仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第271話 営業の「見える化」で、何を「見える化」に、こだわると失敗する理由
「知っている」を「分かっている」にするためには、上司と部下が共通認識で何を「見える化」すればよいのかを理解しました。
そこで、相談なのですが、我が社の営業チームの底上げをするために、何を「見える化」すればよいのか相談に乗ってもらうことはできますか。
コラム記事を読まれた方からの質問です。
これは、次の図を見られた方から良くいただく質問です。
何を「見える化」すれば、成果につながるのかという着眼点です。
当社としては、「見える化」のマネジメントツールとして、「誰でも成約達人」シートをご紹介しているのですが、個別コンサルを実施する時には、見える化をする前に、ある3つのことを確認してもらっています。
実は、この3つが機能していない状態で、どんなに素晴らしい「見える化」のマネジメントツールを導入しても空回りに終わる可能性が高いからです。
今回は事例を交えながらその3つを紹介していきます。ただ、これも正解・不正解を述べているのではなく、このような着眼点があるという感じで聞いていただければ嬉しいです。
この着眼点に、コラム読者の会社の業績アップに何らかのヒントがあれば幸いです。
事例は、守秘義務がありますので、少し脚色をして公開します。伝えたいニュアンスが伝わればよいと思っているからです。
国内に複数拠点(10拠点以上)を持つメーカで起きていた事例です。
この会社では、期末に年度の反省項目の発表があります。チャレンジした項目について、何が課題になって、来年はどうするのかという発表です。
多くの会社で取り組まれている内容です。
そこで、複数の拠点の所長から次のような発表がありました。
「今期は、設備メンテナンスの増販における、新しいメンテサービスの提案による受注獲得ができていなかったので、来期はそこに力を入れて頑張ります」
まあ、この発言そのものが、あいまいな言葉なので、大問題なのですが、今回は、「見える化」をする前の着眼点を伝えるコラム記事なので、ここはさらっと流していきます。
まずは、「見える化」をする前に押さえて欲しい一つ目の着眼点です。
1.実際に活用しているマネジメントツールはどのようなものがあるのか
この活用とは、そのマネジメントツールを見ている頻度が決まっているのかということです。
そう、頻度です。
この会社では、営業管理システムを導入していましたので、多くのマネジメントツールが存在していました。
でも、1拠点だけ、マネジメントツールをほとんど使っていませんでした。
実際にあったツールは、新しいメンテサービスの受注獲得目標件数と金額だけが分かるツールでした。後は、その目標に対しての結果がどうなったかということが分かるものしかありませんでした。
しかも、この進捗を四半期で確認していたわけでもなく、年度末にようやく実績確認をしていた状態でした。(営業所の全体売上と主力製品の販売台数しか管理していなかったからです)
当然、マネジメントができていないので、来期の課題を設定しようにも、何をしていいのかわからない状態で、取りあえず、数値目標だけは設定している状態でした。
嘘のような話ですが、実例です。会社がマネジメントツールは用意しているが、所長はそのツールを使わず、結果の管理もろくにしていないのに、来年の取組みチャレンジはそれらしきことを「しれっと」発表していました。
次に2つ目です。
2.活用しているマネジメントツールの着眼点を持っているか
これは、2拠点で発生していました。
2拠点とも進捗の課題を把握するマネジメントツールは素晴らしいものを持っていました。(見る頻度も決まっていました)
特にこのマネジメントツールは、単なる売上の数値目標だけが分かるものではなく、顧客の顧客情報がしっかり分かり、何が課題なのかを特定することができるツールになっていました。
キーマンの情報もしっかり取得出来ていて、所員の方は、単なる訪問で終わるのではなく、顧客情報の収取をするということが徹底されていました。
しかし、素晴らしいマネジメントツールがあるのに、営業所長は、課題の事実を把握できていませんでした。
最低でも、四半期単位で、課題の把握ができていればよかったのですが、実際は、年度末にも課題を把握しておらず、ただ、マネジメントツールを見ているという状態で終わっていました。
これは、素晴らしいマネジメントツールはあるが、何が課題なのかを所長が着眼していなかったので、課題を把握できていない事例です。
結果、課題を見ているようで、見ていない状態になっていました。
素晴らしいマネジメントツールがあっても、着眼が無ければ、課題を把握することはできないということです。
そして、マネジメントツールのシート構成よりも、所長がどのような着眼でそのツールを見ているかで、成果は変わってきます。
具体的には、見積提出枚数だけの着眼で良いのかということです。どこにアプローチするのか。方法はどのような方法なのか、見積もり提出後決まった成約の成約率は何件か、また、決まらなかった理由は何か・・・。
蛇足ですが、成果が出ている会社では、決まった理由よりも決まらなかった理由を大事にしています。そこに、成果を上がるための課題のヒントがかくれているからです。
着眼点としては、失注の理由を意識しているということです。
最後に3つめです。
3,課題を通じて、年間の計画を立案して、それが行動変容になっているか
この会社では、ここが一番の課題になっていました。
「見える化」したマネジメントツールを見て何が課題であるのかを把握している所長は多かったのですが、この課題を年間計画に落とし込むところが弱く、結果、行動変容にはつながらず、日々のルーチン業務で終わっている拠点が多かったのが現実です。
これは、頭では、課題を年間計画に落とし込むという重要性は理解しているが、日々の業務に忙殺され、こなす仕事で目一杯な状態になっていたからです。
そこに、所員にあれもこれもやれと言うと、現場が混乱するので、なかなかそれをするのができなかったということを会議で所長は口を合わせて言われていました。
言いたいことは、良く分かります。ただ、よくよく聞いていると、課題を年間計画に落とし込むことをやっていて、出来なかったというのであればいいのですが、現実は、忙しいことを理由に課題を年間計画に落とし込むことをやっていなかったというのが実態でした。
この実態がばれると、所長が仕事をしていないと思われるのがいやなので、現場が大変なことを理由に言い訳をしているように第三者からは見えていました。
ただ、複数拠点もあると、なかには、課題を年間計画に落とし込むことをしっかり実践している所長もおられました。
その所長が口を合わせて言われるのは、「社員の行動変容なしには組織は成長をしません、こなす仕事も大事ですが、目的を持った行動で何かにチャレンジすることで人は成長します、その指揮を任されているのが我々の役目です」ということです。
本当に頭が下がります。
そして、この所長たちは、次にこのようなことを言っていました。
「この計画も、月間も大事ですが、年間ベースで作ることが大事ですね。乾さんが良く言っている売上から逆算したシナリオですよ」
「特に新規開拓の製品別の目標金額を行動計画に落とし込むと、こんなに行動することは絶対に無理になっちゃうのですよ。一つの製品で良ければいいのですが、色々な製品があるので・・・」
「そうすると、所員には、計画を作ったからこの通りにやれとは言えないのですよ。なぜなら、絵に描いた餅で終わるからです」
「そこで、我々の出番になります」
「忙しいからこそ、何を重点に置いてチャレンジ項目を設定するかです」
「このチャレンジ項目が社員の成長につながり、組織の成長につながるからです」
「そして、このチャレンジ項目を何にするのかがリーダーの役割になりますからね、そして、このチャレンジ項目を真の課題を把握しておかないとブレブレになりますから・・・」
「それから、年間ベースで作るところの良いポイントは、こんな計画は厳しいということが分かるので、期首からスタートダッシュになるということです。他の拠点は期首から3か月後にエンジンがかかっていますが、うちの拠点は期首からエンジン全開ですよ、この2か月の差って、年間で考えると結構でかいのですよ」
長い事例になりましたが、この会社ではここが一番の課題であったということです。
そして、これを実行している所長は、月間ベースの計画よりも年間ベースの計画と課題を押さえた重点取組を設定していました。
これを作っていれば、四半期単位で進捗を把握することができるからです。
さらに、計画があるので、思うように進んでいないことも分かります。年間計画でできている所長でも半期の重点取組課題の進捗率は10%~30%未満が現実です。製品によっては0%もありました。(売上の進捗ではなく、チャレンジする重点取組課題の進捗です)
ただ、何ができていないのかを四半期単位でわかるので、優先順位の変更や方向性の再確認ができているというのは、言うまでもありません。
長文になりましたが、ここまでが事例です。
最後にまとめます。
マネジメントツールの「見える化」をする前に押さえて欲しいことの3つです。
1.どんなマネジメントツールを現在、活用しているか。この活用は使用頻度が明確になっていなければ、使えていないということです。
2.現在活用しているマネジメントツールの着眼点は何かを言えるか。この着眼点が成果を大きく分ける項目になります。個々任せか、組織でそのノウハウを共有するかの違いです。
3,マネジメントツールで課題を把握すれば、年間計画に落とし込み、それが、行動変容につながっていることを確認しているか。どんなに素晴らしいマネジメントツールで分析ができても、行動変容がなければ成果は出ません。できる所長は、ここを確実に押さえています。(口だけの評論家ではないということです)
以上、伝えたかったのは、この3つです。この3つを伝えるために、長文の事例を使いました。
逆に、この3つが上手く運用できている会社に、営業管理システムを導入すると、成果が加速することは、言うまでもありません。
追伸)今年も長文のコラムの購読をいただきありがとうございました。このコラムが何らかの気づきになれば幸いと感じ、約5年間にわたって掲載してきました。
5年になるので、少し、節目にしたいと考えています。よって来年度以降は、このコラムは、決まった配信ではなく、不定期にしていきます。
気まぐれに配信しますので、気が向けば、たまに遊びにきてください。それでは、良いお年を!
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