仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第309話 営業管理システムを導入後、KPIを強化して失敗している会社に欠けていること
「営業管理システムを導入して、KPI(重要業績評価指標)を強化しようとしましたが、上手く機能していないように感じています」
「営業部長は、営業のプロセスが可視化できるようになったので、喜んでいるのですが、営業スタッフはなぜかやる気をなくしているようなのです」
「営業部長の言っていることを信じてもう少し様子を見た方がよいのか、あるいは、営業スタッフのモチベーションをアップさせる何か新しい施策をした方が良いのか思案しています」
「一度、オブザーバーで営業会議の雰囲気を見て何かアドバイスをいただけないでしょうか」
営業管理システムを導入して、営業プロセスの可視化を数値で管理するようにして、営業活動の改善ポイントが分かるようになったのに、営業スタッフのモチベーションは下がる一方であるという相談です。
「えっ、そんなことはないでしょう」という声が聞こえてきそうですが、実は、このような光景が営業会議等でよく見かけます。
そして、その原因対策として、営業スタッフのモチベーションアップに関する研修に取り組まれたりしています。
近年では、予祝(よしゅく)に取り組むことが解決策のように勘違いされている経営者の方もおられます。
これは、あくまでも当社の経験則なので、絶対とは言えませんが、ある傾向が社風として根付いていれば、営業管理システムの導入や予祝(よしゅく)等のモチベーションアップ対策の施策を実施しても無意味なように感じています。
ある傾向とは・・・。
それは、上司と部下との関わり方になります。
そう、関わり方です。
これだと抽象度が高い表現なので、営業会議のワンシーンでイメージしていただきます。
その前に、営業管理システムを導入すると、営業プロセスが可視化されるので、営業方針(もしくは拠点方針)に対して、何が課題になっているのかが分かるので、対策を取りやすくなります。
そして、KPI(重要業績評価指標)を導入していれば、営業プロセスが数値化されているので、実行施策の効果測定も可能になります。
「えっ、これなら関わりの問題等は見当たらないのでは・・・」との質問がでてくるかもしれません。
問題はここからです。一見、営業管理システムを導入すると、すべての問題が解決されるように思われていますが、次にあげることができていなければ、営業管理システムは、高額な無駄金投資になります。
それは、営業会議等で上司が部下に対してアドバイスをする時、批判やKPI指標の指摘だけで終わっていないかということです。
もう少し掘り下げると、営業会議が反省会で終わっていないかということです。
営業管理システムを導入すると、営業プロセスが可視化されるので、問題点が何かを把握することが出来ます。
もし、ここで上司が営業会議において自身の威厳を保つことに意識があれば、部下に対しては、問題点の指摘や行動に対しての批判を行っています。
KPI(重要業績評価指標)が数値化されて、上司があるべき論を語れば、部下は反論するより、反省をせざる得なくなるからです。
そう、反省する振りをすれば、営業会議は時間の経過とともに終了するからです。頭の良い部下は、反省の演技だけが非常に上手くなっていたりします。
深い反省をすればするほど、営業会議で上司の威厳が保たれるからです。
そして、上司も気が付けば、営業スタッフの営業施策の支援ではなく、問題点の指摘をすることが仕事になっていたりします。
どちらかというと、上から目線の関わり方です。部下の方もその関わり方を短時間でかわす為に反省した振りでその場をごまかそうとしています。
営業会議がだまし合いや化かし合いの会議になっているということです。
少し話は脱線しますが、ずる賢い営業スタッフになれば、KPI(重要業績評価指標)が数値化されるので、上司がチェックしているKPIに嘘のデータを入力して営業会議を上手くやり過ごそうとしています。
具体的には、訪問もしていないのに訪問件数を多くしていたり、見込み案件でもないのに、見積提出枚数を増やしていたりしています。
当然、売上の結果の数値には反映されていないので、誤魔化していることは分かりそうなものなのですが、上司も営業プロセスが一生懸命に取り組んでいると勘違いをしているので、結果に繋げるように頑張れという訳のわからない叱咤激励をしています。
部下は、改ざんデータを営業管理システムにインプットすることで、営業会議で怒られないようにしているだけなのに・・・。
そう、営業会議で怒られないことを目的に、嘘のデータを営業管理システムにインプットしているということです。
もっとひどくなれば、上司が営業会議で指摘しやすいようにデータを改ざんしている営業スタッフもいます。(昔の税務調査の調査員が指摘できるようにお土産のデータを事前に用意している感じです)
これは、営業会議が上司からの上から目線での指摘だけで終わっているパターンがそれになります。
そして、営業会議は、反省だけで終わり、次の具体的な行動は決まっておらず、次の営業会議でその反省からどのような行動になったのかという検証もないため、また、お決まりの反省会だけで営業会議は終了しています。
このような状態の会社では、営業管理システムを導入しても、反省会で終わることから、高額なシステム投資をしても無意味であるということです。
そう、営業管理システムを導入する以前の問題であるということです。
このままでのコラム記事では、営業管理システムを導入しても無意味であるという内容で終わってしまいそうなので、営業管理システムを導入して成功している会社の例も紹介しておきます。
営業管理システムが上手く使えている会社は次の2つが上手く機能しています。長文になっているので、シンプルにお伝えします。
ひとつ目は、現実の理解です。営業管理システムの分析データを批判や指摘に使うのではなく、営業スタッフの現状の理解に努めるということです。
ここでは、分析データに良い悪いという判断を入れないということです。まずは事実確認です。そして、相手を理解するということです。ここに信頼関係が生まれます。
そして、現実を理解した後、ふたつ目は進むべき方向あるいは目的に対して、何をすれば良いのかという方法を一緒に考えることをしています。
そう、方法を一緒に考えるがふたつ目です。
問題点の指摘だけをして放ったらかしにはしていないということです。あるいは、叱咤激励のムチで気合入れだけで終わっていないということです。
一緒に方向性を考えて、最後は、それを互いにコミットメントしているので、後は、進捗の確認を行い、何が良くて何が悪いのかの振り返りを行っています。
そして、上司の営業部長は、コントロールできることと、コントロールできないことをしっかり認識しているので、コントロールできることをどれだけできているかをチェックしています。
コントロールできることをしっかり実践しているのに、結果が出ないこともあります。その時は、部下を叱るのではなく、再チャレンジのアイデア出しを行います。
ただ、コンロールできることをしっかり実践せず、さぼっている場合は、しっかりと叱ることをしています。さぼりは怠慢だからです。ただ、仕事に緊張が続く場合は息が詰まるので、息抜きを上手く認めながら推進をされています。
少し話が脱線しているので、最後にまとめます。
営業管理システムを導入する際、上手くいく、いかないという判断基準は上司と部下の関わりにあるということです。
上から目線の批判や指摘だけで、後は放ったらかしになっていれば、何をしても上手くいかないということです。
営業会議も単なる反省会で終わり、最後は、上司と部下の化かし合いで上手くやり過ごすということに終始するからです。
上手くいっている会社は、営業管理システムをまずは現状の理解に活用しています。そして、この現状の理解を何にするのかをKPIに落とし込んでいます。
そして、進むべき方向性に対して、課題になっていることを一緒になって考え、方法を具体的(5W1H)に決めています。方法が具体的なので、実践の進捗の振り返りも行い、次の方法も検討しています。
これが機能している会社は、あれもこれもと進むべき方向を決めていません。なぜなら、やることが多いと中途半端で終わることを理解しているからです。
その会社にとって、緊急なことと重要なことは何かを営業部長が把握して、そのなかで大事な優先順位決めておられます。(営業方針は絶えず意識されています)
行き当たりばったりの思い付きではないということです。行き当たりばったりも違う視点で見れば、臨機応変に見えてよいかもしれませんが、多くの会社では、すべてが中途半端で取り組みが終わり、気が付けば、目新しいことばかりに目移りして何をすればという無限ループにハマっていたりします。
やっているつもりの「つもり」に安心感を求めている状態です。
あなたの会社では、上司と部下の関わりは機能していますか。
それとも、化かし合いの営業会議をまだ続けられますか。
