシナリオを考えて、行動しないいといけない」
「だから、月間の行動計画はものすごく大事になる、お客様から言われて行動するという、受け身の営業ではダメだぞ、分かっているな・・・」
ここまでで、何か矛盾は感じないでしょうか。
経営幹部は、増販と増客のシナリオはやってみないとわからないので、考えても無意味であると言っているのに、部下に対しては、結果から逆算して月間のシナリオをしっかり考えろと言っているのです。
経営幹部は年間のシナリオを作っていないのに、部下に対しては、月間のシナリオの構築を要請しています。
百歩譲って、「月間の目標はやってみないと分からないから、目の前の仕事に全力で取り組もう」と言っているのであれば、話は分かります。
コラム読者の会社では、このようなことは起こっていないと思いますが、新規顧客獲得の特定多数も単なる掛け声ではダメだということです。
そう、年間の戦略のシナリオがあるかということです。
既存顧客売上が60%以上ある会社では、増販の戦略は必須です。
当社では、増販の戦略を語ってもらうために、年間顧客の増販シートと、年間の増販・増客施策シートを使ってシナリオを語っていただきます。
このシナリオを語る時に確信のある言葉、あるいは、やり切るという腹決めをした言葉であれば、目標必達に近づきます。
ただ、この時点の言葉で、「そんなのは絵に描いた餅だよな〜」という考えが少しでもあれば、目標必達は程遠くなります。
これが分かりだすと、当社のクライアントにおいて、年間の目標達成は、やってからではなく、やる前が重要になることを理解される経営幹部が多くなりました。
蛇足ですが、確信のある言葉にするために、シナリオを具体的にしていきます。
明確さは力なりです。
具体的にすれば、安心感が生まれ、振り返りの時に何を改善すれば良いかが、わかるからです。
曖昧な状態だと、何を改善して良いのか分からないので、最後は、気合と根性で乗り切ろうとします。
営業では、これがまかり通りますが、製造の工程で気合と根性で不良率を改善しますと言えば、気が狂っているのかと言われます。
これが、営業の七不思議です。
コロナ渦であれば、年間のシナリオをどのようなものを持つのかが重要になります。
そして、シナリオができれば、それをやり切るという、リーダーの腹決めとリーダーシップが必要です。
部下は、リーダーの背中を見て育つからです。
さて、このコロナ渦で、あなたの会社はどのような年間のシナリオを作っていますか。
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