仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第284話 なぜ、営業における目標売上を毎年上げ続けると社員は疲弊するのか
「市場が成熟する中で、営業の個人目標売上を対前年比10%アップで設定すると、社員が露骨に嫌な顔をするようになりました」
「今で目一杯なのに、これ以上もっと働けというのかという雰囲気です」
「でも、今日のセミナー中に聞いた、成長ゾーンの図をみて、目標売上を上げ続ける理由が見つかりました」
市場が成熟する中で、毎年、個人目標を上げ続けることに葛藤されていた経営者が、当社のセミナーを受講されてポロっと話された言葉です。
まずは、この経営者がセミナーで確認した、成長ゾーンの図を以下に記します。
この図は、「目標数値」と「能力・スキルの向上」のバランスが取れているゾーンの状態に入ると目標数値が自動的に高まるというものです。
ただ、能力・スキルが高いのに目標数値が低いと「退屈ゾーン」になり、こなす仕事がメインで安住を求めチャレンジは拒否するようになります。
また、能力・スキルが低いのに、毎年、目標数値だけがアップしていると「ストレスゾーン」になり、新しいチャレンジが恐怖になり、気が付けば離職が増え社員の定着率が悪くなります。
そう、この図で言いたいことは、目標数値を高めるのであれば、能力・スキルとのバランスが大事であるということです。
当たり前のことを言っています。
そして、営業スタッフの状態が成長ゾーンに入るようになっていれば、目標数値が毎年アップしていても問題はないということです。
ただ、成長ゾーンに入っている営業スタッフの方が少ないのに、目標数値だけを上げ続けていると、社内に不協和音がでるようになります。
今回、質問された経営者の会社は、まさしく、目標数値と能力・スキルの向上の成長ゾーンに入っている人材が少ないのに、対前年比〇〇%アップという根拠のない目標数値設定をしていたので、不協和音がでていました。
ただ、この図も正しく理解していないと「分かったつもり」の「つもり」で終わり、逆に目標数値の設定に失敗してしまいます。
よって、この落とし穴にハマらないようにするために、セミナーでは話していなかったことをもう少し掘り下げてコラム記事にしました。
今回の質問の事例を引用すれば、落とし穴が2つあります。
ひとつ目は、「目標売上が対前年比〇〇%アップの根拠のない設定になっている」です。
対前年比〇〇%アップは、昭和の高度成長期であれば、使える目標設定です。
なぜなら、市場は右肩上がりだからです。この時代はマネジメントというよりも、どれだけ頑張って馬車馬のように働けるかが重要な時代でした。
今は時代が成熟期なので、高度成長期とは違います。
詳細を説明すると、長文になるので、ポイントだけを記載します。
目標設定にはいろいろな方法があるので、正解・不正解はないのですが、最低限、次の2つの取組み状況を確認してみてください。
この2つがあれば、目標設定の基本は押さえていることになります。
それは、目標達成するための年間の営業戦略と売上の裏付けの顧客計画です。
シンプルに言うと、「年間の営業戦略」と「顧客の裏付け計画」です。
具体の詳細は省きますが、この2つが無い状態で、対前年比〇〇%アップの目標設定をしていれば、時代錯誤も甚(はなは)だしいということです。
コラム読者の方は大丈夫と思いますが、念のため確認しておいてください。
厳しい言い方になりますが、この2つが無い状態で、目標必達を声高く叫んでも、精神論か神頼みに任せるしか打開策は見えてきません。
次にふたつ目です。
もう一度、以下の図を見てください。
ふたつ目は、能力・スキルは何を向上するのかが案外、分かっているようで分かっていないということです。
具体例を挙げると、当社の経験則で言えば、能力・スキルの向上でクライアントの要望が一番多かったのは、営業トークのスキルと提案書作成のスキルの2つでした。
営業トークは、顧客の反論に対応できる応酬話法のスキル。
提案書作成のスキルは、顧客の成約率を高めるための営業ツール作成スキル。
もし、能力・スキルの向上をこの2つだけにしていれば、成果は乏しいと言わざるを得ません。
この時点で、成長ゾーンに必要な能力・スキルが「分かったつもり」の「つもり」になっています。
このことから、当社が営業トークと提案書作成だけのコンサルをしないのはそのためです。
でも、クライアントのコンサルのニーズが高いのは、この2つです。
なのに、この2つに特化しないのは、この2つは、目標必達で言えば2割の効果しかないからです。
そう、たったの2割です。
瞬間風速の効果は一番早いですが、長い目で見れば2割の効果です。
「言っている意味が・・・」という声が聞こえてきそうですね。
その前に質問です。
あなたの会社で、営業の目標必達において、能力・スキルの向上は何かと聞かれたら何と答えますか。
この答えが、あなたの会社で大事にしている能力・スキルの向上になります。
もし、営業リーダー以上の方で、この答えに即答することができなければ、能力スキルの向上は大事であると叫んでもスローガンで終わることが目に見えています。
なぜなら、会社で大事にしている能力・スキルの向上が営業リーダー以上の方が理解していないからです。
もし、この状態で、営業スタッフに営業研修に参加させていれば、何をしているのか意味がさっぱり分かりません。
恐らく、研修は、単なる勉強会で終わり、「知っているつもり」の「つもり」で終わるので、研修の費用対効果はありません。
費用対効果を求めるのであれば、営業スタッフ研修よりも、見込み客獲得のネット広告等に投資をした方が効果は高いかもしれません・・・。
話が脱線しているので、本題に戻します。
これは、あくまでも当社の例になりますが、当社が推奨している能力・スキルを以下の図にまとめました。
これは、あくまでも当社の経験則なのですが、戦略構築スキルとマネジメント能力が目標達成の重要度の8割を占めます。(この中に考え方も含まれます)
戦術実践スキルは目標達成の重要度の2割です。
長文になっていますが、ここからは、個別コンサルで人間関係が構築できたクライアントだけに話している2つのことを伝えます。
当社では、この2つをもの凄く大事にしています。でも、セミナーだと誤解を招くだけなので、セミナーでは、この話を封印しています。
よって、いまひとつ理解できないかもしれませんが、こんな着眼点もあるという感じで、お付き合いいただければ嬉しいです。
ひとつ目は、何をするのかを「決める」の決断ができた時点で、成果の5割以上は確定するということです。
そう、「決める」です。
上記の図を見た方からいただく質問は、「どのような戦略とマネジメントに取り組めばよいのですか」です。
当社で、基本の型として推奨している項目はありますが、結論は「何でもよい」になります。
それ以上に大事なことは、「決める」ができているかです。
何をするのかに焦点が当たっている限り、戦略やマネジメントは、機能しない恐れがあるからです。
この「決める」も取りあえずになっていれば、決めたことにはなりません。「決める」のではなく、選択したという表現が適切です。
そう、決めたのではなく、選択をしただけです。
「決める」は、「こだわり」と「やり切る」という覚悟が必要になるからです。
勘のいい方は理解できると思いますが、戦略とマネジメントは、取り組んでからというよりも、取り組む前に勝負が決まるということです。
なぜなら、「決める」は、50%以上の成功率を占めるからです。
「決める」が出来ていない状態では、何をしても空回りで終わる可能性が高いです。(取りあえずの選択だけをした状態のことです)
でも、多くの会社では、この「決める」をないがしろにして、何をするのかに焦点が当たり、自社ではなく他社の成功事例の情報収集に一生懸命になっていたりします。本末転倒です。
ふたつ目は、マネジメントの定義と「見える化」です。
まずは、自社において、「マネジメント」とは何かを言語化してみてください。
「社員の管理やコントロール」という言葉が思い浮かんだ会社は、これも当社の経験則ですが、マネジメントは上手くいっていないように感じています。
当社は、「マネジメント」を「考えて行動する場づくりに必要なもの」と定義しています。
この言語化の定義に正解・不正解はありません。
でも、当社では、「マネジメント」を「社員のコントロール」という概念はありません。
そして、このマネジメントが言語化できれば、それを実践している「見える化」したものは何かを確認してみてください。
「見える化」は、上司と部下の情報を共有化するものです。よって、何を共有化するのかは、「見える化」したものでない限りミスコミュニケーションが起こります。
多くの会社では、この「見える化」したものが曖昧なので、口頭で終わらすか、必要な「見える化」が分からないまま仕事を勧めています。
この状態である限り、上司と部下のミスコミュニケーションは、なくなりません。コーチングという口頭だけの手法を勉強しても無意味といっても良いでしょう。
また、話が脱線しているので、最後にまとめます。(長文にお付き合いいただきありがとうございます)
目標数値を上げるには、能力・スキルの向上が必須になります。
この、能力・スキルの向上は、自社において、何なのかを言語化でき、その習得率は個人ごとに、どのようになっているでしょうか。
そして、習得率を高めるために、社内もしくは社外教育をどのようにしていくのか決まっているでしょうか。
戦略とマネジメントは、「何をするのか」が大事なのではなく、選択した戦略とマネジメントの実行を「決める」が大事になります。
この「決める」は、取りあえずではなく、「こだわり」と「やり切る」(40点主義OK)の覚悟があるものになります。
そう、覚悟です。
さらに、マネジメントの言葉の定義は言語化されているでしょうか。当社の経験則ですが、「管理」や「コントロール」では上手くいかないように感じています。
そして、マネジメントが機能しているのかは、「見える化」を何にしているのかを確認してみてください。
この見える化は、上司と部下が同じ情報を共有化しているものです。
目標売上の計画数値と結果の数値(年間・月間)しかなければ、99%の確率でマネジメントは機能していないと断言してよいでしょう。(結果だけの管理はマネジメントではないからです)
あなたの会社では、目標数値を高めるための能力・スキルの向上は機能しているでしょうか。
そして、戦略とマネジメントは、何をするのかにしか焦点は当たっていないでしょうか。
ものごとの成功は、何をするのかではなく、やる前の「決める」に隠された秘訣があるように感じています。
追伸)これは、余談です。経営幹部向けの話です。
戦略を立案して推進する時に、自分に興味がない、もしくはあまり分からない項目があったとしても、他人事のような関りをしないようにして欲しいということです。
具体的には、増客の戦略でネットを活用した見込み客獲得戦略を推進していたとします。
会社が「決めた」ことであれば、それを「やり切る」もしくは、自部署と関係が無くても応援は必須になります。
絶対にNGな行動は、他人事のような批判、もしくは無関心を装うことです。(批判ではなく、積極的に関わる改善案は大歓迎です)
この経営幹部の姿勢が、チャレンジする組織を形骸化させる元凶になっていたりするからです。
そう、これが一般社員の士気を下げている大きな原因だったりします。
ネットは分からない・・・、デジタル化よりも対面だよね・・・、だから俺は関わらないは、ご法度ということです。
今、30代の人は10年後40代で、重要なポジションにつきます。
そうすると、過去は営業の人からの情報でものごとを判断していましたが、これからは、人からの情報の前にネットでの情報やAI(人工知能)で大部分を解決する時代になります。
AI時代は、もう目の前です。AIになれば、最適情報を瞬時に判断するようになります。その時に紙ベースの提案書では時代遅れになります。
そうすると、今よりも将来を見越せばネット戦略やデジタル戦略は大事になります。
でも、この大事な戦略も、自分に興味がないことは、関わらないという経営幹部の姿勢は、社員の士気を下げていたりします。
変な独り言ですいません・・・。
追伸)もうひとつ、補足ですが、上記のことは、取り扱いの製品・サービスが製品ライフサイクルの衰退期に入っているものは通用いたしません。昭和時代にブームになった「ポケベル」の売上拡販を行う上で、社員の能力向上を行っても、効果はでなからです。
“指示待ち社員”を 6ヶ月で“自立型社員”に変貌させた「誰でも成約の達人」の仕組みの作り方セミナーは、こちらをクリック!
