仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第377話 営業の短期的な売上アップと若手の人材育成を最短ルートで達成させる秘訣とは
多くの経営者の方々からは、「せっかく営業方針を立てても、なかなか売上に結びつかず困っている」「若手営業スタッフを育てたいけれど、教育に時間がかかる」という声をよく耳にします。
皆さんも、同じような悩みを抱えていませんか?
このような状況においては、「短期的に売上を伸ばす」という目標と、「若手スタッフを早期に戦力化する」という2つの課題をどう同時に進めるかが大きなカギになります。
ここでは、これらの課題を同時にクリアしつつ、組織が持続的に成長していくための戦略をご紹介していきます。
短期的な売上アップの公式:どこに行って、何をするのか?
まずは、多くの企業が頭を悩ませる「短期的な売上アップ」についてです。
短期的な売上を実現するための公式は、実はとてもシンプルだということをご存じでしょうか。
それは、「どこに行って、何をするのか」という2つの要素に集約されます。
1,どこに行くのか?:プッシュ型とプル型
1)プッシュ型: 既存顧客や見込み客の元へ、こちらから積極的にアプローチする方法です。
その際、訪問リストの選定が成否を左右します。
単に営業担当者に任せっきりにするのではなく、会社全体で「今、どこを攻めるべきか」を戦略的に検討し、優先度の高い企業や業界をピックアップすることが重要です。
2)プル型:今回は割愛しますが、「自然に問い合わせを増やす仕組みづくり」を視野に入れるのがポイントです。
2, 何をするのか?:4つの訪問目的
1)人間関係構築:お客様との接点を強化して信頼関係を深めます。自己PRや名刺交換はもちろん、自社の強みを伝える判断基準ツールを渡すなど、小さな工夫が好印象につながります。
2) 種まき活動:キーマンや決裁時期、競合状況をリサーチし、悩みや課題を引き出します。同時に、簡単な情報提供(業界ニュースや解決策のチラシなど)を行うと、相手に「役立つ存在」と感じてもらいやすくなります。
3)育成活動:価値提案によって潜在ニーズを探り、見込み顧客を選別します。製品の魅力がひと目でわかる資料や、質問形式で潜在需要を引き出すトークスクリプトなどがあると効果的です。
4)商談締結活動:購入時期や決済プロセスを見極めます。相手がいつ、どのように購入を検討しているのかを把握すると、購買までの障壁を一緒にクリアしていけます。
この「どこに行って、何をするのか」を明確化しておくことが、短期的な売上アップの最大のポイントです。
日報や週報で、「今日はどこを訪問して、そこで何を行ったのか」を振り返る習慣をつければ、戦略と実際の行動にズレがないかをすぐに確認できます。
短期的な売上アップを活かすための3つの着眼点
短期的な売上が上がったとしても、それが一時的なブームで終わってしまってはもったいないですよね。全社的な成長へとつなげるためには、以下の3つの着眼点が欠かせません。
1,年間計画:
数値目標だけではなく、「具体的にどのような施策を行うか」を定めた増販・増客計画を立てましょう。
どの分野に注力し、どんな新規顧客を狙うのか。これを明確にしておくと、現場も動きやすくなります。
2,月間計画:
年間計画を更に細分化して、「短期的にどこへ行き、何をするのか」を取りまとめるのが月間計画です。
月ごとにターゲットや施策を調整することで、臨機応変に軌道修正が可能になります。日報などでリアルタイムに進捗をチェックすると、PDCAサイクルも回しやすいでしょう。
3,シナリオ構築:
「困ったときだけお客様のもとに駆けつける」のではなく、自ら仕掛ける仕事を積極的に行う時間を確保することが大切です。
顧客対応やクレーム処理で手一杯になりがちな現場ほど、意識して「先を見据えた動き」を組み込む仕組みづくりが必要です。
こうした着眼点を持っておくと、短期的な成果が単なる“瞬間風速”で終わらず、組織全体の継続的な成長へと結びつきやすくなります。
若手営業スタッフの早期戦力化:提供価値シートの活用
「若手の営業スタッフは、どうしても一人前になるまで時間がかかる…」と考える経営者の方は少なくありません。
しかし、ここでご紹介する「提供価値シート」を活用すれば、1ヶ月ほどで実際に成果を上げる人材へと育て上げることも不可能ではありません。
1,提供価値シートとは?
1)競合が訴求していない、自社製品・サービスならではの独自の価値を整理したものです。
2)「顧客の悩み・願望 → 提供価値 → 具体事例」という3ステップで作成します。
3)1つの主力製品につき、最低でも10項目以上の独自価値を洗い出し、「見える化」しておくと若手にも分かりやすくなります。
2, 提供価値シートの活用
1)提供価値シートを提案ツールに落とし込むことで、営業活動の質が一気に高まります。若手スタッフでも、質問形式の営業トークを用いて製品の優位性やメリットをうまく伝えられるようになります。
2)その結果、商談の成約率の向上が期待できます。ただし、「作ったら終わり」ではなく、なぜそのシートを使うのか、どう使うと効果的なのかを明確に説明することが肝要です。
3, 提供価値シートを使う2つの目的
1)訪問前の事前準備の質を高める
訪問先や製品に関する情報をどれだけ「深く」把握しておくかが、成約の可能性を大きく左右します。
特に上司との同行やワントゥワン面談などでは、事前準備がしっかりできているかどうかで指導の質も変わってくるため、その効果を最大化するためにも「提供価値シート」の活用は重要です。
2)考える場づくりの質を高める
「提供価値シート」をもとに、営業メンバー全員が集まってディスカッションしたり、勉強会を開いたりすると、「なぜこの製品が必要とされるのか」「どのようにアプローチすべきか」をチームで考えるきっかけになります。
これによって、若手が自分で考えるスキルを育み、自立した人材へと成長しやすくなるのです。
営業管理システムの導入について
「短期的な売上アップ」「若手育成」の次に、多くの企業が検討するのが営業管理システムの導入ではないでしょうか。
システムの導入は確かに営業活動の「見える化」に役立ちますが、その前に組織全体の状態を振り返っておく必要があります。
1,こなす仕事と仕掛ける仕事
1)こなす仕事:毎日の顧客対応やクレーム処理など、目の前の業務を着実にこなすこと。
2)仕掛ける仕事:新規顧客へのアプローチや、将来を見据えた戦略的な営業活動を行うこと。
2,営業管理システム導入の注意点
1)もし組織のメインが「こなす仕事」ばかりで回っている場合、システムを導入しても「数字の追及」や「問題の指摘」で終わってしまい、かえって営業スタッフのモチベーションを下げるかもしれません。
2)一方、すでに「仕掛ける仕事」にも積極的に取り組めている組織であれば、営業管理システムが大きな武器になります。システムを使って戦略的に営業プロセスを管理したり、取りこぼしを防いだりできるからです。
導入のタイミングを間違えないようにするためにも、まずは短期的な売上アップの公式を着実に実行し、上記の2つの着眼点を押さえて組織全体の営業力を底上げしましょう。
まとめ
今回は、中小企業が抱える2つの大きな課題、すなわち「短期的な売上アップ」と「若手営業スタッフの育成」にフォーカスして、その解決策を解説してきました。
1,短期的な売上アップ:
まずは「どこに行って、何をするのか」というシンプルな公式を実践し、それを日々の行動として定着させます。
そして、一時的な成果にとどまらないよう、年間計画・月間計画・シナリオ構築の3つの着眼点を持ち、組織全体の営業力を高めましょう。
2, 若手営業スタッフの早期戦力化:
「提供価値シート」を活用することで、製品の独自価値を明確にし、若手でも成果が出せる支援システムを整備します。
事前準備の質や、チーム全体で考える文化の育成につながり、スタッフが自立して成長する土台となります。
3)営業管理システムの導入:
短期的な売上アップのしくみを回しはじめ、組織が「仕掛ける仕事」に取り組める状態になったら、システム導入を検討するのが得策です。
システムを導入すべきタイミングを見誤らなければ、強力なツールとして営業活動を加速させてくれます。
これら3つのステップを踏みながら、まずは「自社に合った営業スタイル」を確立してみてはいかがでしょうか。
必要に応じた戦略と仕組みづくりを行い、「売上アップも人材育成も両立する強い組織」を目指すことで、中小企業の持続的な成長は確実に前進します。
