仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第60話 営業の見える化で押さえておいて欲しいこと
先般のコラムで営業の見える化で、顧客情報と行動管理の2つが最低限、押さえておいて欲しい項目であることを書きました。(コラム51話 営業活動の見える化を実施する時の落とし穴)
そうすると、当社のクライアントの若手営業担当者が、「顧客情報と行動管理を見える化をして、営業会議でしっかりと未来について討議すれば良いのですよね」との質問を受けました。
この言葉を聞いて、こちらの本当の意図が伝わっていないと、また、反省をしてしまいました。
というのも、51話のコラムで書いたのは、最低限押さえて欲しい項目として書いていました。
そう、最低限です。
本当のことを言えば、この最低限にもうひとつ、見える化をしていただいています。
最低限の顧客情報と行動管理よりも、もうひとつの方を本当は、ものすごく大事にしております。
実は、このもうひとつのことは、当たり前といえば当たり前なのですが、出来ている会社が少ないというのが現状です。
個人個人の頭の中では、理解できているが、見える化として、組織として共有できているかということです。
多くの会社が、共有できておらず、属人化の無意識で実施しているように思えます。
「話を引き延ばさないで、教えてくださいよ」という声が聞こえてきそうですね。
答えは、顧客の悩みと願望に連動した提供価値(キーワード)の見える化です。
(詳細は、コラム20話 顧客視点の販売促進が出来ているかを参照)
提供価値(キーワード)だけでも駄目です。例えば、短納期対応、生産性向上、体脂肪10%削減等のキーワードのみの羅列です。
提供価値は、顧客の悩みと願望に連動して初めて意味が出ます。(詳細は、コラム54話 自社の製品・サービスの提供価値を作る上での注意点を参照)
当社のコンサルティングでは、製品カテゴリーごとに、顧客の悩みと願望が連動している価値(キーワード)を価値提供シートとしてA3用紙にまとめていただいております。
当社の、コンサルティングを受けておられる方は、この提供価値シートづくりに興味本位で、はじめは、熱心に取り組まれる傾向があります。(いまひとつ、理解できない会社様には、こちらが叩き台として、半ば強引に作成していく場合もあります)
ただ、この提供価値シートは、作って終わりではありません。そう、作ることが目的ではないからです。顧客の悩み&願望と提供価値が見える化をすることが出来たら、営業会議で価値提供シートを見て、議論する場を設けているかということが重要になります。
そう、考える場です。
そして、この提供価値シートも、ある習慣が身につけば、営業会議でも使わなくてもOKにしています。
その、習慣とは、顧客視点の習慣です。
「何を、当たり前のことを今更、言っているのですか、今時、一般書籍でもそんな当たり前のことを大きな声で言う人はいませんよ」という声が聞こえてきそうですね。
でも、私は、声を大にして、このことを言い続けています。
その理由は、なぜか・・・。
特に、製造業に多いのですが、顧客視点と言いながら、実際は、製品視点で物事を考えているケースが多いからです。
提供価値シートが完成すれば理解できるのですが、製品開発を行っている会社の新商品のプレゼンは、製品視点のプレゼンになっているケースが多いかもしれません。(全ての会社を見ている訳ではないので、あくまでも仮説です)
このようなことを言うと、「いやいや、そんなことは無いですよ。顧客視点は当たり前なので、我が社は大丈夫です」と言われるかもしれません。
では、一般論として身近に感じる、ダイエット商品を例にあげて説明します。
【提案営業のワンシーン】このダイエット運動プログラムは、スポーツクラブ等で運動を継続して実施することが苦手な方に最良の商品になります。なぜなら、たった、3分でスポーツクラブ2時間に相当するエネルギーを代謝することができるからです。歯を磨きながらでも出来るので、毎日継続することが可能な運動プログラムです。
「えっ、上記の説明のどこが製品視点なのですか、ちゃんと顧客のメリットも訴求できているじゃないですか」と思われるかもしれません。
でも、何か、違和感に気づきませんか。
多くの営業マンは、無意識で営業活動をしているので、気づきにくいかもしれません。ただ、このことを若手が意識できだすと、売れない営業マンが売れるようになったりします。
それは、冒頭の主語が製品になっているか顧客になっているかの違いです。
そう、冒頭の主語です。
冒頭の主語が顧客になっている場合は、「ダイエットする時は、どのようなことに取り組まれたことがありますか」というように、顧客の現状から確認します。
当たり前のことです。
でも、意識できていないと、大体が、「この製品はですね・・・」と製品が主語になっています。
では、製品が主語では、なぜ、良くないのか。
ここで、誤解しないで欲しいのですが、手法なので絶対に駄目だとは、言いません。考え方を理解してください。
その製品を買うのでは誰でしょうか。顧客です。当たり前です。そうすると、主体は誰になりますか。製品ではなく、顧客ですよ。だから、主語は、顧客になっているだけです。
すごく、シンプルな考え方です。
トップセールスマンは、製品が主語になっていても、話の途中で、顧客視点に変わっています。そう、無意識で実行しています。
ただ、若手営業担当者に主語を製品にすると、ほとんどが説明型の営業になっています。主語が、製品なので、顧客に焦点が当たっていないので、説明の後、顧客は「ふ〜ん」で終わっています。
この、顧客視点を意識して、体に覚えていただくために、提供価値シートの見える化をして、営業会議で活用していただいています。
そして、提供価値シートを本格的に活用できてくると、価値を意識することで、さらに、色々な価値が見えてくるというのを理解できるようになります。
これは、言葉よりも体感していただくと理解できるので、文章の説明は割愛します。
色々な価値が見え出してくると、営業はつらいから面白いに変わったりします。
そして、ある会社の営業本部長に、「営業の本質はいつまでも変わらないと思います。なぜなら、売っている相手は人間だからです。AIではありませんからね。」と伝えたところ、ものすごく、共感していただきました。
この言葉に、共感していただいた方は、どの会社でもスーパーセールスマンだった経験をお持ちの方ばかりでした。(当社の経験則です)
そして、シンプルに言うと、今回の主語を顧客にしているのは、売っている相手は人間だからです。この本質を理解していれば、主語は、製品ではなく、顧客になります。
若手から、このことを意識して取り組むことができれば、営業成績が向上することが理解できます。
顧客に何を言うのかではなく、どの価値を提供すれば良いのかを考える習慣が身につくからです。そうすると、何を話せば良いのか分からないというのは、なくなります。
その習慣を身につけていただくために、価値提供シートを見える化をしているだけです。
あなたの若手の営業担当者は、主語を顧客にして話を進めているでしょうか。
そして、見える化の3種の神器の提供価値シート、情報見込みシート、行動管理シートを営業会議で活用することは、出来ているでしょうか。
活用が出来ていれば、考える場づくりは出来上がってきます。
活用できていなければ、出来ていないことの指摘だけで終わる大反省会になっているかもしれません。
主語が顧客・・・。当たり前のようですが、若手にとっては当たり前ではないかもしれません・・・。
このことに、気づかずに、ロールプレイングで営業トークの演習をいくら行っても、効果は薄いかもしれません・・・。
