仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第371話 社員を疲弊させずに営業目標を達成!成長ゾーンと能力開発で中小企業を次のステージへ
はじめに:組織の目標達成はなぜ難しいのか?
「今年こそは売上を伸ばしたい」「新規事業で成果を出したい」といった経営目標を掲げても、思うように達成できない。
そんな悩みを抱える中小企業経営者は少なくありません。
高度経済成長期のような右肩上がりの時代は終わり、市場が成熟しきった今では、以前の成功パターンや精神論だけでは通用しにくくなっています。
数字だけを追い求めると社員のモチベーションが下がり、不協和音が生まれやすいのも事実です。
そこで本記事では「目標数値」と「社員の能力・スキル」、この両軸をうまく高めながら組織を成長させる具体策にフォーカスします。
社員が意欲的に取り組める組織づくりのポイントを、一緒に見ていきましょう。
成長を阻む「目標数値だけ」の罠
まず注意したいのが、「とりあえず前年比〇〇%アップ!」と数字だけを掲げ続けるやり方です。
以前であればこれで勢いがついたかもしれませんが、市場成長が鈍化している今はそう簡単にはいきません。
数字が先行しすぎると、社員は「どうせ達成できない」という気持ちになりがちです。
チャレンジを避け、むしろ離職やチームワークの崩壊といったリスクが高まります。
目標達成どころか、会社全体にとって大きな痛手になりかねません。
■「成長ゾーン」への移行
では、どんな状態を目指せばいいのでしょうか。ヒントは「成長ゾーン」という考え方にあります。
ここでは、目標数値と能力・スキルの向上がバランスよく進んでおり、社員が「これならいける」という前向きな手応えを感じやすい状況を指します。
対照的に、能力不足のまま目標数値だけが上昇すると「ストレスゾーン」、能力が高いのに数字が低すぎると「退屈ゾーン」に陥ります。
いずれもモチベーションを下げ、成長を阻害する原因です。
組織全体が無理なくチャレンジできる「成長ゾーン」に誘導することが鍵になります。
目標達成を阻む2つの落とし穴
そこで気をつけたいのが、次の2つの落とし穴です。
(1)根拠のない目標設定
「数字だけ盛って突き進む」状態です。営業戦略や顧客計画などの具体策がなく、精神論・根性論に頼りがち。結果的に達成困難になってしまいます。
(2)能力・スキルの誤解
「営業トークや提案書作成スキル」だけ磨けばいいと思い込むケースです。もちろん大切ですが、これらは全体に与える影響の2割ほど。残り8割を占める戦略構築やマネジメント能力を軽視すると、成果は伸びにくくなります。
真の能力向上とは
売上や組織力を高めるには、「戦略構築スキル」と「マネジメント能力」の2つが特に重要です。これらが約8割もの影響力を持つと言われています。
(1)戦略構築スキル
●市場・顧客・競合を分析し、筋の通った計画を立てる力
●新しいビジネスチャンスを発見・実行する企画力
(2)マネジメント能力
●部下やチームの意欲を引き出し、行動をサポートする力
●進捗管理やコミュニケーションの仕組みを整える力
そして、この2つの能力を組織全体で高めるには「うちの会社は何を大事にしたいのか」をはっきり言葉にして共有することが欠かせません。
たとえば営業リーダー以上の立場にいる人が、自社の中核となる価値や優先すべきスキルを即答できないようでは、研修などをいくら重ねてもズレが生じやすくなるのです。
「決める」ことの重要性
目標達成で意外に見落とされがちなのが、「決める」という行為の本質です。
ここで言う「決める」とは、単に選択肢を選ぶだけでなく「こだわりをもって最後までやり切る覚悟」を持つこと。
多くの企業では、他社の成功事例を集めるのに熱心ですが、実際に自社に落とし込んで継続するには「本気でやる」という「腹づもり」が必要です。情報を集めるだけで終わらず、本当にやり抜く姿勢を示すかどうかが成果を大きく左右します。
マネジメントの再定義と「見える化」
「マネジメント=社員の数字や行動を管理・コントロールすること」と思われがちですが、本来は「社員が考え、主体的に動ける場を整えること」です。
この定義を組織内で共有し、「今、誰が何を考えてどんな行動をしているのか」を見える化することで、チーム間の理解や連携が深まります。
●日々の活動目標や成果物を社内SNSや共有システムにアップ
●定例ミーティングで課題や対策の共有
●数字だけでなく、行動のプロセスや改善点まで共有できる仕組みづくり
結果の数値を眺めるだけで終わってしまう状況では、本来のマネジメントが機能しません。
行動過程をきちんと共有することで、ミスコミュニケーションを防ぎ、的確なサポートがしやすくなります。
「ノルマ」と「目標達成」の違い
社員の営業活動を「ノルマ」と捉えるか、「達成すべき目標」と捉えるかで、やる気も成果も大きく変わります。
(1)ノルマ
●数字を追うしかなく、ゴールへの道筋が不透明。
●やらされ感が強いのでモチベーションが低い。
(2)目標達成
●数字だけでなく、その達成に向けたプロセスや成功へのシナリオが明確。
●社員自身が「自分の行動で結果が変わる」と感じられ、主体的になりやすい。
SFAなどのシステムを導入しても、仕組みが「ノルマ方式」のままでは活かしきれません。
社員が自ら考え、実行と振り返りを繰り返すサイクルが回るようにすることが重要です。
経営幹部の役割
そして、経営幹部こそが「決める」姿勢を率先して示す必要があります。
自分が得意でない分野でも、会社として「これをやる」と決めた以上は積極的に関わり、進め方をサポートしなければなりません。
特にデジタル化が進む現代では、ネット戦略やデジタル戦略の理解が欠かせません。
幹部自身がこうした新しい分野にも前向きに取り組む姿勢を見せることで、組織全体が「やってみよう」という空気になりやすくなります。
まとめ
売上目標を達成し、組織を持続的に成長させるためには、次のポイントを押さえることが大切です。
(1)目標数値と能力・スキルのバランス
●どちらかに偏ると組織に歪みが生じ、成長を妨げる。
(2)戦略と計画
●根拠に基づいて設定した年間の営業戦略・顧客計画が重要。
(3) 能力向上
●戦術レベル(営業トークなど)だけでなく、戦略構築やマネジメント能力に注目。
(4)「決める」ことの重要性
●選択だけでなく、やり切る覚悟を持つ。
(5)マネジメントの再定義と見える化
●社員を管理するのではなく、自発的に動ける環境を整え、情報を共有。
(6)「ノルマ」ではなく「目標達成」
●達成ストーリーを明確にし、社員が主体的に動ける仕組みづくり。
(7)経営幹部の率先垂範
●自ら「決める」姿勢を示し、新たな領域への挑戦にも積極的に取り組む。
これらをしっかり実践していけば、社員は仕事の手応えを得ながら成長を実感しやすくなります。
中小企業であればこそ、限られたリソースを最大限に活かすためにも、数字だけでなく「社員の成長」と「組織力の強化」を同時に進めることが、持続的な成功への近道と言えるでしょう。
