仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第399話 中小企業の売上アップを本気で目指すなら、「知っている」から「できている」へと変革し、成果を生む営業改革術を体感
はじめに
普段から「営業の売上を上げたい」「社員にもっと主体的に動いてほしい」「研修の効果がなかなか見えない」といった悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
実際、多くの企業が研修などを通じて新しい知識の習得に励んでいますが、その一方で「知っている」だけで終わってしまい、「できている」にまで繋げられないという現状が見受けられます。
そこで本稿では、中小企業の経営者や管理者の皆さまが「営業組織をさらに成果につなげる」ために知っておきたい考え方と、すぐに始められる実践方法を解説していきます。
特に、「知っているつもり」をいかに脱却するかをテーマに、現場での具体的な変化を生むためのポイントを整理しました。
少しでもヒントになれば幸いです。
売上アップの前に見直すべき根本的な問題
売上アップの方程式は、いくつかの形で説明されることが多いですよね。たとえば、
●「売上=客数×客単価×購入頻度」
●「売上=訪問の量×訪問の質」
●「売上=訪問数×面談率×提案率×成約率」
など、売上を要素分解し、それぞれを管理する方法が一般的です。
もちろん、こうした数式を使って分析すること自体はとても大切ですが、その前に押さえておきたいのが「知っている」「分かっている」「できている」の違いです。
この3つのステージをしっかりと踏まえないまま、いくらノウハウを学んでも実際の行動や組織の変革にはなかなか結び付きません。
なぜなら「知っている」「分かっている」「できている」は、見た目以上にまったく異なるステージだからです。
「知っている」・「分かっている」・「できている」の違いを理解する
まず営業スタッフに「顧客視点とは何か知っていますか?」と尋ねると、「以前の研修で学びました」といった答えが返ってくることが多いでしょう。
これがまさに「知っている」段階です。
次に、「では『顧客視点』をもう少し詳しく説明してみてください」と質問すると、その内容をしっかりと言葉にできるかどうかが分かれ道。
きちんと言葉にできれば「分かっている」状態ですが、もし曖昧な回答に終始してしまうなら、そのスタッフは顧客視点の定義を本当には理解していないと言えます。
ここで「分かっていない」ままでは、もちろん行動に移すことも難しく、「できている」段階に到達できません。
インプット型の研修では、新しいことを学んだ時点で「できたつもり」になりがちです。
しかし、実際に行動に落とし込み、そこから振り返りを行い、修正して再チャレンジするといったプロセスを経ないと、本当の意味で「できている」状態にはなりません。
残念ながら、この一連の仕組みを社内に整備できている企業はまだまだ多くないのが現状です。
多くの経営幹部が陥る誤解
経営幹部の方からは「研修で学んだことは現場で実践できているはず」という声をよく聞きます。
しかし、先述のように「知っている」から「分かっている」、さらに「できている」へとステップアップする段階には大きな壁があります。
また、人間は一日のうちに学んだことの8割を忘れるとも言われています。
せっかく受講させた研修であっても、実際の業務に活かせる状態にまで高めるには、企業側が学んだ内容を社内で反復する仕組みや、実践する場を設計してあげることが欠かせないわけです。
「知っている」を「できている」に変えるための具体的なステップ
では、実際に「知っている」を「分かっている」に、そして「分かっている」を「できている」にするには、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょうか。
ここでは、組織が変わるために押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
1. 共通認識:上司と部下が同じものを見て、同じ見解を持つ
「知っている」を「分かっている」に変えるうえで最も大切なのが共通認識です。
たとえば、営業マニュアルやマネジメントツールを全員で使いこなし、同じ指標をもとに会話をするだけでも、曖昧な理解がぐっと減ります。
普段の会議やミーティングでも、「このマニュアルのここに書いてある内容を、具体的にどうやって実践しようか?」といった共通の土台を作ることで、言葉の解釈やゴールの認識が一致しやすくなります。
結果的に、社員同士の意思疎通がスムーズになり、何となく流れてしまいがちな目標も腹落ちしやすくなるでしょう。
2. 「やり切る」:中途半端をなくし、次の課題を見つける
次に、「分かっている」を「できている」にするカギは「やり切る」ことです。
「やっている」と「やり切る」は大きく違い、途中で投げ出したり調整不足のまま終わらせたりすると、組織として次の課題が見えてこないのです。
一度本気でやり切ってみてからでないと、新たな問題点やボトルネックは浮かび上がりません。
たとえば毎年同じような研修やテーマを掲げているのに、成果がいまいち変わらないという企業さんは、何かの場面で「やり切り」ができていない可能性を疑ってみるとよいでしょう。
3. 自立型人材を育成する:指示待ち人間からの脱却
「やり切る」文化と同じくらい重要なのが、自立型人材を育てる仕組みです。
自立型人材とは「指示がなくても自分で考え、行動できる人材」のこと。トップダウンでいくら「やり切れ!」と声をかけても、当の本人たちに「やらされ感」があるうちはモチベーションが続きません。
さらに、創造的なアイデアを出すことも難しくなります。
逆に「やり切る」姿勢と「自分で考えて動く」姿勢が合わさると、どんな変化にも柔軟に対応できる組織へと進化します。
これは社員が個別に優秀というだけでなく、チーム全体で課題解決に向かう力が高まっていくことを意味します。
4. 戦略・戦術・考え方の「見える化」と「仕組み化」
「やり切る」ためには、営業面では自社の戦略と戦術を可視化する活動が欠かせません。
さらに「自立型人材」を育てるためには、考え方や意図を社内で共有し、チャレンジしやすい場を設計してあげることがポイントです。
こうした取り組みを通じて「知っている」を「できる」に変える組織を築いていきましょう。
たとえば、具体的な戦術プランを社内の共有フォルダに整理し、週次の進捗会議で確認する仕組みをつくるだけでも、社員が行動しやすい環境になります。
年間を通じて「本当に実行できているか?」を意識し続けることで、社内が徐々に「やり切る」空気に包まれていくでしょう。
中小企業が陥りやすい落とし穴と対策
中小企業の場合、以下のような問題が発生しやすいと言われています。
もし思い当たる節があれば、ここに挙げる対策を検討してみてください。
1. コミュニケーションギャップ
「部下にやることを伝えているのに彼らはやろうとしない」「上司は現場のことを理解せず、目標必達を押し付けてくる」など、上司と部下の見ている景色が異なることが多いです。
2. 「つもり」の蔓延
「知っているつもり」「分かっているつもり」「できているつもり」が横行すると、互いに指摘しにくい空気が生まれ、成長の停滞を招きます。
3. マニュアル作成で満足
営業マニュアルを「とりあえず作る」ことがゴールになり、本来の目的である活用や改善が置き去りになってしまいます。
4. 個人攻撃の叱咤激励
「できないのは個人の頑張り不足だ」と責めれば責めるほど、組織としての問題や仕組みづくりの課題は見過ごされます。
5. 他社ばかりを意識する
自社製品やサービスがどのように価値を提供できるか見落とし、競合と価格面で張り合うことに終始してしまうケースです。
こうした落とし穴を乗り越えるためには、
(1) 現状の把握:「分かっている」が「できていない」箇所を洗い出す。
(2) 優先順位付け:最も重要な項目から手をつける。
(3) 成功体験の積み重ね:小さな成功を積んで自信を育む。
(4) 「決める」ことの重要性:「選択」ではなく「決定」し、強いこだわりと覚悟を持つ。
というステップが非常に有効です。
大きな変化を求めるほど、まずは小さな成功体験の積み重ねがカギになります。
事例:ある営業部門責任者の気づき
実際にあった事例として、ある営業部門責任者が「まず自社製品の価値を営業スタッフに紙に書き出してもらった」場面を紹介します。
すると、かなりのスタッフが「知っているつもり」だったことが明るみに出ました。競合製品の優秀な点ばかりは語れるのに、自社の提供価値については思った以上に曖昧だったのです。
このように、自社の強みをしっかり言葉にできない場合、競合との価格競争で苦戦したり、営業トークがどこか自信に欠けてしまったりする傾向があります。
まずは自社製品やサービスの本質的な価値を、スタッフ全員が腹落ちできる形で理解することが、強い営業組織づくりの第一歩だと改めて感じさせてくれる事例です。
まとめ:「知っているつもり」から脱却し、成果に繋がる組織へ
今回は、「知っている」「分かっている」「できている」の違いを軸に、「知っているつもり」から一歩先へ進むための考え方や具体的なステップをご紹介しました。
このプロセスをしっかり踏むことが、結果として売上アップや組織力向上への近道になります。
研修を受けただけで満足せず、「本当に実行できているか」を何度も振り返り、改善し続けるサイクルが大切です。
皆さまの会社でも、まずは共通認識を育む仕組みを整え、「やり切る」文化を醸成し、自立型人材を育てていきませんか。
そのうえで、戦略・戦術・考え方を「見える化」し、誰もが活用しやすい営業マニュアルやマネジメントツールを整備してみてください。
すると、これまで「知っているつもり」で止まっていたことが、実はもっと大きな成果に繋がる可能性を秘めていることに気づくはずです。
「知っている」に留まらず「できる」組織になる――その変化こそが、これからの中小企業が持続的に成長していく重要なカギとなります。
自社の魅力を最大限に発揮し、組織全体で進化し続けるために、ぜひ今から一歩踏み出してみてください。
