「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第541話 実績を書くだけの営業日報を毎日書かせても、翌日の動きが変わらない

「日報は毎晩、私が全員分に目を通しています」

「それなのに、翌日の営業の動きが、前の日と何も変わらないんです」

「中身はどれも、実績を書くだけになっていて……」

営業日報を毎日書かせているのに、営業担当者が行き当たりばったりに動いているとしたら、その原因は部下の側にあるのではありません。

日報を何のために書かせているのかという、上司・経営陣の側の捉え方にあります。

なぜ、営業日報を書かせても、翌日の動きが変わらないのか

営業日報を書かせても、翌日の動きが変わらないとは、日報が実績を書くだけのものになり、そこに書かれた事実が営業担当者の次の日の行き先を決める材料として読まれていない状態を指します。

夕方に書かれた日報が夜に上司に読まれて閉じられ、翌朝は書いた本人も開かないまま出かけていく——そんな朝が続いている状態です。

たとえば、ある社長と私のあいだで、こんな会話があったと想定してみてください(説明のために作った会話です)。

社長「うちは日報を毎日書かせて、私が毎晩全部読んでいます。出していない者は一人もいません」

私「読み終えたその日報は、翌朝、どなたが開いていますか」

社長「翌朝ですか。読むのは私だけで、本人はもう次の日の外回りに出ていますね」

私「では、担当者の方は、その日の最初の行き先を何で決めているのでしょう」

社長「……そこまでは見ていなかったです。日報を出させていれば、本人も考えて動いているものだと思っていました」

日報を書かせて集めることが、いつの間にか目的になっているということです。

書かれた中身が翌朝の動きにどう届いているかは、誰も確かめていないのです。

毎日そろう日報は、会社が営業を見ているという安心にはなっても、営業担当者の翌日の行き先までは決めていません。

日報は手段であって、目的ではありません。

実績を書くだけの日報が続くと、営業の一日はどう決まっていくのか

実績を書くだけの日報が続く会社では、営業の一日が、次のような「事実が翌日に届かない連鎖」で決まっていきます。

① 書かれた事実が、会社の側にだけ溜まる

営業担当者は夕方、訪ねた先と用件と結果を日報に書き、上司は夜にそれを読んで、今月の売上の見込みを確かめます。

書かれた事実は会社の側にどんどん溜まっていきますが、書いた本人が翌朝それを読み返す時間は、一日のどこにもありません。

② 翌朝の行き先が、その日の電話と思いつきで決まる

翌朝、営業担当者が最初に手に取るのは、前の日の日報ではなく、ゆうべ届いた電話のメモや、いつも回っている取引先の順番です。

急ぎの電話が一本入ればそこへ向かい、何もなければいつもの順に回るという、行き当たりばったりの一日がこうして始まります。

これは担当者の怠けではありません。

日報を読み返して行き先を決める使い方を、会社の側が一度も求めてこなかった結果です。

③ 前の日と似た一日が、日報にきちんと残る

夕方には、前の日とよく似た一日が、また日報にきちんと記録されます。

外から見れば毎日休まず動いているように見えるため、動きが変わっていないことに、誰も気づきにくくなります。

④ 上司の確認が、結果の数字だけで終わる

上司が日報で確かめるのは結果と売上の数字ばかりで、足りなければ「もっと回れ」と声をかけて終わります。

数字は見ています。

けれども、次の行動を一緒に決める確認には、なっていないということです。

日報が毎日そろっているのに、その日報から次の動きを決める人は、社内のどこにもいないのです。

日報が毎日そろっていた卸売業で、営業の動きはなぜ行き当たりばったりだったのか

法人向けの卸売業の一社を舞台に、当社が想定した場面でお伝えします。

夜に読まれて閉じる日報

この会社では、営業担当者が夕方に訪ねた先と用件と結果を日報に書いていました。

社長は夜にそれを読み、売上の数字を確かめてから閉じるのが、毎日の決まった流れでした。

ある日の日報に、こんな一文がありました。

「初めて訪ねた事務所で、総務の担当者が、今の仕入れ先は配送が週に一度なので困っていると話していた」

社長は「これは見込みがある」と思い、そのまま日報を閉じました。

翌日、社長は別の用事もあって、この担当者の外回りに一日同行しました。

担当者は車に乗るなり名簿を開き、「今日は上から順に電話していきます」と言って、新しい先へ次々と電話をかけ始めました。

前の日に話を聞いた事務所へは、夕方まで一度も向かいませんでした。

ゆうべ社長が読んだ一文は、今朝の担当者の動きに、何ひとつ届いていなかったのです。

当社が以前ご紹介した会社でも、見込みの話を日報に書いたまま、また新しい先へ電話をかけていました。

前の日の日報から出かける朝
ステップ1:話しかけずに、出かけるまでの朝を見る

同行の翌週、社長は数日続けていつもより早く出社し、営業担当者たちが事務所を出るまでの様子を、離れた所から黙って見ることにしました。

担当者たちはホワイトボードの予定を見て、ゆうべ届いた電話のメモを手に取り、そのまま車へ向かっていきました。

前の日の夕方に自分で書いた日報を開いてから出かける人は、一人もいませんでした。

ステップ2:社長が自分で日報を書き、翌朝それを読んで動いてみる

次に社長は、自分でも三日間、営業担当者と同じ形で日報を書き、翌朝それを読んでから自分の動きを決めてみました。

訪ねた先と結果だけを書いた日は、翌朝いくら読み返しても、まずどこへ行けばいいのかが決まりませんでした。

自分で書いた日報なのに、です。

反対に、相手の困りごとのように次の動きにつながる事実を書いた日は、すぐに決まりました。

社長はそこで、自分が毎晩読んできた日報の多くが、翌朝の行き先を決めようのない記録だったと気づきました。

ステップ3:担当者が朝、前の日の日報を開いてから出かける

そのうえで営業担当者には、出かける前に、前の日の日報に書いた事実から今日の行き先と用件を決めてもらうようにしました。

予定を書き足させたのでも、新しい用紙を配ったのでもありません。

日報を読むことと、そこに書いた事実から次の動きを決めることは、別のことです。

前の日につかんだ事実が今日の行き先を決める材料になれば、電話のメモ任せだった一日が、昨日の続きとして動き始めうるからです。

そうした担当者も、出てきました。

当社がこの場面で大事だと見ているのは、社長が担当者を責めるより先に、日報が翌朝どこに置かれているかを確かめたことです。

この社長がこの朝を思い返すなら、たとえばこんな言葉になるでしょう。

「毎晩、日報を読んで安心していましたが、翌朝の行き先を決めていたのは、ゆうべの電話のメモでした」

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分かっているだけでは成果は変わらない、という考え方で点を付けていただく採点です。

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営業日報は、何のために書くものなのか

営業日報は、1日の実績を会社に報告するために書くもの——多くの会社では、そう捉えられています。

当社では、営業日報の目的は1日の行動の実績を書き残すことではなく、次の行動の計画を立てることにあると考えています。

実績を書くことだけが目的の日報なら、その場で破り捨てていただきたいほどです。

書く時間そのものが、営業の成果につながらないからです。

ここ、大事なので繰り返します。

日報で一番大事なのは、実績ではなく、そこから決める次の動きです。

レシートを貼るだけの家計簿は、先月どの店で何を買ったかはきちんと残っても、それを読み返さないかぎり、今週の買い物は何も変わりません。

実績を書くだけの日報も同じです。

訪問先と結果は残っても、書かれた事実が次の動きを決めるのに使われなければ、今日の動きは昨日と変わりません。

見込みのありそうなお客様の話を書いても、次の動きにつながらなければ、担当者はまた新しい先へ電話をかけ、その様子が日報に記録されていきます。

当社では、これは部下の問題ではなく、日報を部下の次の行動と成長のための道具と捉えていない、上司・経営陣の側の認識から起きることだと考えています。

この「計画」を、毎日書く日報に合わせて、翌日の動きの単位で捉え直すこともできます。

前の日の日報に書かれた事実が翌朝の行き先を決めているかどうかで、日報が計画として働いているかを確かめる、という見方です。

日報が記録としてしか使われていない会社では、営業管理システムを入れて記入の時間を短くしても、成果にはつながりにくいものです。

行き当たりばったりの動きを変えるために、経営者は明日の朝、まず何を見ればいいのか

行き当たりばったりの動きを変えたい経営者に、明日の朝できることを一つだけお伝えします。

いつもより少し早く出社し、営業担当者1人が事務所に来てから車に乗るまでの十数分を、少し離れた所から、話しかけずに見てください。

見るのは、前の日の日報が開かれるかどうかと、何を手にして車へ向かうか、の二つです。

それで行き先を決めた理由までは分かりませんが、日報の扱われ方を知る手がかりにはなります。

質問はせず、書類を並べたり印を付けたりもせず、見たことをあとで本人に伝えることもしないでください。

日報の様式にも、今は手を付けません。

「見るだけで、いったい何が変わるのか」という声が聞こえてきそうですね。

日報を捉え直す出発点は、日報が翌朝どう扱われているかを、上の側が自分の目で確かめることにあります。

この一歩を、試してみる価値があります。

もし、その営業担当者が、前の日の夕方に自分で書いた日報を開かないまま、ゆうべの電話のメモを手に車へ向かったとしたら——

その日報は、閉じたまま机の上にありませんか。

日報が翌日の動きを決めるものに変わると、会社の何が変わるのか

営業日報が翌日の動きを決めるものに変わると、営業担当者は朝、自分が書いた事実から行き先を選んで出かけるようになります。

そう、日報は、夜に上司が読むための報告から、朝に本人が次の動きを決めるための計画へと役割を変えるのです。

これは日報の様式や道具の話ではなく、「日報は計画のためのもの」という考え方の軸の話です。

営業の仕組みを支える行動管理も、日報に書かれた事実から次の動きを決めるという使い方があって、はじめて回り始めます。

考え方の軸と結び付かないまま様式だけを整えても、日報は実績を書くだけのものに戻っていきます。

経営者が細部まで指示しなくても営業担当者が自分で動けるのは、日報が翌朝の行き先を決める材料として読まれているときです。

あなたの会社の日報は、翌朝、書いた本人の手で開かれているでしょうか。

それとも、実績を書くだけのまま、夜に読まれて閉じられているでしょうか。

明日の朝、出かけていく営業担当者の手に何があるかを見ることは、日報がいまどちらの側にあるのかを考える、一つの手がかりになります。

日報の捉え方を見直す手がかりにしていただけたら幸いです。

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