「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第481話 「訪問件数を増やせ」が会社を疲弊。 中小企業が3×3の法則で“質のある顧客接点”を作る方法

「先月より訪問回数が上がったのに、なぜか売上が伸びない」

「部下は毎日歩いているのに、お客様の反応が天と地ほど冷たい」

「数字は増えた。なのに、現場の空気だけが重くなっていく」

「これ以上何をすればいいのか、正直分からなくなってきた」

もしこのいずれかに“うちのことだ”と感じる部分があるなら、この記事を最後まで読んでください。

「訪問件数を増やす」ことが目的化してしまう罠に、中小企業の営業現場は非常に陥りやすい構造になっています。

その構造を打破する鍵が、これから解説する「3×3の法則」の正しい使い方にあります。


セクション1:経営者が陥る「行動量」という名の罠

実際にあった営業会議の一幕をお伝えします。

社長:「先生、先月の訪問件数は目標を超えました。今月もどんどん行動させます」

コンサルタント:「訪問件数が増えて、お客様の反応は変わりましたか?」

社長:「……売上はまだ数字になっていないですね」

コンサルタント:「そこが落とし穴です。件数を増やすこと自体が目的になっていませんか?」

訪問することは「手段」です。

お客様に変化をもたらすことが「目的」のはずです。

しかし多くの中小企業の現場では、「訪問回数を達成すること」自体が目標に化けてしまいます。

「件数の目標は達成した。でも、売上は動かない」

このパラドックスの根本には、手段と目的の入れ替わりという落とし穴が隠れています。

セクション2:「動いているのに変わらない」を生む「4つの連鎖」

訪問件数だけを管理の軸にすると、現場は次の流れで崩壊していきます。

① 「件数のための訪問」への変質

訪問ノルマが先にあると、訪問先の質を考える余裕がなくなります。

欲求が顕在化している客も潜在的な客も関係なく、とにかく足を運ぶようになります。件数は出る。

しかし成果には結びつかない。

② 「何かありませんか」巡回の定着

訪問目的が曖昧なまま現場に出ると、「印象を悪くしたくない」という心理から警戒な会話に終始します。

顧客の内心を動かす情報は何も引き出せず、日報には「定期訪問」の文字が並ぶだけです。

③ お客様に「またあの業者」と思われる

訪問内容が浅いまま繰り返されると、お客様に「この人は何をしに来るのか」という疑念が芽生えます。

信頼の蓄積どころか、訪問のたびに相手の警戒感が強まっていきます。

④ 「疲弊感だけが残る」組織の崩壊

「どうせ訪問しても何も変わらない」というあきらめの感覚が組織全体に広がると、営業メンバーは「とにかく件数だけこなせばいい」という義務感だけで動くようになります。

熱量のない訪問が続き、成果もさらに出なくなる。

そして、まだ可能性を信じられる優秀な人材から先に組織を去っていく。

そんな悪循環へと組織は静かに崩れていきます。

訪問件数だけを管理する限り、この連鎖は永遠に切れません。


セクション3:そもそも「3×3の法則」とは何か

この法則を正しく理解するには、まず「成約率には2種類ある」という前提を押さえる必要があります。

■ 成約率は2種類ある:「今すぐ客」と「そのうち客」

多くの営業リーダーが「成約率を上げたい」と言うとき、その頭の中にある成約率は1種類だけです。しかし実際には、成約率には2種類あります。

1. 「今すぐ客」の成約率

すでに購買欲求が顕在化しており、見積もり依頼の段階にある顧客への成約率。

既存の上得意顧客や引き合い案件がこれにあたります。

2. 「そのうち客」の成約率

まだ購買欲求が潜在的で、こちらから課題に気づかせ、育てていく顧客への成約率。

これが真の提案営業の対象であり、営業組織の実力が問われる領域です。

多くの会社では、この2種類を混在させたまま成約率を管理しています。

その結果、ベテラン営業スタッフが上得意顧客を囲い込んで高い成約率をキープし「営業力が高い」と評価される一方で、若手が育たず組織の底上げが起きないという現場を数多く見てきました。

真の営業力が問われるのは、「そのうち客」をどれだけ成約に導けるかです。

ここを理解せずに営業管理システムを導入すると間違ったKPI(重要業績評価指標)で営業単担当の能力を過大評価して、本当の営業力を見誤ることになります。(特にいい顧客を持ったベテラン営業スタッフの過大評価です)

■ 3×3の法則の構造――「逆算の公式」

「3×3の法則」は、次の逆算の公式です。

1社の成約を得るには、3社から見積もりをもらう必要がある。

3社から見積もりをもらうには、9社の「情報見込み客(そのうち客)」が必要になる。

つまり「3(見積もり)×3(情報見込み)=9社の種まき」という逆算の構造です。

成約率30%の「3割バッター」を育てることが、この法則の目的です。(今すぐ客ではなく、そのうち客を成約に導く3割バッターです、今すぐ客だけの3割バッターは優秀とは言えません)

ここで多くの経営者が見落とすのが、「9社の情報見込み客」の意味です。

「取り敢えず9社リストアップした」では意味がありません。

情報見込み客とは、顧客情報を基に将来、見積提出まで可能性がある顧客のことを言います。
ここは、あくまでも仮設レベルで大丈夫です。

ただ、適当にリストアップするのではなく、顧客情報等の意図を持ったリストアップになっているかをチェックしてください。

このことからあえて、リストアップ顧客といわずに情報見込み客という名前にしています。

そして現実の現場では、この情報見込み客が、そもそも2〜3社しかいないのに「そのうち客の攻略は難しい」と諦めてしまうケースが後を絶ちません。

種まきの数が足りなければ、どれだけ良い提案をしても成約は安定しません。

セクション4:「法則を正しく使った」ときに何が変わるか

■ 磨耗の時期:「数字だけを追いかけた」結果

金属部品の商社で営業部長を務める齊藤氏(仮名)は、数年前まで「属人化の王様」と呼ばれたエース営業マンでした。

彼が動けば必ず注文が入る、それが会社の常識でした。

齊藤氏が部長に昇進し、3×3の法則を「導入した」のですが、実際には訪問件数の総数の管理を強化しただけでした。

「今すぐ客」と「そのうち客」の区別も曖昧なまま、情報見込み客の数や質は誰も管理していない。

訪問総数の件数は増えたのに、売上は全く伸びない。

現場は静かに疲弊していきました。

法則を理解せずにたんなる訪問件数の総数の「数字」だけを追い、「逆算の設計」を置き去りにしていたのです。

■ 潮目の転換:「逆算」と「そのうち客の質」に気づいた瞬間

転機は、コンサルタントから問いを投げかけられたときに訪れました。

「今、そのうち客の情報見込みは何社ありますか。9社いますか?」

齊藤氏はすぐに答えられませんでした。

実際に接触を重ねているそのうち客は、担当者一人につき2〜3社しかいない。

「9社の種まき」に対して、実態はその3分の1以下だったのです。

「種まきが足りなければ収穫は生まれない。

3×3の法則は訪問件数ではなく、情報見込み客の数と質を問う法則だったのか」、齊藤氏はここで初めて法則の本来の意味を腑に落としました。

そこから、3つの「質の制度」を整備しました。

1,「そのうち客リストの見える化」

各担当者が現在アプローチ中の情報見込み客を一覧化し、9社に達しているかをチームで確認。今すぐ客と明確に分けて管理する。

2.「訪問前の目的言語化」

訪問の前日に「この顧客の課題の輪郭をどこまで把握できているか」「今日の訪問で何を確認するか」を1行で書いてから訪問するルールを導入する。

3,「そのうち客の状態変化を共有する場がくり」

週1回、各担当者が「情報見込み客の変化(欲求が顕在化しそうな兆し)」を話す小さな共有の場を設ける。

導入から3か月後、齊藤氏はこう語ってくれました。

「部下が自分のそのうち客リストを意識して動くようになった。

9社の種まきを意識するだけで、提案する顧客の選び方が変わり、見積もり依頼の数が増えてきました」と。

セクション5:逆説的な真実:「訪問量」ではなく「種まきの質と数」が勝負

事例から学んでほしい逆説的な真実があります。

「訪問回数を増やしても、そのうち客の情報見込みが9社揃っていなければ、成約は永遠に安定しない」

ひとつのたとえ話をお伝えします。

農家は収穫量を増やしたいとき、「毎日畑に通う回数を増やす」とは考えません

まず「何粒の種を、どの土壌に蒔くか」を設計します。

種まきの数と質が先にあり、日々の作業はその種を育てるためにある。

営業も同じです。

「そのうち客9社への種まき」という設計が先にあり、訪問はその種を育てる行為です。

3×3の法則が問うているのは、まず「あなたの種まきは9社分、揃っていますか」ということです。

セクション6:今日から始める「1つの処方箋」

まず、今日この1つだけ確認してください。

あなたの営業スタッフのそのうち客(情報見込み客)は、今何社ですか?

9社に満たないなら、そこが出発点です。

次の3ステップで始めてください。

1,「そのうち客リストを紙1枚で見える化する」

各担当者が現在アプローチ中のそのうち客を一覧にする。

今すぐ客と混在させず明確に分け、9社いるかどうかをまず確認する。

2,「情報見込み客の『状態』を記録する」

「訪問した・していない」ではなく「顧客の欲求がどこまで顕在化しているか」を一言メモで管理する。

3,「週1回、そのうち客の変化を話す場がくりをする」

訪問件数の確認ではなく、「情報見込み客の状態が変化した兆し」を話す場を設ける。

この気づきの共有がチーム全体の提案精度を高めていく。

「場がくり」と「そのうち客の見える化」。

この2つが整ったとき、3×3の法則はようやく本来の力を発揮し始めます。

まとめ:「訪問件数」の前に、「種まきの設計」を問い直せ

「3×3の法則」は、訪問件数を増やすための公式ではありません。

「そのうち客9社への種まきを設計し、成約率30%の3割バッターを育てる」ための逆算の法則です。

この法則を「件数管理」として使う限り、現場の疲弊は止まりません。

問い直すべきは、「あなたの営業スタッフのそのうち客リストに、今何社の情報見込み客がいるか」です。

その答えが9社に満たないなら、まず種まきの設計から始めてください。

「何社訪問したか」より先に、 「何社のそのうち客に種を蒔いているか」を問うてみてください。

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