仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第76話 なぜ、顧客の悩みは現象のことを言うと駄目なのか
第72話のコラムで顧客の悩みを現象で捉えないようにと書きました。そうすると、当社のクライアントの営業担当者から次の質問をいただきました。
「乾先生、顧客の悩みを現象で捉えると、顧客視点が製品視点になりやすいことと、技術開発にも影響を及ぼすことは理解できました。それ以外には影響を及ぼすことはないでしょうか」という質問です。
思わず、問題意識が高いなと心の中でつぶやいてしまいました。
というのも、コラムで書いている文章は、営業課長以下に伝えている内容で、営業部長以上には、違う視点をもうひとつ、お伝えしていたからです。
今日は、そのもうひとつのことについて話をします。
本題に入る前に少しだけ話を脱線させていただきます。
というのは、顧客の悩みと現象の違いについて、多くの方に話をしているのですが、ちゃんと理解できている人は、3割ぐらいなのが実情です。
7割の方は、言っている意味が分からないという感じです。
製品視点で20年以上、営業をしている方には、ほとんど理解してもらっていません。
ただ、営業経験が10年未満の方であれば、理解のスピードが速く、大きな商談で成果を発揮していただいています。
これらの経験から、若手の時から顧客視点の着眼点を身につけていただくために、守・破・離の守を凡事徹底するように支援しています。
本題に戻ります。
よって、今回話す内容は理解できなくても大丈夫です。そいうことも大事なのかなという視点で読んでください。
ただ、しつこいですが、営業所長クラスの方が、今から言うことを本当に理解できて、実践できるようになると成果に必ず直結します。
もうひとつのこととは、決済担当者が中堅企業以上の部門責任者の方であれば、顧客の悩みを現象にしないということです。
言っている意味は理解できるでしょうか。
中堅企業以上であれば、高額製品(サービス)になれば、決済は部門責任者になります。
そう、担当者ではなく、キーマンです。始めに話す人は担当者になりますが、決済する人は別の人になります。
サプリメント等の個人を対象にしているビジネスであれば関係はありませんが、法人を対象にしているビジネスでは、担当者と決済者が違う場合があります。
担当者と決済者が違う場合は、決済者は部門責任者の方が多いです。
ここまで大丈夫でしょうか。
そうすると、あることが理解できます。
現場に近い担当者ほど、悩みを話す時は、今起こっている現象を必ず話をします。なぜなら、今起こっていることに意識があるためです。
そう、今起こっていることです。
このことから、現場に近い担当者としか、話をしていない営業マンに顧客の悩みを聞くと、ほとんど現象のことが答えとして返ってきます。
でも、これは、仕方のないことです。なぜなら、現場の視点しか営業担当者にはないからです。
では、ここから本題です。もし、言っている意味が分からなければ、ニュアンスだけを抑えてください。
現場に近い担当者は、悩みを現象で話していることは理解できたかと思います。
では、決裁権を持ったキーマンは、悩みを現象で押さえているでしょうか。
実は、少し違います。第72話のコラムの事例を引用して説明します。
72話のコラムでは、プレス機械の事例を使いました。この事例では、現象を「プレスの打ち抜き速度」と書いていました。現場に近い担当者が話をしている現象です。
そして、顧客の悩みは、「多品種少量の中でいかに生産量を上げるか」と書いていました。
同じ製品でも、現象と悩みは違うことを72話のコラムでは理解をしていただくために、そのように書きました。
このことから、キーマンは、この悩みのどちらに重点を置いているかというと、現象ではなく悩みの方です。
「えっ、言っている意味が理解できないのですけど」という声が聞こえてきそうですね。
はい。7割強の方は理解できないです。なぜなら、一般書籍にもあまり書かれていないからです。半年かけて説明しても理解できない方もいます。(これは、当社の説明力不足によるものですが・・・)
なぜ、現象ではなく、悩みになるのか・・・。
その答えは、視座の違いです。
そう、視座です。
視座という言葉を初めて聞いた方は、ネットで視座を検索して調べてください。
簡単に説明すると、どんな姿勢や立場で物事を見るかということです。
プレス機械の悩みということは、現場に近い担当者もキーマンも同じ視点です。
そう、顧客の悩みです。ただ、視座という着眼点で見ると、現場に近い担当者が見ている高さとキーマンが見ている高さが違うので、同じ悩みでも答えが変わってきます。
なんとなく、言わんとすることは理解できるでしょうか。
これが理解できると、なぜ、当社がコンサルティングで提供価値シートを作っている意味の腹落ちができます。
悩みが現象にならないように視座を高めていただくことも狙いにしているからです。
そして、敢えてもうひとつ狙いがあるとしたら、中堅企業以上を狙っているということです。
何故かというと、実績の事例で活用できるからです。中堅企業以上の実績があれば、信用を一気に勝ち取ることができ、成約のスピードが加速するからです。
逆を言えば、小規模の顧客を対象にしていれば、顧客の悩みは現象でも全く問題はありません。
中堅企業以上を対象にして、担当者と決済権者が違う場合は、顧客の悩みを現象にならないようにすることをお勧めします。
このシンプルなことでも、組織対応出来ておらず、一部のできるセールスマンしか実施していない属人的対応になっている会社も多いです。
是非、営業所長以上であれば、今回の着眼点は持っておいてください。
顧客の悩みの視座という考えはお持ちでしょうか。
