仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第407話 会社のスローガンを超えた実践的な「考え方」とは?クレドを活用し、営業の成果を生み出す組織風土改革
はじめに
多くの経営者の方々は、「考え方」が企業の成長を左右する大きな要素であると認識しています。
でも、その「考え方」が単なるスローガンとして終わってしまうケースは意外と少なくありません。
「考え方が大事だ」と唱えていても、実際にどれだけの企業がそれを組織へ浸透させ、成果に繋げられているでしょうか。
本稿では、考え方を「言葉だけでなく、具体的な行動指針として組織に根付かせる」ためのポイントを、わかりやすく解説していきます。
なぜ「考え方」が重要なのか?
「考え方」の本質的な重要性については、故・稲盛和夫氏の成果の方程式「成果=考え方×熱意×能力」が示しています。
この式からもわかるように、能力や熱意がいくら高くても、その背景にある「考え方」が間違っていると成果には繋がりません。
逆に、正しい「考え方」があれば、熱意や能力をより強力に後押しできるのです。
しかし、現実的には「考え方が共有されていない」「考え方を“知っているだけ”で終わっている」ケースが多く見受けられます。
企業によっては、経営理念や行動指針として掲げていても、実際の現場では他人事のようになっていることも少なくありません。
共通認識の欠如:スローガンで終わる理由
では、なぜ「考え方は大事だ」と思っていてもスローガン止まりになってしまうのでしょうか。
その背景には、「共通認識の欠如」があります。
たとえばトップマネジメント層は「考え方の大切さ」を理解していても、ミドルマネジメント以下になると「会社が大事だといっているから、何となく知っている」レベルに留まっていることが多いのです。
こうしたズレが積み重なると、組織全体での共有は進まず、結局は“いい響き”の言葉だけが飛び交うだけになってしまいます。
解決策:考え方の「見える化」と「言語化」
この課題を乗り越えるためには、「考え方の見える化」が欠かせません。
「見える化」というと少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、難しければ言語化でも構わないでしょう。
いずれにしても、抽象的な“理念そのもの”を明確な形に落とし込むことがポイントです。
たとえば、次のようなステップで考え方を分類・整理するとわかりやすくなります:
1. 信条(在り方)
2. 言葉の定義
3. 施策、重点取組課題等
ここで特に注力したいのが「言葉の定義」です。
曖昧なままにせず、社内で統一した説明を用意することで「分かっているつもり」を防げます。
さらに、定義するカテゴリーを以下の3つに分割してみてもいいでしょう。
・営業マネジメント
・営業活動
・在り方
なかでも、営業マネジメントと営業活動は日々の業務に密接にかかわるため、定義しておくと「どう行動するか」の判断基準として機能しやすいのが特徴です。
言語化の例と注意点
たとえば、「明確さは力なり」というフレーズを営業マネジメントのベースとして言語化することが考えられます。
しかし、注意すべきは、単に言語化した言葉を鵜呑みにして掲げるだけでは不十分だということです。
自社の営業において、どんな項目を共通認識として定めたいのか。
「ここだけはブレたくない」「ここを大事にすれば成果が上がる」といった要点を洗い出し、それを極力シンプルな言葉でまとめてみてください。
「分かっている」から「できている」へ:軸を定める3つのステップ
考え方を真に組織に根付かせるためには、「分かっている」状態で止めず、「できている」状態にまで引き上げることが必要です。
そのための具体的なステップとしては、以下の3つが挙げられます。
1. 言語化:考え方を明確に定義する。
2. 体験:言語化した考え方を体験する仕組みを構築する。
3. 内省:クレド(信条など)の意味を日々の業務と照らし合わせて振り返る場を設ける。
ここで重要なのは「考え方だけを理解して終わらせない」ことです。
言語化した理念も、社員が実際に体得できるように設計し、それを日々の業務のなかで内省するプロセスこそが、考え方を定着させる鍵となります。
体験の仕組み:考え方と仕組みの連動
考え方が軸となるためには、それを実践し体験できる“場”が必要です。
たとえば、営業マネジメントの考え方を体験するのにおすすめなのが、定例会議などで意図的に「考え方を基準にした発言」を促す仕組みです。
「この課題に対する解決策は、営業方針のどの要素と結びついているのか」などを共有することで、自社の「考え方」を改めて意識しながら行動を振り返ることができます。
また、成功事例の共有でも「この考え方を実行したらどんな成果が出たのか」を具体的に示すと、他のメンバーにとって大きな刺激と学びのきっかけになります。
経営幹部の役割:組織風土を変革する
組織風土を変え、考え方を浸透させようとする場合、やはり経営幹部のコミットメントは欠かせません。特に以下の点が重要になります。
1)影響力のある人材の育成:
会議で積極的に意見を発信できるリーダーを育成し、周囲への影響を拡大させる。
2)率先垂範:
経営幹部自らが、定義した考え方を日々の行動で示す。
3)振り返りの場の提供:
クレド(信条)をはじめとした考え方の意味を、実務と照らし合わせて振り返る機会をつくる。
たとえば、トップが「まず自分がやってみせる」という姿勢を示すだけでも、現場の空気がガラッと変わることがあります。
経営幹部が本気になれば、組織全体が一気にその流れに乗りやすいのです。
クレド(信条)の活用:在り方を組織に浸透させる
経営理念を単なる掲示物やスローガンに終わらせないために、多くの企業ではクレドを活用しています。
クレドとは、自社の信条を短い言葉でまとめた存在です。
もちろんクレドを覚えるだけでは不十分で、組織の芯として日々実践することこそが最大の活用法です。
クレドを定期的に見直し、現場で実践し続けるために、経営幹部が率先してコミットメントを示すことが重要になります。
また、クレドに社会貢献の視点を盛り込むことで、「自分たちが社会に対してどんな意義を持てるのか」を社員が考えやすくなり、モチベーションを高める効果も期待できます。
まとめ:スローガンで終わらせないために
ここまで「考え方」をどのように組織に定着させ、成果へ結びつけるかについて解説してきました。
最後にポイントをまとめると、以下のようになります。
1. 共通認識の確立 :考え方を言語化し、組織全体で共有する。
2. 体験の仕組み化 :言語化した考え方を実際に体験する場や仕組みを作る。
3. 経営幹部の率先垂範 :幹部自らが行動で示し、変革をリードする。
4. 目的の明確化 :なぜ浸透させるのか、その意義を全員が理解する。
これらの取り組みを徹底すれば、「考え方」は口先だけのスローガンではなく、組織の日々の行動を支える強固な軸へと変わっていきます。
考え方が行動の指針となる組織は、自走しながら継続的に成長し、社会からも高い評価を得られるはずです。
もし、スローガンにとどまっていることを感じているなら、ぜひ一歩踏み出して「考え方の再定義」から始めてみてください。
それが、組織変革への大切な第一歩になるでしょう。
