仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第205話 営業マニュアルの「知っている」を「出来ている」にするために経営者が取り組むべきこと
「当社は、緊急事態宣言後の顧客対応で顧客管理が出来ていないことが分かりました」
先週の経営者との面談で、経営者が吐露された言葉です。
具体的にどのような出来事なのかを確認すると、次の答えをいただきました。
「顧客管理という言葉は、拠点のリーダーは知っていますが、それが出来ていないということが分かりました」
そう、「知っている」が「出来ていない」の例を当社に伝えてくれました。
そして、経営者は、何が出来ていないのかを詳細に当社へ伝えてくれました。
何が出来ていないのかを経営者が認識しているので、それに焦点を当てて改善活動をすれば問題は解決するように見えるかもしれません。
しかし、この会話のやり取りの中で、大きな落とし穴が潜んでいます。
もし、コラム読者のあなたが経営幹部もしくは、組織をまとめるリーダーであればこの落とし穴に気づかれているでしょうか。
再三、このコラムに登場している以下の図を見てください。
「知っている」を「出来ている」に変えるために何をするかを表した図です。
そう、何に取り組んでいるのかではなく、何ができる組織になっているかの重要性を説いた図です。(やっていることが重要なのではなく、できることが重要)
この図を見て、何か気づくことはあるでしょうか。
再掲になりますが、経営者は、次の言葉を吐露されていました。
「顧客管理は知っているが、顧客管理は出来ていない」です。
気付かれました・・・。
そう、顧客管理という言葉は、知っているが、顧客管理の中身は分かっていないということです。
もう少し噛み砕いて説明すると、「知っている」と「出来ている」の間に、「分かっている」という壁があることを経営者が認識していない恐れがあるということです。
今回の面談では、このようなことを指摘する場ではなかったので、このことについて、経営者に深く突っ込みはしませんでしたが、他の会社でもこのようなことが起こっているのではと思い、コラム記事にしました。
「えっ、乾先生、何が言いたいのですか・・・」という声が聞こえてきそうですね。
当社が言いたいこととは、○○会社にとっての顧客管理とは、どういうことかを言語化できているかを言いたかっただけです。
今回面談した経営者は、顧客管理の定義を見事に言語化されていました。
ただ、拠点リーダーが経営者と同じレベルで言語化ができるかと言えば、疑問が残ります。
拠点リーダーが、「当社の顧客管理とは、○○××で、△□ですよ」と答えることができて、顧客管理の言葉を知っているから、顧客管理の定義が分かっているになります。
言語化できて、「分かっている」になり、それが実戦で「出来ている」になります。
当たり前のことを言っています。
顧客管理という言葉だけを知っているだけで、定義が分かっていなければ、実践が伴わないので、出来ているにはなりません。
例外として、センスがずば抜けて良い人は、言語化できていなくても、感覚的実践することができます。
100人中1人の確率で存在するトップセールスという方です。
ただ、この場合、残念なことに言語化ができていないので、属人的になるため、組織的ノウハウの構築にはなりません。
少し話が脱線しますが、ある会社の営業リーダーに次の質問をしました。
「貴社の顧客管理とはどのようなことをルールとして決めていますか」
この質問に営業リーダーの方は、目を白黒させて、次のように答えられました。
「ルール?そんな難しいことは決めていませんよ、顧客管理は、顧客管理ですよ」
その答えを聞いて、私は、次の言葉を発しました。
「顧客管理とは、顧客管理ということですか」
営業リーダーは、自信を取り戻したかのように、言いました。
「そうですよ、顧客管理とは顧客管理のことですよ」
このやり取りを見ていた、経営者は、顔を真っ赤にしていたことを覚えています。
そう、この営業リーダーは、顧客管理という言葉は知っているが、○○社においての顧客管理とはどういうことかは理解していなかったという事実が分かってしまいました。
でも、この営業リーダーは、営業会議で部下に対して、顧客管理を意識して、顧客アプローチをすることを指示していました。
お分かりのように、単なる言葉遊びになっていました。
言葉遊びなので、部下の行動も変化は当然ありません。なぜなら、分かったつもりの行動で終わっているからです。
当然、検証もありませんから、部下の成長はありません。
このことから、当社では、その会社で大事にしていることを言語化する、営業の考え方マニュアルの作成をお勧めしています。
このマニュアルは、「知っている」を「分かっている」にするために言語化したものと言っても良いでしょう。
参考までに、どのようなことを営業活動の考え方マニュアルで言語化しているのか例を以下に記します。(企業規模や風土の実態によって、構成は変わります)
1、営業マニュアルの活用目的(あるいは、考え方)
2、営業マニュアルの活用方法
3、全社戦略および営業戦略
4、年間売上計画(製品・顧客・担当者)及び裏付け計画(年間顧客増販シート)
5、増販増客の施策シート(年間)
6、顧客管理のマネジメント
7、営業活動のプロセス管理(農耕型マーケティング)
8、営業活動のやり方(営業戦術レベル)
9、行動管理
10、営業会議の運営方法
今回の顧客管理の例は、上記の項目の6の顧客管理マネジメントに該当します。
顧客管理のマネジメントとはどのようなことをこの会社では言っているのかを言語化しています。
そして、この営業活動の考え方のマニュアルの話をすると、多くの経営者から次の言葉もいただきます。
「マニュアルを作成すると、行動を型にはめるみたいで、営業活動の創造性を欠いてしまうので、当社の社風には合わないな・・・」
「マニュアルは、マクドナルドの接客みたいに、九官鳥を作るだけなので、顧客満足にはつながらないから気が進まないな」
「結局、マニュアルを作っても、作ることが目的になって、作った後、誰も見ないので、意味がないよ・・・。I S Oのマニュアルがそうでしょう」
これらの意見について、当社は、否定も肯定もしません。
なぜなら、経営者のマニュアルという言葉に対しての考え方になるからです。
考え方は、その会社の社風になるので、経営者の自由です。
ある会社の経営者は、この営業活動の考え方のマニュアルに対して次のような考え方を持っています。
自社の営業活動において、「知っている」を「分かっている」ためにするために、重要な項目を言語化したものを営業活動の考え方のマニュアルと定義しておられました。
そして、半期ごとにマニュアルを振り返り、どの項目が「分かっている」で終わっているのか、どの項目が「出来ている」になっているかをチェックして、次の改善に着手されていました。
ある会社では、顧客管理のメンテナンスを言語化してマニュアルの項目に挙げておられました。
結果、営業拠点の半数が、「分かっている」で終わり、「出来ていない」ことが分かりました。
この事実を理解した経営者は、次の言葉を当社に発しました。
「昔は、取り組み状況の事実を把握せずに、次の目新しいことの取り組みテーマを探して、その指示に明け暮れていました」
検証ができていないのに、次の取り組みテーマを探している状態です。
厳しい言葉で伝えると、当たり前のことが出来ていない組織に、新しい取り組みを行うとしても定着等するはずがありません。
また、ある会社では、この営業活動の考え方マニュアルを営業リーダーの力量のレベルアップの活用に使っていました。
その会社の営業リーダーの仕事は、営業活動の作業がメインではなく、仕組み作りや改善をメインの仕事にしていたからです。
営業活動の考え方マニュアルが文章化されているので、来年は仕組みを少し変えるのか、あるいは仕組みの中身を改善するのか等を期首の2ヶ月前に討論をしています。
改善とは、昨年実施した、増販増客の施策の中身を変えること等です。
仕組みの変更とは、リアル面談をリモートに変える等です。
これらも、言語化して文章化したものがあると、スムーズに変えることができ、行動の変化にも直結します。
ただ、これも考え方なので、営業活動の考え方のマニュアル作成は絶対必要であると申している訳ではありません。
そう、経営者がマニュアルに対して、どのような考え方を持っているかです。
当社では、「知っている」を「出来ている」に変えることを目指している経営者には、営業活動の考え方マニュアルの作成をお勧めしています。
営業活動の考え方のマニュアルを「型にはめる」と勘違いされている経営者には、一切お勧めはしていません。
そもそも、マニュアルという考え方が違うからです。
あなたの会社では、「知っている」を「出来ている」にするために、言語化して見える化したものは何があるでしょうか。
そして、「出来ている」の後は、更なる進化のための改革に取り組まれているでしょうか。環境変化に対応しない現状維持で終わっているでしょうか。
改革の土台になるものが、営業活動の考え方マニュアルになります。
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