「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第409話 顧客の願望を深掘りする営業戦略で、中小企業の独自価値を際立たせ、価格競争を抜け出す方法とは

はじめに

多くの中小企業経営者の方々が、「価値提案型企業」を目指しながらも、実際の営業活動では価格競争に陥りがちだと感じていらっしゃるのではないでしょうか。

名刺にどれだけ素晴らしいキャッチコピーを並べても、現場では価格訴求や担当者個人の人間関係に依存した営業スタイルになってしまう――そんなジレンマを抱えている企業は少なくありません。

今回は、そうした状況を乗り越えるために必要な「価値の見える化」を中心に、営業の組み立て方をご紹介します。

営業トークの前に「価値の見える化」が不可欠

「営業トークを強化すれば売上は伸びる」という期待から、ひたすら営業トーク研修を行う企業は多いものの、実は思うような成果が出ないケースが目立ちます。

なぜでしょうか。最大の理由は、製品やサービスが顧客にどのような価値を提供できるかが社内で明確になっていないからです。

いくら営業スキルを研磨しても、「価値」が共有されていなければ、結局は価格と担当者の個人的魅力だけに頼った営業になりかねません。

「見える化」の落とし穴

「うちは製品カタログや提案書も充実しているから大丈夫」と安心してはいないでしょうか。

実は、単に資料を整備しただけでは十分とはいえません。

カタログや提案書に書かれた製品特長が、顧客の悩みや願望と結びついてこそ、本当の「見える化」が成り立ちます。

営業研修の現場では、営業スタッフが「製品の特長」「顧客メリット」「顧客の悩み」をバラバラに捉えてしまい、結果として「顧客は何を求めているのか」を正しく理解しないまま提案してしまうケースが多いのです。

顧客が買うのは「モノ」ではなく、その「モノ」で解決できる悩みや、その「モノ」で実現できる希望(コト)です。この視点が抜け落ちていると、提案書やカタログが形だけ充実していても、顧客にとっては訴求力に欠けるものになってしまいます。

価値の基本型:「悩み・願望」と「提供価値」の分離

では、どうすれば「価値の見える化」を進められるのでしょうか。

ポイントは、顧客の「悩み・願望」と、それに対する「提供価値」をはっきり区別して整理することです。

たとえば、以下のように分けて考えてみてください。

・顧客の悩み・願望:林道の奥深くのキャンプ地で自然を満喫したい 

・提供価値:4WD機能

研修では付箋を使って「価値」を書き出すことがよくありますが、そこに「悩み・願望」と「提供価値」が混在して書かれてしまうことが多々あります。

結果として、「どんな顧客に、何を届けたいか」が組織として共有されず、営業力を統一的に高めるのが難しくなるのです。

独自の価値は「悩み・願望」に宿る

実は、自社の独自性が最も際立つのは「提供価値」よりもむしろ「顧客の悩みや願望」そのものにあります。

なぜなら、顧客が他社製品では満たされなかった願望や悩みを見つけ出して、それを優先的に解決できれば、たとえ価格が少し高くても魅力的な提案として受け入れられる可能性が高いからです。

競合他社を分析してみると、往々にして同じような機能やサービスばかりを並べている場合があるでしょう。

もし自社がまだ十分に注目されていない顧客の悩みに着目できれば、そこから大きな強みを生み出せます。

また、営業力の弱い競合の拠点があるならば、重点的にアプローチするのも効果的です。

曖昧な言葉を排除し、具体的なイメージを

価値を伝えるときに「高品質」「スピーディ」「柔軟対応」などの曖昧な言葉ばかり並べてしまうと、顧客の頭の中に具体的なイメージが浮かびにくくなります。

「わかりやすい資料で説明」「導入後のサポートが実際に週1回」など、できる限り具体的な表現に置き換えることを意識してみてください。

さらに、顧客事例を「見える化」して提示するのは非常に有効な手段です。

同じ業界の成功事例や、導入後にどのような問題が解決したかなどを具体的に示すことで、相手は「自分ごと」として捉えやすくなります。

営業の基本型を確立し、応用力を磨く

価値の基本型である(1)顧客の悩み・願望、(2)提供価値、(3)具体的な顧客事例を自社内で確立している企業は、営業力の底上げが早いです。

なぜなら、営業スタッフが「基本形」をベースに自分の個性や経験をうまく融合させることで、より説得力のある提案ができるからです。

トップセールスのなかには社交性の高いタイプもいれば、口数は少なくとも顧客の悩みに深く入り込んでいく内向的なタイプもいます。

いずれにせよ、しっかりと価値の基本形を理解してさえいれば、それぞれの長所を生かした営業スタイルを築くことが可能なのです。

組織のノウハウとして「営業の型」を蓄積

「価値の基本型」に基づき、顧客の悩み・願望、提供価値、そして具体的な顧客事例の3点セットをまとめた営業ツールを作成しておくのがおすすめです。

これらのツールが充実していけば、組織全体で共有できる「営業の型」が生まれます。

この「型」は、単にマニュアルとして使うだけでなく、新人が早期に戦力化するためのガイドにもなります。

さらに、蓄積された情報をもとにすれば、次の製品開発や新たなサービス提案にも役立ち、企業全体の成長サイクルを加速させられるでしょう。

営業と技術の連携を強化

「見える化」された提供価値は、営業チームと技術チーム双方にとっての共通言語となります。顧客の声を踏まえた具体的な改善ポイントや新機能のアイデアなどが共有しやすくなることで、製品開発の方向性がより明確になります。

たとえば、「顧客からこういうリクエストがあった」「この機能を追加すると新規顧客を狙える」など、技術スタッフにも“実感”を伴う俯瞰視点が伝わりやすくなるのです。

営業戦術:「何を」するのかではなく「なぜ」するのか

「営業戦術をどう組み立てるか?」と質問すると、多くの方が具体的な施策ばかりを想像しがちです。

しかし、もっと重要なのは「なぜそれを行うのか」という目的意識です。

目的を明確にしなければ、どれほど優れた施策も、ただの作業で終わってしまいます。

営業戦術の3ステップ

1) 営業戦術の考え方の言語化:

まず、自社における「営業戦術」という言葉の定義をはっきりさせる。 

2) 真の課題の特定:

定義を実践のなかで検証し、顧客や現場の声を拾いながら真の課題を見抜く。 

3) 具体的な戦術の実行:

真の課題を解決するための方法を組み立て、実際に動かす。 

多くの企業は、1)と2)を省いていきなり3)を始めてしまいます。

結果として「思ったように成果が出ない」「なぜ駄目だったのか分からない」という事態に陥りがちです。

 

顧客視点の欠如は致命的

戦術を立案するうえで、最も避けたい失敗は「顧客視点をまったく考慮しない」ことです。

経営者や営業担当者にとって、自社製品やサービスは日々の仕事の中心ではありますが、顧客にとっては数ある選択肢の一つにすぎません。

顧客が何を欲しているのか、どんな悩みを持っているのかに好奇心を持ち、深く知ろうとする姿勢がなければ、抜本的な解決策は見いだせません。

まとめ

売上を伸ばすには、とにかく「営業トーク」を磨けばいいわけではありません。

まずは、自社の製品やサービスが持つ「価値」をきちんと「見える化」し、その価値が顧客の悩みや願望と結びついているかを確認することが大切です。

では何から始めるか。以下のステップがヒントになります。

1. 顧客の悩み・願望と提供価値を明確に区別する。 
2. 具体的な顧客事例を提示し、顧客のイメージを喚起する。 
3. 営業の基本型を確立し、組織全体で共有する。 
4. 営業と技術の連携を強化し、製品開発に顧客視点を取り入れる。 
5. 営業戦術の目的を明確にし、真の課題を特定する。 

こうした取り組みをコツコツと進めていくことで、価格競争から抜け出し、企業としての独自の強みを活かした持続的な成長が可能になるでしょう。

経営者や管理者の皆様が、このポイントを社内で実践していただくことこそが、次の成長フェーズへの一歩となるはずです。

ぜひ、ご自社の営業体制を今一度見直し、顧客の悩み・願望に寄り添った「価値提案型企業」への道を模索してみてください。

 

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