仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第307話 営業研修のメニューの体系を充実させれば社員は成長しますか
「営業スタッフの営業能力アップに研修メニューを作ろうと考えているのですが、階層別にどのようなものが必要になるでしょうか」
社員数が増え、上司に任せっきりのOJT(実務を通じての教育)だけでは、社員の成長スピードにばらつきが出るので、基本の教育だけは差が出ないようにしたいと考えている経営幹部からの相談です。
もう少し詳しく聞いてみると、教える上司によって、指導方法がバラバラで、社員が分かったつもりの「つもり」で終わり、特に若手の成長スピードのばらつきが激しいとのことでした。
結果、上司の指導方法よりも、若手の営業センスが良いかどうかが、成長スピードの重要な要素になっていました。
そう、会社に入ってからよりも、入社前の生まれ持った営業センスがあるかないかが、成果の分かれ道になっていたということです。
このような状態だと、面接でいかに営業センスのある人を採用できるかが成果の鍵になってきます。
大手企業では、ヘッドハンティング等で可能かもしれませんが、中小企業においては非現実のように感じています。
よって、今回の相談者のように、社内で人材を育成するために、研修メニューの整備から取り掛かろうとされていました。
このような相談は、当社が過去に営業研修を中小企業大学校等で実施していたので、よく受けていました。
ただ、今では、コンサルティングにおいて、研修メニューの提案は一切行っていません。
そう、一切です。例外として、社内の気を引き締める時は受けていた時期もありました。
では、なぜ、コンサルティングにおいて、研修メニューの提案は一切行っていないのか・・・。
理由は、たったひとつです。
「研修内容は、仕組みと連動していないと成果はでない」からです。
ここ大事なところなので、もう一度繰り返します。
「研修内容は、仕組みと連動していないと成果はでない」です。
仕組みと連動していない研修は、どんなに素晴らしいメニューや有名な研修講師にお願いしても無意味であるということです。
そう、無意味です。無駄金投資です。きつい言葉ですが、その無駄金投資を社員に賞与として還元した方が成果は出るかもしれません。(瞬間風速ですが、モチベーションアップになるからです)
このことについては、コラム記事でも何度も伝えてきていますが、もう一度、図にまとめたものを以下に記します。
もう、お分かりだと思いますが、研修は知識習得です。仮にロールプレイングの体験の内容が研修に組み込まれていても、継続して体験の場がないと忘れ去られるので、結果、無意味であるということです。
体験は、インパクト×回数=記憶の定着です。残念ながら、研修だけではインパクトはありません。
そうすると、回数をこなすために仕組みが必要になります。仕組みが必要な理由は、社員を野放し、あるいは、上司の場当たり的な指導では、この回数が上手くこなせないからです。
営業センスを生まれ持っている人は、回数は1回でも大丈夫ですが、凡人は、何度も訓練が必要になるからです。
そう、訓練です。
結論を言えば、この訓練のプログラムを仕組みとして持っているかということです。
特にこの訓練は、営業戦術に該当します。営業戦術とは、競合も訴求していない価値づくりや営業トーク等のことを当社では定義しています。(この定義は会社ごとに異なります)
この訓練が仕組みとして機能しているかということです。
これが機能している時に、仕組みとの連動を強化するために、研修メニューを構築、もしくは外部研修に参加させている場合は、成果がでます。
そうでない場合は、無駄金投資です。なぜなら、知っているだけの知識習得だけで終わるからです。(例外として、漢方薬の長期的視野の成果にこだわらない場合は、無駄金投資ではありません)
今回も長文になっていますが、訓練プログラムが機能しているか、していないのかを見抜く方法も伝えていきます。
訓練プログラムが機能している会社は、訓練指導者が社内で育成されています。
具体的には、新人(中途採用含む)を指導する場合、その新人より1~3年以内の先輩が教えている場合、訓練プログラムが機能しています。
ただ、多くは語りませんが、先輩が教えるのはこなす仕事ではなく、仕掛ける仕事になります。(ここでは、こなす仕事と仕掛ける仕事の違いの説明は省きます)
誤解がないように敢えて説明すると、言われたことしかしないと愚痴をこぼしている会社は、こなす仕事しか機能していません。自立型の社員が増えている会社は、仕掛ける仕事もこなす仕事同様にバランスよく行動しています。
で、話が逸れそうなので、本題に戻します。
若手社員が成長するポイントは、訓練指導者が社内にいるかいないかです。
そう、外部の研修講師やコンサルタントではなく、社内です。
そして、この訓練指導者は、ベテランではありません。逆にベテランだと上手く機能はしていないということです。
訓練指導者は、指導する対象者より少し経験を積んでいる人が最適であるということです。
そう、ちょっと進んでいる人です。ということは、社内全員が訓練指導者になります。(経営幹部は除きます)
もう少し補足しますが、特に若手を指導する場合は、ちょっと進んでいる人が教えるのが最適であるということです。
人がものごとを教わる時に重要なことは、すごい経験を持っている人から教わるのではなく、自分よりちょっと進んでいる人から教わることが、一番成果を出しやすいということです。
なぜなら身近な体験者で、次の行動が具体的に描きやすいからです。すごい経験を持っている人の指導は、分かりやいのですが、行動に移す時に上手く行かいことも多々起こります。指導内容の抽象度が高いからです。最後は、精神論に落ち着いたりしています。
そして、これは盲点なのですが、その人だから上手くいったという要素も含まれているので再現ができないことも多々あります。(もともとの経験値がちがいすぎるからです)
少し、話は脱線しますが、他社の成功事例も同じです。
上手くっている会社の外部環境と内部環境が自社と全て同じであれば、その成功事例は通用します。でも、現実は、そのようなことはありません。
でも、成功要因の共通要素はありますので、それを社内で試行錯誤して、自分たちのノウハウにすると決めれば、上手くいくこともあります。
ただ、成功事例を鵜呑みにして、その通りにしても上手くいくことはありません。なぜなら、成功事例の会社の外部環境と内部環境は自社と同じではないからです。
これは、拠点経営でも言えます。
拠点によっても外部環境と内部環境は異なります。中堅規模を多く顧客に持っている拠点と小規模企業を多く持っている拠点では同じ施策をしても上手くいきません。
また、価格競争にしか興味をもっていない意思決定者の顧客を多く抱えていれば、価値提案をいくらしても上手くいきません。これは、価格競争でしか営業をしてこなかった拠点にみられる現象です。
このように、成功事例を使う場合は、その会社での試行錯誤が必要になり、自分たちの会社に合ったやり方を自分たちでつくるという意志決定が必要になります。
そう、成功事例を真似すれば上手くいくというのは、早合点であるということです。
一番大事なのは、自分たちの会社に合ったやり方を自分たちでつくるという意志決定です。
この後に、成功事例を活用するというスタンスであれば、上手くいくということです。
多くの会社では、これが逆になっているか、自分たちの会社に合ったやり方を自分たちでつくるという意志決定がなく、外部に頼り切り、最後は上手くいかない責任の犯人捜しを一生懸命しています。これが本当の時間の無駄使いです。
本題に戻ります。訓練プログラムが機能している会社は、ちょっと進んでいる人が訓練指導者になっています。
そして、この訓練指導者は、凡人の人が適正です。なぜなら、センスのある人しかできないことを教えないからです。普通の人が普通にできる方法を教えるからです。
実は、ここに最大のノウハウがあります。若手が成長している会社は、ここに強みとノウハウを持っています。
もし、経営幹部が若手社員に営業トークの指導をしていれば、訓練プログラムは機能しておらず、営業センスの良い人しか育たず、凡人は辞めていくでしょう。
あるいは、経営幹部と相性が良い(性格が合う合わない)人だけが社内に残っていきます。(現実は、このケースが多いように感じています)
でも、これでは、組織は属人化から脱却することはできません。
属人化を脱却に成功している会社は、訓練プログラムを確実に持っています。
そして、この訓練プログラムも凡人ができるように設計されています。
これが、仕組みです。優秀な経営者ほど、この仕組みづくりを大事にしています。なぜなら、凡人が育つので、採用前ではなく採用後が勝負になるからです。
そして、この仕組みも、同業者の成功事例をそのまま使うのではなく、自分たちに合った仕組みを作り上げるという意志決定をした会社が上手くいっています。(内部環境と外部環境は会社ごとに異なるからです)
これは、営業管理システムの導入も同じことが言えます。(理由の詳細説明は省きます)
あなたの会社では、訓練プログラムは、機能しているでしょうか。それとも、社員の訓練は、上司の場当たり的な指導に任せているでしょうか。
あるいは、外部の研修もしくは、コンサルタント等に任せっぱなしになっていないでしょうか。
訓練プログラムは、自分たちで作るという意志決定をした会社でないと機能はしません。
ここを押さえていないと、営業研修メニューの構築や、有名講師を招いての勉強会は全く機能しないということです。
追伸)勘の良い方は気づかれていると思いますが、営業戦術に関する項目については、有名講師や元トップセールスのコンサルタントに教わることはナンセンスであるということです。
最高の講師とは、自分よりもちょっと進化した人です。ここ凄く大事です。これを理解した会社が社員の育成を本気で取り掛かっています。
ただ、この社員の育成も自社内でやることを決める(意志する)ということが重要です。
決める(意志する)ではなく、決めているになっていれば、言いっ放し、やりっ放しで終わっていたりします。ここをしっかり注意して見極める必要があります。
そして、決めるではなく、決めているになっていれば、最後はお決まりの犯人捜しのこの研修は良くない、受講態度が不真面目である等のあら探しを一生懸命にしています。
でも、社内で訓練プログラムを本気で取り組むことの決める(意志する)を行っていれば、責任を他責にするのではなく、自責の試行錯誤を行うようになっているはずです。
そう、自責の試行錯誤です。
結局は、何をするのかではなく、自責の試行錯誤が大事であり、その前の決める(意志する)が成果の分かれ道であることに気付かれます。
そして、決める(意志する)に共感するメンバーの仲間づくりができれば組織は自走します。
経営幹部が5人いれば、2~3人の仲間づくりができれば最強です。(当社の経験則上、全員は厳しいですが、ベンチャー企業であれば可能です)
中小企業においては社員人数が少ないので、この仲間づくりは取り組みをしやすいはずです。(大手企業は逆にここが苦労します、目には見えない変な利権闘争があるからです)
ただ、経営幹部が自己権威の主張もしくは、威厳を保つことに意識が向いていれば、仲間づくりは上辺だけになり、経営幹部は裸の王様にならざるを得ません。
まれに、ご自身のことを優秀ではないと言われ謙遜する経営幹部もおられますが、そのような方は決まってこの仲間づくりに抜群のセンスを持っており、組織を次の飛躍のステップに導かれています。
そう、経営幹部が裸の王様になっていない典型例です。
一見、謙遜はしていますが、決めるということをもの凄く大事にして、自分一人では実現が厳しので、周りのブレーン(社内・社外)の人材活用が無意識的に上手くなっておられます。
反対に裸の王様になって、社員の離職率が高くなっているのに、言葉のスローガンと𠮟咤激励の精神論で何とか乗り切ろうとしていたり、経営のかじ取りがちぐはぐになっているケースも聞こえてきたりします。
そうすると、経営幹部の周りに集まってくる人材は、経営幹部に居心地の良い言葉しか言わない人だけになり、経営幹部の意思決定の判断基準の選択肢が狭まるだけになります。そして、最後はお決まりの犯人捜しのループにハマります。
あなたの会社では、訓練プログラムが機能しているでしょうか。最高の講師とは、自分よりもちょっと進化した人だからです。これを社内で生み出すということを決めているでしょうか。
