仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第380話 中小企業を一気に飛躍させる『仕掛ける仕事』の新常識:こなす仕事に埋もれていませんか?
はじめに:現状把握の重要性
中小企業の経営において、「仕掛ける仕事」と「こなす仕事」のバランスを上手に取りながら成果を出すことは、決して簡単ではありません。
実際、「仕掛ける仕事」を増やそうとして取り組んでいるにもかかわらず、思うような成果が得られない、とお悩みの経営者や管理者の方も多いのではないでしょうか。
そもそも「仕掛ける仕事」という言葉を聞いて、皆さんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。
「新規開拓のこと?」「まったく未知の分野にチャレンジすること?」といった思いが含まれているかもしれません。
実際には、「仕掛ける仕事」とは“需要を生み出すための活動”全般を指し、新規の顧客のみならず、既存のお客様に新たな価値を提供する取り組みも含みます。
企業の成長度合いは、この「仕掛ける仕事」をどれだけ継続的・戦略的に進められるかに、大きく左右されるのです。
本記事では、中小企業が「仕掛ける仕事」で成果を上げるためのポイントを、具体的な事例や考え方を交えて解説していきます。
ぜひ最後までご覧いただき、みなさまの経営やマネジメントのヒントにしていただければ幸いです。
「仕掛ける仕事」とは何か?
まずは「仕掛ける仕事」の定義を明確にしておきましょう。
それは「需要がまだ見込めていない顧客や市場に対して、需要を創出する活動」であり、いわば「需要を生み出すための種まき活動」を指します。
多くの方が新規開拓をイメージするかもしれませんが、実は既存顧客に対して新しい提案を行い、新たな需要を掘り起こすことも「仕掛ける仕事」です。
●「仕掛ける仕事」=まだ顕在化していないニーズを顧客に提案し、需要を生み出す取り組み
●新規だけでなく、既存顧客の深耕・拡販も含む
中小企業の場合、新規と既存の両方に対してどう「種をまき」、どのタイミングで「育て」そして「刈り取る」かが重要なカギとなります。
しっかりと増販・増客を見据えた営業のしくみを構築することで、その後の成果は大きく変わってくるのです。
「仕掛ける仕事」が増えない2つのパターン
「仕掛ける仕事」を意識的に増やそうとしても、なかなか上手くいかない。
その原因を探っていくと、多くの場合は以下の2つのパターンに当てはまります。
(1) 全体の受注量が減っているのに、「こなす仕事」と「仕掛ける仕事」の割合が変わっていない
●「こなす仕事」の段取りが悪くなり、一件あたりの対応に割く時間が増えてしまう
●新しいことを考えるのが面倒になり、結局は従来の「こなす仕事」だけで日々を埋めてしまう
●表面的には忙しそうに見えるが、実は「仕掛ける仕事」にかける時間が全く増えていない
(2) 「仕掛ける仕事」の代わりに、トラブル対応で時間を埋めている
●「トラブル対応」をしている間は「仕掛ける仕事」をしなくても良い、という誤解が組織にある
●トラブル対応そのものは大切でも、本来やるべき「仕掛ける仕事」が後回しになっている
これらの現象が起こる背景には、企業文化や組織風土における問題が潜んでいる可能性があります。
そのため、単純に人員を増やすだけや新しい案件に手を付けるだけでは、このパターンを抜け出すことが難しいのです。
「仕掛ける仕事」を実行できる仕組みを作る
上記のパターンから抜け出すには、「仕掛ける仕事」がしっかり回る仕組みを組織内に作ることが不可欠です。
瞬間的なモチベーションやスポット的なキャンペーンで終わってしまわないように、継続的に行動できる土台を整えましょう。
●仕組みは、一過性ではなく継続的な成果を生むための“ベース”
●社員数が増えるほど、それぞれがどのように役割を担うかが成果を左右する
たとえば、以下のような施策が挙げられます。
●年間の増販・増客につながる具体的な行動計画を立てる
●農耕型(種まき → 育成 → 刈り取り)の営業スタイルを導入する
単なる「新規飛び込み営業」に頼るのではなく、将来的な収穫を意識したステップを踏むことが重要です。
農耕型営業におけるマネジメントのポイント
「仕掛ける仕事」は、能動的営業である「そのうち客」へのアプローチを重視するのに対し、「こなす仕事」は受動的営業である「今すぐ客」への対応が中心となります。
ここで勘違いしやすいのは、「仕掛ける仕事」と「こなす仕事」ではマネジメントの方法やチェックポイントが違うということです。
●「そのうち客」をどう育成・フォローし、いずれは「今すぐ客」へと変えていくか
●「今すぐ客」を対応する営業マネージャーしかいないと、「そのうち客」へのアプローチが疎かになりやすい
●アプローチリストを渡すだけ、見積もり獲得件数を管理するだけでは十分ではない
農耕型営業では、作付け(種まき)や育成の段階をしっかりマネジメントしないと、“収穫”に結びつく前に頓挫してしまいがちです。
経営者や管理者は、チームの誰が「そのうち客」をどのように管理・育成しているのかを随時把握し、部下の視野が「今すぐ客」だけに集中しないように導いていく必要があります。
営業スタッフ以外も巻き込む
「仕掛ける仕事」は、必ずしも営業スタッフだけが担うものではありません。
他部署を巻き込んで進めることで、より幅広い情報や接点を活用でき、効果的に“種をまいて”いくことができます。
●セールスエンジニア:修理やサービス、メンテナンスなどの現場対応で、お客様に直接接する機会が多い。顧客情報を収集したり、担当営業への“前振り”を行ったりすることで、種まき営業へとつなげられる。
●インサイドセールス:事務職などが顧客情報をもとに見込み度合いを判断し、優先度を整理して営業スタッフにパスする。
特にコロナ禍以降は、客先訪問だけでなくオンラインでのやり取りや問い合わせが増えています。
こうした状況で「全員営業」「セールスエンジニア」を仕組み化することは、中小企業が業績を伸ばす大きな武器になります。
「仕掛ける仕事」で成果が出ない時に振り返るべきこと
「そのうち客」へのアプローチも行っているし、トラブル対応ばかりにはなっていない。それでもなかなか成果が出ない、という場合は、次の3つの視点を改めて振り返ってみましょう。
(1) 目的
「なぜ、仕掛ける仕事を取り入れようとしたのか?」「なぜ、そのうち客へのアプローチに力を入れようとしているのか?」という問いに、自分たちなりの明確な答えを持っていますか?
たとえば、「考えて行動する人材を育成する」「見込み客のストックを増やして、経営を安定化させる」など、はっきりした目的があれば、ブレが少なくなります。
(2) 考え方
目的を達成するためには、どのような考え方や行動指針を持つ人材を育成すべきでしょうか。
ここが曖昧だと、せっかくの「仕掛ける仕事」を担う人たちの方向性がバラバラになり、チームとしての力を発揮しにくくなります。
(3) 手段
目的がはっきりしていれば、手段を見直すことで活路が見いだしやすくなります。
手段がうまく機能しないときには、まず「目的がしっかり共有されているか?」を振り返り、そのうえで新たなアイデアや別のアプローチを検討してみましょう。
目的と手段のつながりを見失うと、手段そのものの是非ばかりを議論したり、成果が出ない“犯人探し”をしたりしかねません。その状態では組織の前進は期待しにくいのです。
目的と手段の関係性
改めて強調したいのは、「目的があってこその手段」だということです。
目的が曖昧なまま手段を議論しても、たいてい収拾がつかなくなります。
結果として、問題が解決できないまま時間ばかりが過ぎ、チームのモチベーションが下がる可能性もあるでしょう。
●手段が正しいかどうかを議論する前に、そもそも目的が共有されているか確認
●もし目的自体がずれているなら、勇気を持って目的の見直しを考える
たとえば営業管理システムの導入も手段の一つです。
導入そのものが目的化してしまうと、システムの使い方や運用に振り回され、本来の「成果を出す」という目的を見失う恐れがあります。
大切なのは「何のためにそのシステムを活用するのか」を常に意識することなのです。
「なぜ、〇〇をしているのか?」という問い
最後に、「なぜ、〇〇をしているのか?」という問いが持つ重要性について考えてみましょう。
ビジネスであれ、プライベートであれ、私たちは何らかの目的があるから物事に取り組みます。
しかし、日々仕事に追われていると「なぜ、これをやっているんだっけ?」という基本的な疑問を見失いがちです。
・たとえば「なぜ、コンサルタントをしているのか?」と問われた時に、すぐ自分の答えを示せるか
・手段にこだわるより、まずは目的を大事にする
・目的を達成するのであれば手段は柔軟に変えても構わない
この「なぜ」という問いに答えが見つかれば、困難な状況に直面しても、目的を軸に手段を再選択し、新たな道を切り開くことができます。
最終的に成功の鍵を握るのは「目的への揺るぎない意志」なのです。
まとめ
「仕掛ける仕事」で成果を出すためには、まずは自社の現状を正しく把握し、「こなす仕事」とのバランスを見直すことがスタートラインです。
さらに、目的を明確化してチーム全体の意識を揃え、具体的な仕組みや行動計画を継続的に回していくことが重要といえます。
(1)現状を正確に把握し、「仕掛ける仕事」がどのくらい機能しているかを見極める
(2)目的・考え方・手段の3つの視点を整理し、組織全体で共有する
(3)営業スタッフだけでなく、セールスエンジニアや事務職など社内の多部門を巻き込み、継続的に活動できる仕組みを築く
こうした取り組みを根気強く続けることで、中小企業ならではの強みを活かしながら新たな市場を創出する力が高まります。
そして、その土台となるのは「目的を明確にして行動する姿勢」です。
企業の経営者・管理者の方が、自社の目的と手段を再確認し、「仕掛ける仕事」の可能性に再び目を向けられるきっかけになれば幸いです。
ぜひ、この機会に自社の取り組みを振り返り、新たな一歩を踏み出してみてください。
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