仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第397話 外部依存から脱却し、“現場主導の育成システム”で凡人をエースに育てる:中小企業が巻き起こす営業改革の第一歩
はじめに
多くの中堅・中小企業では、「営業力の強化」を経営課題として掲げていることでしょう。
研修プログラムの充実や外部コンサルタントの力を借りるなど、さまざまな取り組みを行う企業も少なくありません。
しかし、こうした取り組みだけでは、期待する成果を得られない場合が多いのが実情です。
本稿では、中小企業が社員の成長を後押しし、組織として「売れる体制」を構築するためにどんな本質的な考え方やステップが求められるのか、具体的に解説していきます。
「研修」だけで終わらせないために必要な仕組み
「営業スタッフの能力を高めるために研修を充実させたい」という経営幹部の声はよく耳にします。
ところが、研修メニューの作成や有名な講師による講義に力を入れても、その知識やスキルが現場で活用されなければ、結局は投資がムダになりかねません。
研修とはあくまで知識を身につける手段であり、成果に結びつけるためには、継続的に「体験」する場が不可欠です。
一度研修を受けて終わりにするのではなく、ロールプレイングを重ね、実際の営業シーンで試して、さらに振り返る。
こうしたサイクルが存在してはじめて、学んだ内容が血肉となります。
「体験 × 回数 = 記憶の定着」がカギ
学習したことを実務に生かすには、ある程度の反復練習が避けては通れません。
とくに営業のスキルは、座学だけで完璧に身につくものではなく、「やってみる→振り返る→もう一度やってみる」の繰り返しこそが上達の秘訣です。
しかし、上司の指導を行きあたりばったりで、「社員の自主性に期待する」だけでは、十分な練習機会が確保できないケースが多いのも事実です。
研修受講だけで終わるのではなく、組織として「練習環境」を設計することが必要です。
社内指導者をどう育てるか
効果的な訓練プログラムを導入している会社に目を向けると、新人をメインに指導する役割を入社1〜3年程度の先輩社員が担っている場合が多いです。
ベテランや経営幹部による指導はどうしても抽象論になりがちで、新人にとっては「大切なことはわかるけれど、実際にどう動けばいいの?」とイメージしにくいことがしばしばあります。
一方、つい最近まで新人だった先輩は、つまずきやすいポイントや具体的なアドバイスを、自身のリアルな経験にもとづいて伝えられます。そのため、新人が「次はこれをやろう」と行動に移しやすくなるのです。
属人化から脱却して「凡人でも成果を出せる」仕組みへ
若手社員の成長が著しい会社は、優秀な人だけが結果を出せるのではなく、“凡人でも成果を出せる訓練プログラム”を整えています。
採用した社員を組織内でしっかりと育て上げるため、優秀な経営者は研修を含めた「仕組みづくり」に惜しみなく力を注ぎます。
さらに、他社の成功事例をただ真似するのではなく、自社の事業内容や組織の状況に合わせてカスタマイズしている点も見逃せません。
共通の成功要素を参考にしつつ、そこに自社ならではのノウハウを加え、日々ブラッシュアップしていくことが重要です。
こうした姿勢が、確かな成果へとつながっていくのです。
「営業の仕組みが無い」は本当か?
「当社には営業の仕組みがない」と嘆く経営者の言葉を聞くことがあります。
しかし、営業スタッフが2名以上いて「今日は何をしたらいいですか?」という問いが毎日出ないような会社には、何らかの仕組みがすでに存在すると言えます。
たとえば、営業会議の頻度や、見込み客へのアプローチ方法など、明文化されていないだけで何らかのルールや慣習があるはずです。
問題は「全く無い」ことではなく、その現状の仕組みがどのように機能しているかを正確に認識していない点にあります。
属人的になっている部分が多い場合、それを助長する環境自体が“仕組み”として出来上がってしまっているともいえます。
営業マニュアルは「評価」ではなく「現状認識」のツール
営業マニュアルと聞くと、「チェックリスト的に使って、できていない社員を評価・批判するためのツール」というイメージがあるかもしれません。
しかし本来、マニュアルは自社の営業活動を体系的に整理し、「分かっているか」「知っているか」「できているか」を可視化する手段です。
マニュアルを使ってできていない箇所を明確にし、それに対して実践訓練やOJT、社外研修など、最適な打ち手を検討する――これが正しいアプローチです。
現場を一斉に改善するための指針として、マニュアルを活用していただきたいところです。
経営幹部の役割は「改善・改革」を決め、共感を得ること
経営幹部や営業責任者の重要な仕事の一つが、組織の営業体制を「現状維持でいくのか、改善に向かうのか、あるいは改革に踏み切るのか」を期の初めに決断することです。
この意思表示が明確でなければ、社員もどの方向に進むべきか迷ってしまいます。
根本的な改革に乗り出す場合、「2〜3人の仲間」がいれば社内は自走し始めるとよく言われますが、これはそれだけ共感を得る相手を社内に見つけられれば、変革は大きく動き出すという意味です。
一方で、経営幹部が権威や威厳を振りかざしすぎると、周囲にはイエスマンしか残らず、実態のない協力体制に終わる危険もあります。
仲間づくりのためには、自分自身も学ぶ姿勢を持ち、社内外の意見を取り入れる柔軟さが求められます。
まとめ:自責の試行錯誤と「決める」ことの大切さ
社員育成において「何をするか」を決めることや、自社内で訓練プログラムを本気で取り組むという“経営者の強い意志”こそが、最終的には最も重要な要素となります。
外部の研修やコンサルタントに依存するだけではなく、自社ならではのやり方を模索し、「ちょっと進んでいる人」を最高の講師として活用することも重要です。
こうした地に足の着いた取り組みは、凡人であっても成果を出せる仕組みを生み出し、社員一人ひとりの成長を支える基盤となります。
もちろん、改善や改革に「正解」はありません。
試行錯誤を繰り返しながら、自社に合った仕組みを作り上げていくのが企業経営の面白さであり、難しさでもあります。
しかし、そのプロセスを、他の誰かのせいにするのではなく「自分たちの手でなんとかする」という“自責の姿勢”で乗り越えようとする企業だけが、強い営業力を備え、持続的な成長へとつながっていくのです。
あなたの会社が、単なる研修や外部依存の施策にとどまらず、“本気で自社内の育成プログラムを回していく”道を選択したとき、そこには大きな飛躍のチャンスが待っています。
ぜひこの機会に、自社の仕組みをあらためて振り返ってみてはいかがでしょうか。
そして、小さな一歩でも踏み出してみることが、営業力強化の大きな一歩となるはずです。
