仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第164話 営業目標達成が個人の営業力と同じでない理由
機械メーカーのA社の営業責任者が、○○拠点の営業リーダーは、3年連続で個人の営業目標を達成しているので、営業力が高いという評価を幹部会議で発言をされていました。
一見、正論に見えますが、実は、ここに大きな落とし穴があります。
この落とし穴は、管理顧客が300社以上もしくは、全社で営業スタッフが5人以上いる会社によくあることです。
上記に該当しない方は、将来そのようなことが起こるという前提で聞いていただければ幸いです。
この落とし穴については、以下の図を用いてクライアントに説明をしています。
この図から落とし穴を理解することができるでしょうか。
この図で言いたいことは、
1、売上増にかかる時間は、既存顧客が短くて新規顧客は時間がかかる(縦軸)
2、会社規模が小さいと人間力でなんとかなるが、規模が大きくなると事前準備の提案書等の営業ツールが必要になる(横軸)
とうことです。
もう少し噛み砕くと、新規顧客開拓と既存顧客の規模の大きい会社への未取引商品の提案には、考える力が必要になってくるということです。
そう、考える力です。別の言葉に置き換えると準備力です。
「えっ、何が言いたいのですか、当たり前のことですよね」という声が聞こえてきそうですね。
でも、実情は、考えてこちらから仕掛けている営業スタッフは少なく、顧客から言われて行動していることが多かったりします。
そう、能動型ではなく、受動型です。
仮に能動型であっても、上記の図でいうと、既存顧客の小規模の所ばかりに提案をしていたりします。
これは、提案というよりも、提案の準備の必要がない人間力でなんとかなる領域です。
営業ツールも必要なく、フリートークのノー準備で対応ができるからです。
厳しい言葉で表現すると、「行きやすい顧客、会いやすい顧客」にだけ提案をしている状態です。
この、「行きやすい顧客、会いやすい顧客」が曲者(くせもの)です。
会社にとって、本当に訪問が必要な顧客であるのか見極められているかです。
案外、会社視点ではなく、営業スタッフ視点になっていたりします。
さて、あなたの会社は、既存顧客の規模の大きい会社に未取引商品の提案や新規開拓を積極的におこなっているでしょうか。
これらのことから、営業目標達成が個人の営業力と同じではないことを理解することができることでしょう。
受動型の受け身だけで営業目標を達成していれば、個人の営業力はついていないということです。
少し、別の例を挙げて補足説明します。
サービス業のB社で新規の営業所を開設することになりました。このエリアは成功が必須だったので、各拠点から営業成績が高いベテランを招集することになりました。
メンバーの選出基準は、営業成績が高いベテランです。
結果どうなったか・・・。
初めの3ヶ月は鳴かず飛ばずで終わりました。しかし、営業本部長は、営業成績が高いベテランを集めているのだから、そのうち成果が出るだろうと考えていました。
結果、半年経過しても鳴かず飛ばずで終わっていました。経営会議で営業本部長が社長に報告する際、顔色が青白くなっているのが印象的でした。
この後、当社が関わったのですが、あることが判明しました。
営業成績が高いベテランは、毎年、既存顧客のみで売上をあげていました。そして、その既存顧客も優良顧客を確保していました。ベテランなので、優良顧客を自分の担当にしていました。
結果、営業力を高めなくても自動的に売上が上がる構図になっていました。そう、営業力が高いのではなく、自動的に売上があがる受動型営業スタイルに染まっていました。
新規の営業所で必要な能力は、受動型の営業スタイルではなく、能動型の営業スタイルです。
しかし、招集されたメンバーは、受動型の営業スタイルの人間ばかりでした。単純に営業成績が良いから営業力が高いと思い込んだ営業本部長の完全な人選ミスです。
違う言い方をすれば、営業力をつけるという施策を実施していなかった、経営者のミスと言っても過言ではありません。
この実態を理解した経営者は猛省をされていました。
よって、この会社は、数値の目標達成と営業力は別であるという認識を持つようになりました。
どういうことかと言うと、既存顧客であれば、当初狙った中堅企業で増販出来た金額と新規顧客の開拓社数を評価基準に設けました。
ポイントは、こちらが狙った顧客をどれだけ獲得できたかです。顧客から問い合わせのあったものは含みません。
あくまでも、こちらから狙った顧客が評価基準です。
この評価基準ができたことで、
1、年間顧客の増販シート
2、情報見込みシート
3、増販増客施策シート
の重要性を腹落ちしていただくことができました。
上記の3つは、狙った顧客を獲得するために必須の見える化のツールだからです。
従来、この会社では、営業の目標数字を個人目標に置き換え、その目標達成を個人に任せるというスタイルを取っていました。
良い意味では、自由型ですが、悪い意味では放任型です。放任型なので、ベテランになればなるほど、優良顧客は自分の顧客になるように囲い込んでいました。
そして、新規顧客開拓は、営業成績が悪い若手に押し付けていました。取り敢えず、新規訪問リストを渡して訪問してこいという指導です。
もう一度、以下の図を見てください。
新規顧客であればあるほど、売上増にかかる時間は長いことから、攻略のためのシナリオを組織として考える必要があります。
でも、この会社は今まで組織として考えるのではなく、営業経験の乏しい若手に任して、取り敢えず訪問してこいというスタイルでした。
たまたま訪問して交通事故(予期せぬ出来事)にあうような感じで、新規を獲得し、その成果を営業所の成果にしていました。
交通事故(予期せぬ出来事)なので、営業のノウハウは蓄積されず、若手営業担当からは、新規顧客開拓は嫌な仕事と認識されていました。
違う会社では、新規顧客開拓は営業力を高めるための活動と認識されていたので、どのようなやり方を行うのかを年間ベースで組織として考えていました。
この考え方の違いだけで、新規開拓の成果の違いが出てきます。新規開拓を実行する前に勝負が決まっています。
少し話が脱線してしまいましたが、まとめます。
あなたの会社では、営業目標達成が個人の営業力と同じではないことは理解できているでしょうか。
そして、組織として営業力が高まっている指標は何にしているでしょうか。
もし、営業力が高まっているという概念がなければ、この指標を設ける機会になれば幸いです。
営業目標が仮に未達であっても、営業力が高まっていれば将来に期待が持てます。逆に、営業目標を達成していても、営業力が高まっていなければ、将来は不安です。
