仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第61話 顧客情報を収集しても営業成績が向上しない理由とは
過去に当社のセミナーを受講された経営者が、孫子の兵法を勉強されており、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」の「彼を知り」という箇所を顧客情報に置き換えて、顧客情報の収集を社員に徹底されておられました。
「じゃあ、後は、己を知れば、営業成績は上がっていくのですね、良かったですね」と言うと、その経営者は、顔を下に向けてしまいました。
その経営者に「どうかされましたか」と問いかけると、「乾先生、実は、顧客情報は一生懸命に取得しているのだけど、営業成績の向上どころか、下がっているみたいなのだよ」と言われました。
その言葉を聞くと、ひょっとしたら、負のスパイラルに入っているなと思ってしまいます。
負のスパイラルとは、そのことを一生懸命にやればやるほど、売上は向上せずに、下がっていくということです。
コラム読書の方は、もう、気づかれているかと思いますが、今回のケースの問題点はなんでしょうか。
そう、顧客情報を収集しているだけで、活用がされていなかったのです。相手を知ることを一生懸命に行っているのですが、知った後の行動がされていませんでした。
顧客情報カルテの情報項目だけが埋まって、それを埋めることが目的なっていました。
このコラムの読者は、このようなことは、無いかと思いますが、大丈夫でしょうか。
顧客情報の活用の場が社内で設定されているでしょうか。
このようなことを聞くと、約8割以上の経営幹部の方は、大丈夫だと答えられます。そして、大丈夫と答えられた、経営幹部には、決まって、次の質問を行います。
コラム読者のあなたも、一度、考えて答えてみてください。もし、質問の意味が分からなかったら、質問をスルーしてください。
【質問】
1.部下が顧客データと顧客情報の違いを教えて欲しいと言ってきました。どのように答えますか。
2.貴社で一番重要な顧客情報のベスト5を1分以内に書き出してください。ベスト5には、3分以内で優先順位をつけてその理由も明確にしてください。
3.上記の回答を、部長、課長、主任、若手社員にも行ってください。5つの内4つは、同じ答えになっているでしょうか。(優先順位は問いません)時間は、上記と同じ時間で行います。
4.その顧客情報は、システム等に登録されているでしょうか。
5.その顧客情報はどの場面で活用されているでしょうか。
回答は、どのような回答でも良いかと思っております。質問の主旨だけ理解をしてください。
質問1は、顧客情報の意味の理解になります。顧客情報の意味を理解せずに部下に対して、顧客情報を取得せよと号令をかけていれば本末転倒になります。顧客情報活用以前の問題です。
質問2と3は、顧客情報の属人化の度合いを見ています。顧客情報を取得しても単なる属人化になっていれば、組織として顧客情報を活用することはできません。これも、顧客情報活用以前の問題です。
質問4は、顧客情報の管理レベルの状態を見ています。最低限として、記憶になっているのか、記録になっているかの確認です。単なる記憶であれば、顧客情報活用以前の問題です。
質問5は、どの場面で活用しているかです。場面は会社ごとに異なりますので、どこでも良いです。場が決まっていれば、その場で顧客情報を見る習慣ができているかです。そう、その場で顧客情報を見る習慣です。顧客情報を活用していると言っても、その場で顧客情報を見る習慣がなければ、活用できているとは、言えません。
さて、あなたの会社は、質問1から5までありましたが、どの段階までクリアしているでしょうか。
質問5までクリアできていれば、「顧客情報を活用できていますね」と答えています。
ただ、質問1〜4までがクリア出来ていなければ、「顧客情報活用以前の問題ですね」と答えています。
今回のコラムは、ここで終わろうと思っていましたが、コラム読者に顧客情報の活用を行って欲しいので、もう少しだけ掘り下げます。
もう少し、お付き合いください。
冒頭にも述べましたが、顧客情報の活用の場面をどこに設定されているでしょうか。これは、会社ごとに異なるのですが、当社のコンサルティングにおいては、必ず実施していただいている場面があります。
それは、そのうち客に対してアプローチの営業シナリオを構築する時です。(そのうち客の意味については、コラム52話を参照ください)
シナリオ構築を簡単に言えば、情報見込みシートと行動管理シートと提供価値シートを見ながら、そのうち客に提供する価値は何にするか、その価値を提供する前に、事前に押さえておく顧客情報は何か、営業トークの3ステップのトーク骨子をどのようにするのか、想定される顧客からの反論はどのようなものか等の事前準備を行います。(そのうち客の攻略は事前準備が8割になるからです)
これが、考える場づくりです。今すぐ客にも顧客情報は使いますが、メインはそのうち客に活用しています。
これを実践していただくと分かるのですが、会社で決めて収集した顧客情報以外にも取得する情報があることが分かってきます。
これを意識化することで、顧客情報を習得することができるので、提供価値の反応が高まってきます。このことを理解しているのと理解していないのでは、顧客情報の活用方法も変わってきます。
そう、会社で決まっている定型の顧客情報を習得することが狙いではありません。提供価値の反応を高めるために顧客情報を収集しています。
ここ、大事なので、もう一度言います。
提供価値の反応を高めるために顧客情報を収集しています。
そうすると、当社のクライアントの方は、理解していただけると思うのですが、顧客情報のシートのフォーマットがシンプルになっているのが理解できます。
A4用紙1枚で、20社ほどの顧客情報が見られる形になっているからです。1社でA4用紙1枚にはなっていませんよね。(但し、システム登録する際は、1社でA4用紙2枚ほどにはなります。住所情報等があるためです。)
これは、そのうち客の営業シナリオ作成の場で使いたいために、そのような設計になっています。
当社のセミナーで、A4用紙1枚で、20社ほどの顧客情報が見られる形の話をすると、結構驚かれたりします。多くの会社がA4用紙1枚で1社の管理を行っていたりするからです。
ちなみに、このシートを情報見込みシートと読んでいます。
誤解のないように、お伝えすると、A4用紙1枚で1社の管理が悪いと言っているのではありません。そのうち客の営業シナリオを作る上では、A4用紙1枚で、20社ほどの顧客情報が見られる形の方が良かったからそのようになっているだけです。
そう、顧客情報の活用の場面に合わせて、情報見込みシートの作成をしているだけです。
当社の、支援先では、そのうち客の営業シナリオづくりの時に、顧客情報の効果を発揮しやすかったから、そのようなシートになっています。
でも、多くの会社は、顧客情報の活用場面のことを想定せずに、どのような顧客情報を収集しなければいけないのかということで、顧客情報の量を大事にしていたりします。だから、営業メンバーが共有して顧客情報を見る時に、検索に時間を要し、結局は顧客情報を見ずに会議等が進行しております。
以上、なんとなく、当社の言わんとすることは伝わっているでしょうか。
顧客情報の設計は、活用の場からスタートしています。
そして、その活用の場では、どのような情報見込みシートが良いのか。(A4用紙1枚で1社の管理なのか、A4用紙1枚で20社の管理なのか等)その情報見込みシートに掲載する顧客情報は、どのようなものにするのか。
でも、活用の場から設計せずに、どのような顧客情報が必要になるのかから、スタートすると、上手く活用できなかったりします。
ただ、例外として、当社のコンサルティング現場では、活用の場面からの話をすると混乱しそうな会社があります。
例を挙げるなら、そのうち客のシナリオ構築という概念がない会社です。その場合は、どんな顧客情報が必要なのかという着眼点から着手する場合もあります。
しかし、当社の頭の中では、そのうち客での活用ということを意識しておりますので、そこに着地できるようにコンサルティングを進行しております。その会社の風土に合った進め方です。
話が脱線しましたので、本題に戻ります。
あなたの会社では、顧客情報の活用の場面が設定されているでしょうか。そう、場づくりです。これがないと、顧客情報を収集しても営業成績は、向上しません。
場づくりができてくると、「この価値を提供するには、この情報も聞いておかないといけないよね」という会話が飛び交います。こういう会話が飛び交うと組織が自走していきます。
あなたの会社では、情報見込みシートを活用して、顧客情報は活用できていますか。
