「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第285話 営業トークを磨く前に、製品(サービス)の独自価値の「見える化」ができていますか

「我が社の指針として、価値提案型企業を掲げているのですが、営業スタッフの活動を見ていると、価格訴求型企業になっているように感じています」

 

「一度、営業会議にオブザーバー参加して、その後、営業トークを磨く研修を提案していただくことは可能でしょうか」

 

コロナ渦前に良くいただいた相談案件です。

 

というのも、このような相談をいただく会社は決まって、価値提案、課題解決、問題解決等の提案をしますという文言が名刺に刻まれていました。

 

名刺にこのような文言を記載すれば、営業スタッフの行動も変わることを期待していたようですが、現実は、価格訴求や人間関係力がメインになっているようでした。

 

よって、当社への相談として、臨機応変に顧客対応できる営業トークを磨けばなんとか現状打破のきっかけになるのではと考えられていました。

 

このような相談を受けた時に、当社が決まってする質問があります。

 

その質問は、「主力の製品(サービス)を一つ取り上げて、その製品(サービス)が顧客に提供する価値は何で、それを見える化したものを見せてください」です。

 

ここで大事なのは、会社の財産である製品(サービス)の価値は、「見える化」ができていないと社員と共有化ができず属人化になりやすいことから、このような質問をしています。

 

この時点で「見える化」したものが無いと回答する会社は、営業が属人化になっているので、営業トークを磨く以前の問題であることが見抜けます。

 

ここ大丈夫でしょうか。上記の質問の価値を「見える化」ではなく、口頭で回答する会社は、営業トークの研修を実践しても、出来る一部の方だけに効果を発揮して、凡人には何も効果を発揮しないからです。

 

で、価値を口頭ではなく、製品カタログや製品(サービス)提案書を見せられる会社もあります。

 

一見、問題なさそうな感じですが、実は、ここに落とし穴が2つ潜んでいます。

 

過去のコラム記事でもこの落とし穴について記載した記憶はありますが、違う切り口でもう一度伝えることにします。

 

なぜなら、この価値がしっかりしていないと、営業トークをいくら勉強しても無意味だからです。

 

当たり前のことを言っていますが、営業トークを磨けば売れると勘違いしている会社がいまだに多いように感じているからです。

 

営業トークは、製品(サービス)の価値が構築できた後の伝え方になります。

 

そう、順序があるということです。この順序をすっ飛ばして、いきなり営業トークをいくら勉強しても無意味であるということです。

 

少し、話が脱線したので、本題に戻します。

 

では、ひとつ目の落とし穴です。

 

「提供価値の悩み・願望は何かを見える化したものはありますか」です。

 

「えっ、ひとつ目の落とし穴の意味が分かりにくいのですが・・・」という声が聞こえてきそうですね。

 

過去に営業研修をしていた時の経験ですが、営業スタッフに、主力製品(サービス)の価値を付箋に書き出してもらうことをしていました。

 

この付箋に書き出したものをホワイトボードに張り付けるとあることに気づかれます。

 

その気づきとは、製品特徴のことを書いてあったり、顧客メリットの〇〇ができるということを書いてあったり、〇〇の悩みを解決しますという悩みのことを書いてあったり、着眼点がバラバラになっているということです。

 

そう、製品(サービス)の価値の着眼点がバラバラになっているということです。

 

このバラバラになっていることに気づいていれば問題はないのですが、案外、ここに気づいていなかったりします。

 

念のため、あなたの会社では、主力製品(サービス)の価値はどのような着眼点で書かれているでしょうか。(製品提案書やWEBページがあれば確認してみてください)

 

ここに正解・不正解はありません。まずは、どのような着眼点で書いてあるかということを認識できていれば問題はありません。

 

そう、認識です。

 

ある会社では、悩みと顧客メリットが混ざった形でひとつにされていました。

 

さて、今回のコラム記事も長文になっていますが、もう少し深堀しますね。

 

営業研修に参加した方は、聞かれた言葉ですが、「顧客は、製品(サービス)を買っているのではなく、顕在・潜在の問題解決を買っているのである」があります。

 

違う表現にすると、顧客は「モノ」ではなく「コト」を買っているです。

 

この言葉を「分かっている」のではなく、「出来ている」にする必要があります。

 

「出来ている」にするために必要なのが、「見える化」になります。

 

「なんか、難しいことを言っていませんか」と感じているかもしれませんね。

 

製品・サービスを購入する前に、顧客は悩み・願望があります。その悩み・願望を解決するために具体的な価値があります。

 

そう、矢印で順序を表現すると、顧客の悩み・願望→提供価値です。

 

基本の型に現すと、悩み・願望と提供価値は分かれているということです。

 

車を例にすると、林道の奥深くのキャンプ地で自然を満喫したいという願望に対して、それを実現する提供価値が4WD(4輪駆動)になります。

 

でも、研修で価値を付箋に書いてもらうと、願望だけを書いていたり、提供価値の文章だけを書いていたり、願望と提供価値をセットで書いていたり、提供価値のキーワード(車の例では4WD)だけを書いていたり、バラバラになっているということです。

 

バラバラになっているということは、この時点で営業は属人化になっているということです。

 

厳しい言い方ですが、社内に価値というものが、分かっているようで、出来ていないということです。一部の方だけにノウハウが蓄積されている状態です。

 

では、参考までに、とある主力製品(サービス)の一例を図示します。(イメージとして捉えてください)

まずは、文章をキーワードにして、悩み・願望と提供価値に分けてまとめます。

 

そうすると、あることに気づきます。ひとつの悩み・願望のキーワードに対して、複数の提供価値を紐づけることができます。

 

そう、ひとつの悩み・願望のキーワードに対して、3つ以上の提供価値があるということです。(会社によっては、5個以上のケースもあります)

 

上記の図のように価値の見える化をしておけば、新人でも会話のボキャブラリーに困ることはありません。なぜなら、どんなに少なくても主力製品には、最低でも10個以上のボキャブラリーはあるからです。

 

そして、これは余談で、過去コラム記事にも記載しましたが、独自の価値は、提供価値に作るのではなく、顧客の悩み・願望に作ることが理解できるようになります。

 

競合が訴求していない、提供価値ではなく、競合が訴求していない悩み・願望が見つかり、その優先順位が顧客の中で高ければ、価格競争から脱することが出来ます。(ここが分かれば、営業が面白くなります)

 

これが、真の顧客視点です。もうひとつ余談を言えば、競合の主力製品(サービス)をWEB情報だけでも構わないので、上記の図にまとめることをお勧めします。

 

そうすると、案外、顧客の悩み・願望と提供価値が分かっているようで、分かっていないことも理解できます。

 

そのような場合は、競合の営業スタッフも属人化になっている可能性が高いので、営業力が弱い拠点があればそこを重点的に攻めるのもありかもしれません。

 

なぜなら、製品(サービス)の価値が組織ノウハウになっていない可能性が大だからです。

 

次にふたつ目の落とし穴です。長文になっていますが、もう少しだけお付き合いください。

 

主力製品(サービス)の価値を付箋に書き出してもらうと、もうひとつ気づくことがあります。

 

それは、文章が曖昧な言葉になっているということです。

 

脳は省略して言語化(文章化)するので、これは仕方の無いことなのですが、営業活動には、次の考え方があります。

 

「購入は2度行われる、1度目は頭の中、2回目は現実」です。

 

よって、顧客には、頭の中で具体的なイメージをどれだけ描いていただくかが勝負になります。これが第1段階目になるからです。

 

このイメージも営業スタッフの言葉では信憑性はありません。信憑性があるのは、顧客の具体事例になります。

 

この顧客も同業他社の事例になります。そして、当然ですが、事例も口頭で伝えるのではなく、「見える化」したもので、伝えなくてはなりません。

 

上記のことをまとめたものを図にしました。

何となく、伝わっているでしょうか。

 

これを営業の基本の型として持っている会社に、営業トークを身に着けると売上の伸びは飛躍します。

 

でも、独自価値が競合も訴求していない強力なものであれば、営業トークは必要ないかもしれません。

 

最低限の質問形式の営業トークのやり方だけ押さえていれば新人でも売上アップは可能です。

 

この独自価値の基本の型ができあがれば、戦略と組み合わせれば売上の伸びは更に期待できます。(戦略と戦術の同時推進です)

 

営業トークの改善の比ではありません。

 

このことから、価値の基本型の「見える化」が出来ているからこそ、営業トークを磨けば更に効果が期待できることも理解できたかと思います。

 

価値の基本形の「見える化」が無い状態で、営業トークを磨いても属人化が加速するだけです。

 

でも、このことに気が付かずに、瞬間風速が期待できる営業トークの研修に社員を参加させて売り上げ増加を期待している経営陣が稀(まれ)におられます。本末転倒です。

 

最後に大事な余談をもうひとつ・・・。

 

これは、私が30代の時に1000人以上の営業スタッフの指導をしていた時に気づいたことです。

 

全国から色々な営業スタッフが集まりますので、当然、トップセールスと言われる方も参加していました。

 

この当時の私は、トップセールスという方は、活発かつ社交的で営業センスを持っている方という固定概念がありました。

 

このことから、見た目から醸し出されるオーラをものすごく大事な評価にしていました。

 

でも、よくよく見ていると、トップセールスの方が10人いるとすると、5人は活発的で社交的な方ですが、残りの半数は内気で社交的ではない方でした。

 

どちらかというと、おとなしめの性格の方です。

 

これは、意外でした。それから、おとなしめの方の営業スタイルをよく見るようにしました。

 

結果論ですが、営業スタイルは個々バラバラでした。

 

でも、共通していることもありました。

 

それは、以下の図の部分部分の順番が違うだけでした。

具体的には、クロージングを前面に出し、それから価値の具体事例を話して、その後に顧客が気づいていない願望を訴求して需要を喚起して成約に結び付けていたり・・・。

 

あるいは、顧客の悩み・願望と提供価値と価値の具体事例を一個ずつ順番通りに話すのではなく、小出しにして、顧客の反応を見ながら話をしていたり・・・。

 

そう、基本の型を応用した形で営業活動をして、自分のスタイルを確立されていました。

 

このことから、内向的なトップセールスの方は、価値の基本の型を応用していることが手に取るように分かりました。

 

そう、基本の型があるから、応用ができるということです。

 

これが、私が、トップセールスの方の既成概念が変わった瞬間です。

 

どちらかというと、天性の天才型トップセールスより、凡人の努力型トップセールスの人の方が顧客に寄り添っているので、自然とこの基本の型が見についているような感じがしました。

 

今回のコラム記事も最後は独り言のような感じになりましたが、最後にまとめます。

 

営業トークを磨く前に、主力製品(サービス)の価値の見える化はできているでしょうか。

 

この見える化は、顧客の悩み・願望と提供価値になります。

 

そして、悩み・願望と提供価値と価値の具体事例の3セットを営業ツールに落とし込めば、顧客視点の営業の型ができあがります。

 

この営業の型を何パターン持っているかが会社のノウハウになります。

 

このノウハウを営業活動の実践の場で活用することで、個々の営業スタイルを早期に確立することができます。

 

さて、あなたの会社では、主力製品の価値の「見える化」はどのようなものがありますか。

 

そして、それが営業活動で使えるものになっていますか。

 

追伸)提供価値の「見える化」ができれば、営業チームと技術チームの製品開発のコミュニケーションも活発になります。

 

しかし、提供価値の「見える化」が無い場合、一般論として、営業チームは技術チームに製品のスペックの高度化を求めます。(車で言えば燃費です)

 

技術チームは営業チームに顧客ニーズを求めます。(車で言えばライフタイル別の活用方法です)

 

結局、議論は平行線のまま、まとまらず、最後は、相手部署の個人攻撃になり、会議はきまずい雰囲気で終了していたりします。

 

長文なので、多くは語りませんが、価値の「見える化」を土台にして、営業チームと技術チームが共通認識の基、会議が進むと、良い方向で帰結します。

 

なぜなら、議論するポイントが「見える化」できているからです。

 

でも、「見える化」したものがないと、共通認識がないので、口頭で議論が脱線するばかりで最後はお決まりの個人攻撃で雰囲気が悪くなっているだけです。

 

営業会議単独で見ても、同じことが言えます。目標数値と結果だけの「見える化」だけなら営業プロセスが不明になるので、最後は、個人攻撃か、叱咤激励の精神論で帰結せざるを得ません。

 

このことに気付かれた会社から、何を「見える化」するのかを本気で考えるようになっていかれます・・・。

 

ただ、単なる見るだけの資料は、「見える化」とは言いません。「見える化」ではなく、「見てるだけ」です。

 

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