仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第364話 カタログ営業の失敗と顧客視点の落とし穴
本コラムでは、過去のコラム(第83話)「カタログ営業がダメな本当の理由とは」の概要と、記事内のQ&Aを以下にまとめました。
コラム記事83話→リンクはこちらをクリック
【コラム記事の概要】
本記事は、乾経営コンサルティングが執筆した営業に関するコラムで、カタログ営業が成果を生み出せない理由を分析しています。顧客視点ではなく製品視点に偏ったカタログと、顧客の理解が不十分な営業担当者の姿勢が、営業活動の失敗を招く要因になっていると指摘しています。具体的な改善策としては、顧客の悩みや願望をしっかりと把握し、それらを解決する価値提案を明確に示す営業ツールの活用と、顧客主体の営業姿勢を確立することの重要性を訴えています。
【コラム記事のQ&A】
■ はじめに
カタログ営業とは、製品カタログを中心に自社の製品・サービスを説明しながら営業を行う手法です。一見、製品の特長やスペックを一覧できて便利そうですが、実際には思うような成果が出ないケースが多々あります。なぜカタログ営業は効果を発揮しづらいのでしょうか。本FAQでは、カタログ営業の落とし穴と、顧客視点の営業に転換するうえでのポイントを解説します。
Q1. なぜ、カタログ営業は効果が出にくいのでしょうか?
A1. カタログ営業が効果を出しにくい主な理由は、以下の2点です。
1つ目は、製品カタログが「製品視点」で書かれていることが多い点です。多くのカタログでは、製品の機能や特長が中心になり、顧客の具体的な悩みや願望との関連が明確に示されていません。その結果、顧客に「これは自分の問題を解決してくれる」「自分にも関係がある」と感じてもらいにくく、共感を得づらくなります。さらに、カタログの表現があいまいな場合、顧客に具体的な活用イメージを持たせるのが難しくなります。
2つ目は、営業担当者が「説明すること」を目的化してしまう点です。本来は、顧客の課題やニーズを深く理解してから、製品の価値を提案することが求められます。しかし、「とにかくカタログを使って説明する」という姿勢になってしまうと、一方的な押し付けに終始し、顧客の関心を引き出す前に営業トークが完結してしまいます。
Q2. 製品視点と顧客視点の営業の違いは何ですか?
A2. 大きな違いは「何を中心において営業するか」にあります。
・製品視点の営業:
製品の特徴やスペックを詳しく説明することに重点を置くスタイルです。カタログの仕様や機能説明に時間を割き、顧客の置かれた状況や悩みを先に把握しないまま話を進めがちです。そのため、顧客にとっては自分には関係のない長い説明を受けているように感じる恐れがあります。
・顧客視点の営業:
顧客の悩みや願望、置かれている状況を深く理解することに重きを置きます。そのうえで、顧客のニーズに合った解決策や価値を提案し、質問形式の営業トークなどを通じて、潜在的な欲求を引き出す手法です。顧客の現状に合わせて内容をカスタマイズするため、「自分に必要な情報を提案してもらっている」と感じてもらいやすくなります。
Q3. 製品カタログが顧客視点になっていないとは、具体的にどういうことでしょうか?
A3. 製品カタログが顧客視点になっていない状態とは、機能や特長を説明するだけで終わっており、「その製品を使うことで顧客がどんなメリットを得られるのか」が曖昧になっていることを指します。
たとえば、自動車の場合に「高性能なエンジンを搭載」とだけ記載するのではなく、「燃費が向上し、毎月のガソリン代を〇〇円削減できるため経済的です」のように、顧客にとっての具体的な便益を示す表現に変えることが大切です。また、顧客の抱える課題や願望と製品がどのようにリンクしているのかを具体的に示すことで、顧客は「自分事」としてカタログの内容を捉えやすくなります。
Q4. 営業担当者が「説明していきます」という姿勢の問題点とは何ですか?
A4. 「説明していきます」という姿勢は、営業の主体が自社(営業担当者側)になってしまうところに問題があります。本来、営業の主体は顧客であるべきです。営業担当者の役割は、まず顧客が抱える問題や望んでいることを聞き出し、理解することです。そのうえで、顧客に合った解決策や価値を提示します。
「説明していきます」という言葉自体からは、“こちら側が一方的に話す”というニュアンスが強く伝わり、顧客にとっては押し付けられているように感じられやすいのです。最初の姿勢としては、「顧客のニーズや願望を理解してきます」という意識を持つことが重要になります。
Q5. 顧客視点の営業を実現するためには、どのようなツールが必要ですか?
A5. 顧客の悩み・願望、提供できる価値、そしてそれを裏付ける具体事例をセットにした「提案ツール」が欠かせません。具体的な例としては、A3用紙1枚に必要情報を整理した「価値提案シート」があります。
このシートには、
・顧客が抱える主な課題 (悩みと願望)
・その課題を解決する自社製品の特長や導入メリット
・実際の導入事例や成果(数字や具体的事例)
などを分かりやすくまとめます。さらに、営業トークを質問形式にし、「どの点でお困りですか?」などと問いかけることで、顧客が自分の悩みや潜在的なニーズを自然に口にできるように誘導するのも効果的です。
Q6. カタログ営業から脱却するために、最初に何をすべきですか?
A6. まずは、自社のカタログや提案資料が「顧客視点」になっているか、徹底的に見直してください。具体的には、製品の機能・スペックを並べるだけでなく、顧客が得られるメリットや価値をきちんと明示し、事例や数字を用いて分かりやすく伝えるよう修正しましょう。
次のステップとして、営業担当者に対して「顧客ニーズを理解する姿勢」の重要性を教育します。ロールプレイを実施して、顧客の課題をどのようにヒアリングし、提案に活かすのかを体験してもらうことも有効です。
Q7. 営業トークを改善するよりも先に、取り組むべきことはありますか?
A7. はい、あります。営業トークをテクニック的に改善しようとしても、土台となる「顧客視点の提案資料」と「顧客を理解しようとする姿勢」が欠けていると効果は限定的です。まずは製品カタログや提案資料を顧客視点に作り替え、あわせて営業担当者が「説明すること」よりも「顧客を理解すること」を重視するよう意識づけを行いましょう。これらの準備が整って初めて、質問の仕方や話し方の改善が活きてきます。
Q8. 「理解して理解される」という考え方は、営業においてどのように重要ですか?
A8. 「理解して理解される」というのは、営業プロセスの最も基本的かつ重要な姿勢といえます。営業担当者はまず、顧客が感じている課題やその背景、そして潜在的な願望をじっくり理解することが欠かせません。そのうえで、自社の製品・サービスがどのように役立つのかを的確に説明することで、顧客からも「この人は自分のことをわかってくれている」と理解されやすくなります。
もし顧客を理解しないまま製品を一方的に説明し続けると、顧客は「押し付けられている」「自分には関係がない」と感じやすく、信頼関係や購買意欲にはつながりません。したがって、「まず顧客を理解し、その後、自社の価値を伝える」という順序と姿勢が、営業の成果を大きく左右します。
■ おわりに
カタログ営業から脱却し、顧客視点の営業へとシフトするためには、まずは自社の資料・カタログを点検し、顧客が感じる価値を明確に打ち出すことが重要です。そして、営業担当者自身も「説明していく」のではなく「理解していく」というスタンスを徹底し、顧客に寄り添った提案を行いましょう。そうすることで、顧客との関係性が強まるだけでなく、最終的には商談の成約率も高まっていきます。
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