仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第258話 営業管理にKPIや人事に評価基準制度を導入する前に気を付けておきたいこと
コロナ渦で、中小企業においても営業管理システムの導入によりKPI(重要業績評価指標)や営業の評価基準制度の見直しを実施している会社が増えています。
それらの会社においては、どのようなKPIを設定すれば良いのか、あるいは、人事評価の評価基準はどのようなものを作ればよいのかというところに正解を探されているように感じています。
そう、導入の目的ではなく、評価の指標を何にすればよいのかという手段に目が行きがちになっているということです。
今回のコラムは、あえて目的と手段の間違えという内容ではなく、営業管理のKPIや人事の評価基準制度の見直しをしても上手くいかない会社の共通点を紹介していきます。
上手くいかない会社の共通点です。
このコラム記事を読んでいる方は大丈夫かと思いますが、実例を挙げながら、3社の問題点を指摘していきますので、何が問題なのかを考えるきっかけになれば幸いです。
【A社の事例】
A社では、売上を最重要の基準で評価をしていました。拠点リーダーの会議では、一人当たりの売上平均の順位に応じて会議の席順を決めていました。(経験年数によって人数のウェイトに変数を使っていました)
そう、売上の高い拠点のリーダーが優越感に浸れることと、売上の低い拠点のリーダーを叱咤激励する目的で行っていました。
景気が良いときは、問題が顕在化されていなかったのですが、ある大きな問題が潜んでいました。
それは、売上が一位の拠点は、利益度外視の営業活動をしていたということです。見積金額を競合よりも安くして、低価格で受注を獲得する方式を取っていたということです。
これも後で分かったことですが、商社も活用していて、商社にも低価格で製品を提供して、商社から接待等のバックマージンを個人的に貰っていたことも判明しました。本末転倒です。
実は、この会社で利益の基準のKPIを導入した時にこのことが判明しました。売上第3位の拠点の限界利益が売上第1の拠点の3倍もあったからです。
売上1位の拠点は、低価格の戦略をとっていたので、これ以上売上を伸ばすには、労働時間を増やすか、新しい営業マンを採用するしか打ち手はありませんでした。当然、売上1位の拠点の残業時間もダントツでトップでした。
ただ、利益額はとれていないので、新しい営業マンを採用すると拠点経営としては赤字になってしまいます。
厳しい表現になりますが、売上は1位ですが、売上3位の拠点の利益で会社経営は成り立っていたということです。
売上1位の拠点リーダーは、競合に勝つためには低価格戦略しかないことを発言しようとしていましたが、売上3位の拠点が低価格戦略をしなくても利益を確保できていましたので、この発言は喉元で納められました。
もし、この会社が拠点経営をしていなかったら、売上1位の拠点の間違った戦略で、このコロナ渦では、経営破綻をしていたかもしれません。
【B社の事例】
B社では、売上基準から営業プロセスのKPIで見積提出枚数を重要視するマネジメントに切り替えていました。
拠点の会議でも見積提出枚数が多い拠点は、営業活動が活発であることを評価されていました。
この結果、売上の目標が未達でも、見積提出枚数が多ければ、営業活動が活発なので、特に問題視はされていませんでした。
営業活動が活発なので、時間はかかるかもしれないが、遅れて成果が出ると考えていたからです。
ただ、ここで落とし穴が潜んでいました。
この見積枚数ですが、営業戦略でターゲティングした顧客の見積が増えていれば問題はなかったのですが、拠点リーダーの関心ごとは見積枚数の枚数にしか着眼はありませんでした。
結果、見積もりを提出しても無駄な会社の見積が増えていたり、営業が形式だけの見積を出させて欲しいと、気心の知れた既存顧客にお願い等をしていました。
本末転倒です。必要のない見積もりの枚数が増えていただけでした。
なぜ、このようなことが起こっていたのか・・・。
それは、会議で怒られないようにするためだということが分かりました。過去、売上が未達の時は𠮟咤激励が激しかったそうです。
ただ、見積枚数が増えていれば、売上が未達でも叱咤激励はなかったそうです。
結果、会議で怒られないようにするために、とりあえずでも構わないので、見積枚数を増やすことにしていたそうです。
そして、拠点リーダーの中には、KPIで見積枚数の指標が追加されて、怒られなくなったので、助かったという声まで聞こえるようになっていました。
【C社の事例】
C社も売上基準が一番の優先で、それを人事評価に反映させて給与や賞与を決めていました。
C社の特徴としては、ベテランの営業スタッフは売上金額が高く、若手の営業スタッフの売上は低い状態でした。
一見、普通のように見えますが、大きな落とし穴が潜んでいました。
それは、ベテランの営業スタッフは、既存顧客で優良顧客だけを担当していたということが判明しました。
そして、問い合わせのあった顧客でも見込みの高い顧客だけをベテラン営業のスタッフが対応をしていました。
そう、ベテランの営業スタッフは、仕掛ける仕事はいっさいせずに、こなす仕事だけで売上を確保していました。
仕掛ける仕事や新規開拓等の仕事は若手に任せて、若手が有望の案件を見つけてくると、同行営業を行い、その手柄を自分の売上にしていました。
そして、若手営業スタッフには、早く、自分の売上と同じくらいになるように頑張れと根性論の𠮟咤激励をしていました。
ひどいベテランの営業スタッフになれば、俺が会社の売上を作っていると豪語をしていました。(こなす仕事しかしていないのに・・・)
景気が良い時はこなす仕事を効率よくするだけで売上は確保でき、上司の威厳を保つことはできますが、景気が悪くなると、ベテランの営業スタッフが仕掛ける仕事に取り組んでいなかったので、コロナ渦では経営破綻に追い込まれます。
以上が3社の事例です。
ここまで話をすると、恐らく、「この3社の事例と営業管理システムの導入のKPI(重要業績評価指標)と営業の人事評価の評価基準制度における共通の失敗の関連性が分からないのですが・・・」という声が聞こえてきそうですね。
実は、この3社ともある共通点があります。
この共通点を対処していない限り、当社では、営業管理システムの導入によるKPI(重要業績評価指標)や営業の人事評価の評価基準制度に取り組んでも無意味であると断言しています。
厳しい言い方をすれば、時間の無駄です。
では、この3社の共通点とは何か・・・。
数値で計測できる方針とその方針を達成するための戦略がなかったということです。
方針や戦略があいまいな状態で、KPI(重要業績評価指標)や営業の人事評価の評価基準制度を導入しても無意味であるということです。
たまに、方針を経営理念と勘違いされ、クレドを実践しているので大丈夫との声をいただきますが、これも当社では違うと感じています。
これも、厳しい言い方になりますが、方針や戦略のないクレドは、言葉遊びのふわっとした居心地のよいお遊びです。
そう、お遊びです。
あなたの会社では、数値で計測できる方針と戦略は持っているでしょうか。そして、その方針や戦略の推進は、四半期単位で振り返りはおこなっているでしょうか。
この凡事徹底が出来ている会社が、伸びている会社のように感じています。
追伸)方針・戦略の上位に該当するのが理念であると当社は定義しています。ただ、理念にどんなに素晴らしいことが書かれていても、それを実現する方針や戦略がない場合は、厳しい言葉になりますが、その理念は言葉遊びと表現させていただいています。
方針があって、リーダーは、旗振りをすることができるからです。旗振りが機能していない会社は、個々任せの属人的な組織に陥りやすいです。
多くは語りませんが、自由な開かれた組織と個々任せの属人的な組織では意味合いが違います。
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