仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第42話 営業テクニック(営業手法)の型は破るためにある
先日、コンサルティング支援している会社の営業担当者から次の質問をいただきました。
「乾先生は、営業活動において“守・破・離”の“守”の土台構築(マニュアル化)を大事にされているのですが、“守”を土台化(マニュアル化)するよりも“破”を土台化(マニュアル化)したほうが営業成績は伸びるのではないでしょうか」という質問でした。
これも、考え方なので、正解・不正解はありません。
“守・破・離”の“破”を土台構築(マニュアル化)した方が良いという会社は、それで正解です。あいまいな回答で申し訳ございません。
ただ、なぜ、それが良いのかという考え方だけを明確にしておいてください。
考え方がない上での、“破”の土台構築(マニュアル化)では、属人的営業を量産化して、営業職を辞めていく方が続出する可能性があるためです。(その理由については、コラムの11話に記載しておりますので、復習に読んでください)
では、当社の考え方について今日は、このコラムに書きます。
当社の基本的な考え方は、“守・破・離”の“守”を破っていただきたいのが本音です。
しかし、若手の営業担当者には、営業活動の“守”について、現場実践を通じてトレーニングで習得していただいております。なぜなら、トレーニングをしていただくのに、土台構築(マニュアル化)は必須だからです。
ただ、“守”が出来るようになって終わって欲しくはありません。“守”は、あくまでも基本なので、その型を破る努力をして欲しいのです。
この型を破る努力が、当社が大事にしている、考える場づくりと考えて行動する人材の育成になります。
基本の型だけを忠実に守るのであれば、何も考えずに、営業活動をルーチンワークのように捉えてしまう人が増えてしまうからです。
ルーチンワークになってしまうと、営業姿勢に情熱や思いが感じられなくなり、お客様からの信用を失うようになってしまいます。
そう、ロボットが営業活動しているように、お客様からしたら見えてしまうからです。
ここまで、説明すると次のような質問が出てきそうですね。
「分かりました。ということは、“守・破・離”の“守”はロボットを量産するだけなので、やっぱり、“守・破・離”の“破”をマニュアルにして、それを基に考える場づくりと考えて行動する人材を育成した方が良いのではないですか」というような質問です。
あなたも、このようなことを考えていますか。
実は、当社がこの“守・破・離”の“守”を大事にする、もうひとつの理由があります。それは、ある人物がテレビで言っていた言葉になります。
確か、カンブリア宮殿というTV番組に中村勘三郎さんが出演されていました。
中村勘三郎さんは、海外公演等を精力的に行われていた歌舞伎役者です。ご存知のない方は、ネットで調べていただければと思います。
その時に、次のようなことを言われていました。
「型破りとは型のある人がやるから型破り、型のない人がやったら、それは形無し」です。
奥が深いと思いませんか?
型破りとは、型があって成立するものです。型がなければ形無しです。
営業活動に置き換えると、“守・破・離”の“守”の型があって、それを破ることで、“破”が成立します。“守・破・離”の“守”の型が無い人がやったら形無しになります。
販売ステージの会社であれば、場づくりと考えて行動する習慣が身についており、少人数になりますので、“守・破・離”の“守”は意識せずに、自由にやっていただいております。その方が成果は出やすいからです。
しかし、マネジメントステージの会社になると社員人数が増えてくるので、場づくりと考えて行動する習慣が少し弱くなっていきます。(当社の経験則です)
そうすると、マネジメントステージの会社には、“守・破・離”の“守”の型を習得して、次の“破”における、考えて行動するレベルに進んで欲しいと思っております。
なんとなく、当社の言わんとすることは理解できるでしょうか。
守秘義務があるので、詳しくは言えませんが、型破りの事例をあげますね。
設備メーカの提供価値として一般的に多いのは、生産性の向上、品質改善、短納期対応、コスト低減、作業効率化等があります。よくカタロクグに掲載されているキーワードです。
まずは、“守”でこれらのことが具体事例を持って訴求できることが大事です。(あくまでも具体事例です。カタログレベルのあいまいな言葉では駄目です。詳細は、コラム22話に記載しています。)
ただ、この“守”がライバルも訴求していない独自なものになっていなければ価格競争に巻き込まれるのは言われなくても分かることです。
そして、この“守”の型があるところは、考える場づくりと考えて行動するという企業文化が形成されるので、“破”に進んでいきます。
“破”に進すめば、どのような提供価値が生まれるでしょうか。この企業の例を挙げると、出てきたキーワードにブランド構築支援や6次産業活性化支援というものがありました。
恐らく、この業界の設備メーカで、ブランド構築支援や6次産業活性化支援ということを訴求しているところは、まず、ありません。
これが、“守”の型を破った瞬間に生まれるものです。独自の価値は、“守”の型を破った瞬間に生まれたりするものです。ただ、考える場づくりと考えて行動するということが必須になります。
なんとなく、理解できるでしょうか。
そして、“守”の型を実践することで、今まで気づいていなかった、お客様の真の悩み等が見えます。
さて、あなたの会社は、“守・破・離”の“守”の型破りは出来ているでしょうか。あるいは、型がないので、形無しの状態になっているでしょうか。
よくある例として、営業マンがお客様から言われたことだけを淡々と処理をする会社の特徴として、“守・破・離”の“守”の型が無かったり、組織営業という意識が乏しく属人プレイヤーが育ち、ノウハウの共有化が出来ていないケースが多いように思えます。
もう一度、“守・破・離”の“守”について、このコラムが、考え直す機会になれば幸いです。
