仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第92話 部下にコーチングの指導を行えば、営業目標が達成しない理由とは
先日、スポットコンサルティングをしている会社の部門長から次の相談を受けました。
「乾先生の売れる営業組織コンサルティングの体系的な指導をまだ受けてはいないが、その前に営業課長クラスにコーチングの研修を受けさせて、部下指導に役立てようと思うが、いかがなものか・・・」という内容でした。
スポットコンサルでは、ちょうどその会社の営業会議を拝見させていただいていたので、なんとなくの雰囲気はつかめていました。
よって、現在の営業活動の取り組み状況をさらに詳しく聞かさせていただいた結果、コーチング研修には参加させないということで決まりました。
誤解のないようにお伝えをしないといけませんが、コーチング研修が悪いと言っているのではありません。研修内容の是非を問うているものでもありません。
当社は、コーチングの技法については、素晴らしいと認識しています。ただ、コーチングの技法を習得する前にある項目を押さえておく必要があります。
そうある項目です。
特に中堅企業以上に見られる傾向なのですが、課長職以上の方に部下の成長意欲を引き出すためにコーチングの研修やアドラー心理学等の研修を取り入れています。
研修等で知識を習得することは、素晴らしいのですが、それが現場と連動していなければ、研修は成果を生み出すことはありません。
百歩譲って、研修を長期的な人材育成のサプリメントという位置付けであれば、現場と連動しなくても良いでしょう。
そう、サプリメントです。
「一体、何が言いたいのですか」という声が聞こえてきそうですね。
研修等の知識習得は、現場での実践の場と連動をしていないといけないからです。
当たり前のことですよ。
では、今回の、コーチングの研修は、営業現場との何が連動していなかったのか・・・。
ちなみに、コーチングは、自発的な行動を促すコミュニケーション技法であると言われています。
当方も30代の時にNLPの心理学を勉強し、コーチングのさわりだけを勉強したので、その内容は素晴らしいということは理解しています。
ただ、コーチングを実施する前に、営業管理職として押さえておいて欲しい項目があります。
ちなみに、なんだと思いますか。
当社が、押さえておいて欲しい項目は、取組み課題を実施している時に部下が直面している壁はどのようなものがあるのかを理解しているかということです。
以下の図を見てください。
なんとなく、この図の言わんとすることは理解できるでしょうか。
多くの会社では、営業会議等で、事業計画等の進捗を考慮しながら、毎月の取組みテーマを決めています。(当社では、増販増客の施策シートを活用しています)
取組みテーマが決まれば、当然、先月と行動は多少なりとも変化します。行動に変化がないということは、いつもと同じ行動です。
いつもと同じ行動で、結果だけ変化を求めるのもおかしな話です。
当たり前のことを言っています。
で、上記の図を見ていただくと分かるのですが、人間は、初めの新しい行動には、意欲的に取り組もうとします。
よって、右肩あがりで矢印は進みます、しかし、時間の経過とともに、元の日常に戻ろうとする力が無意識に働きます。矢印が右肩上がりから折れて下がり、過去の日常に戻ります。
ダイエットを例に挙げれば、分かりやすいのですが、3日坊主です。
でも、この3日坊主が悪いのではなく、人間は3日坊主になるのは、当たり前であると知っておいて欲しいのです。
そう、3日坊主になるのは当たり前です。
一番大事なことは、3日坊主になるタイミングで、誰かが、元に戻る行動に対して壁になって、取り組んでいる行動に挫折せずに習慣になるように導いていかなければなりません。
この、導くという仕事が上司の仕事のひとつです。
ここまで話をすると、次の質問が出てきます。
「上司が壁になり、新しい取組みの行動を習慣づける重要性は、理解できるのですが、コーチング研修が不要であるということと、どのような関係があるのでしょうか」という質問です。
実は、大ありなのです。
これは、当社が、今まで関わってきた会社様に多かった傾向なので、このコラム読者には当てはまらないかもしれませんが、部下が今、どのような壁に当たっているのかを上司は認識をしていないということが多いからです。
あなたの会社はいかがですか。
ひどい会社になると、上司は取組みテーマさえも忘れて、部下の壁になる以前の問題だったりしています。
あるいは、壁を認識していると答える管理職の答えで驚くのが、「部下のモチベーションが落ちているので、飲み会等でモチベーションの向上に努める」という回答を平然と答えられる方もいます。
部下の壁がモチベーションと認識されているケースです。
このモチベーションという壁は、抽象度の内容が高く、一見、聞こえは良いのですが、部下が本当にぶち当たっている壁ではないケースが実情です。
例えば、部下が顧客のニーズを上手くヒヤリングできていない壁に当たっているのに、お客様が話しやすいように雑談を上手くなって笑いをしっかり取ろうという指導をされている会社もありました。
これも、部下がぶち当たっている壁を認識していれば、上記の内容でも百歩譲っても良いとするのですが、案外、部下がぶち当たっている壁を認識していなかったりします。
今回、コーチング研修の相談を頂いた会社様は、部下がぶち当たっている壁について、認識ができていませんでした。
上司が部下のぶち当たっている壁を認識していないのに、どのようにしてコーチングという手法を通じて、自発的な行動を生み出すのか疑問しか残らなかったためです。
そう、コーチングの手法を活用する以前の問題です。この問題に気付かずに、コーチングの手法の知識を勉強して部下指導が出来たつもりになっていれば、本末転倒です。
きつい言葉で言えば、上司が部下のぶち当たっている壁を認識するという職務を放棄しているだけです。
そして、上司は、次の言葉をよく言われます。忙しかったので、今月の取組みテーマの実践は、出来ませんでした。
物理的に不可能な場合は、仕方がありません。でも、第3者から見てたまに感じるのが、上司が部下の壁になるという仕事を放棄していることを隠すために、上司の言い訳として、「忙しい」という隠れ蓑の言葉を使っていることです。
今回のコラムは、少し、厳しい論調にはなっていますが、上司が部下の壁になるということの認識が薄く、コーチングやアドラー心理学等の手法に逃げていたからです。(コーチングやアドラー心理学を批判している訳ではありませんのでご注意ください)
あなたの会社では、取組みテーマを推進している際に、部下がどのような壁にぶち当たっているのか認識はしているでしょうか。
認識できていれば、一度、それを言語化してみてください。その言語化したものを課長職以上の役職の方同士で確認することをお勧めいたします。
この言語化したものが、抽象度が高く、聞き心地の良いものになっていればいるほど、恐らく壁の認識は間違っています。
壁を認識していないのに、営業会議に多大な時間をかけ、研修等で知識を習得しても成果は乏しくなります。
当たり前のことを書いていますが、案外このことが盲点になっています。
あなたの会社では、上司が部下がぶち当たっている壁を正確に認識しているでしょうか。
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