仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第149話 若手営業マンを意識的有能にする営業ノウハウが営業組織力を向上させる
「最近、中途採用で若手の営業マンを採用したけど、思うように成果が出ないので、即戦力になるには時間がかかり難しいよね」と語るA社長。
一方で、
「営業マンを採用するには、若手に限るね。新人でも半年あれば、そこそこの成果が出るし、こちらが気づいていなかった視点も勉強になるしね」と語るB社長。
さて、どうしてこのような発言の違いが起こるのでしょうか。
企業規模の違いでしょうか。業種の違いでしょうか。企業年数の違いでしょうか。
取扱商品は、異なりますが、両社ともメーカーで、規模や企業年数もほぼ同じです。若干B社の方が営業マンの平均年齢は若いです。よって、ほぼ似ている会社であると考えてください。
さて、あなたの会社では、若手営業マンを採用する時、上記のA社長とB社長のどちらの発言になるでしょうか。
A社長の発言であれば、売れる営業組織の構築は難しいでしょう。
「でも、B社長のような発言がでる会社は少ないでしょう」という声が聞こえてきそうですね。
では、なぜ、B社長のような発言ができるのでしょうか。
実は、そんなに難しいことをしている訳ではなく、あることを実践しているだけでした。
そのあることとは・・・。
意識的有能と無意識的有能の違いを理解して、意識的有能になれる方法をマニュアルに落とし込み誰でも成果が出る仕組みにしているだけです。
意識的有能と無意的有能の言葉を初めて聞く方もおられるかと思いますので、少し解説します。
この言葉は、当方が30代の時にNLP(神経言語プログラミング)を勉強した時に知りました。
鉄棒の逆上がりを例にして、無意識的有能と意識的有能の違いを説明します。
無意識的有能とは、逆上がりのやり方を意識しなくても、鉄棒につかまれば、自然と逆上がりができることです。
簡単に言えば、運動神経が良い子です。運動神経が良いので、逆上がりができている子を見れば、簡単に自分でもできるようになります。
意識的有能とは、逆上がりのやり方をひとつずつ覚えて、ワンステップことできるようになって、最後に逆上がりができるようになることです。
鉄棒の握り方、足の蹴上のやり方、鉄棒の腕の引き方、鉄棒にお腹をつけてお尻に力を入れるタイミング等をひとつずつマスターして、最後に逆上がりができるようになります。
これを営業に置き換えると、トップセールスマンの方は、無意識的有能の方が多いように感じています。鉄棒の例で言うと、運動神経が良い方です。元々営業センスが良いので、意識せずに感覚で営業のやり方を習得されていきます。
しかし、凡人の営業マンが無意識的有能になるには、元々営業センスが良いわけではないので、時間がかかります。
よって、意識しながらの練習量が必要になります。鉄棒の例のように、逆上がりのやり方をひとつずつ覚えて、ワンステップことできるよう練習をしなければいけません。
私自身が超凡人だったので、無意識的有能と意識的有能の違いをよく理解できます。
ひとつずつ意識してできる(意識的有能)になって、最後は無意識的有能になることができます。
そう、当たり前のことなのですが、凡人が無意識的有能になるためには、まずは、意識的有能にならなければいけません。(天性のトップセールスの資質を持っている人は除きます)
このことを理解した、B社長は、次のことに取り組まれました。
若手営業マンが営業活動で困っていることや、うまく話せていないことを全て紙に書き出し、その対応方法をマニュアル化にしていきました。
そして、マニュアル完成後は、まずはそのマニュアル通りにやっていただき、実践後は改善点をフィードバックして、改善点をすぐに実践を行う場(日時)を決めて行うという繰り返しを行なっていました。
そう、意識的有能になる訓練をしているのです。
格闘技映画等に出てくる訓練と同じです。主人公が成長するために、意識した訓練を行い、どんどん強くなっていきます。そして、最後は自分のオリジナルの技を編み出し、敵を倒します。
この訓練も自己流では、成長が鈍化しますので、基本の型を習得し、その型を実践し、師匠からフィードバックを貰い、最後は自分のオリジナルに仕上げていく感じです。(年齢がバレますが、ジャッキーチェンのカンフー映画のストーリーと同じです)
違う言い方をすれば、茶道などの道を極める、「守・破・離」と似ています。
B社長も、若手営業マンに営業を教えても、上手くいかなかった時期があったそうです。
その時は、こんな簡単なこともできないのかとイラついていたそうです。
でも、意識的有能を理解してから、若手営業マンができないことをイラつくのではなく、「チャンス」として捉えるようになったのです。
今日の若手営業マンは、どんな「チャンス」を持って帰ってくるのであろうという考え方に変わったそうです。
この「チャンス」をマニュアル化することで、組織営業力が高まったということは言うまでもありません。
そして、このB社長は、続けて私にこのような言葉を言うようになりました。
「乾先生、昔は短期間でトップセールスマンを育てることに一生懸命になっていました。でも、色々な研修に行かせても短期間でトップセールスマンを育成することはできませんでした」
「しかし、凡人の子を短期間で平均点以上のセールスマンに出来ることは可能であることが分かりました」
「それは、意識的有能にできるノウハウが会社にあるかないかだけの違いであることを理解したからです」
「当社に来る若手営業マンに罪はなく、当社の若手が育つ土壌の仕組みがどれだけできているかが重要であることが分かりました」
「よって、今は、若手営業マンが当社の組織営業のノウハウを作る上でのお手本になっています。何故なら、彼らが出来ないことを私に教えてくれるのですから」
「そして、最近では、若手の着眼点も分かり、逆に良い刺激になっています」
「若手に教わっている感じです。色々な人からも教わることができるのですね」
この言葉をB社長から聞いて、頭が下がる思いでした。
私自身も年を取るごとに、過去の経験則に頼るようになり、若手の視点が乏しくなっているので、B社長のように謙虚な姿勢が必要であることを痛感しました。
ちなみに、このA社長とB社長の違いを表すと以下の図になります。
この図から分かることは、トップセールスに頼っているA社長と組織営業を実践しているB社長の違いです。
中小企業の採用の現場において、優秀な人材の採用は簡単なようで難しくなっています。優秀な人は大手に行きたがるからです。
よって、中小企業の採用においては、ほとんどの方が凡人です。
でも、その凡人の方でも、会社に組織営業のノウハウがあれば、平均点以上売れる営業マンを短期間で育成することは可能です。
そう、トップセールスを育成するよりも、平均点以上売れる営業マンを育成した方が、売上向上の早道だったりします。でも、このことに気づいていない中小企業の経営者が多いのではないでしょうか。
B社長は、組織営業のノウハウに活路を見出されて、事業拡大に成功されました。
あなたの会社では、若手営業マンを育てるために、意識的有能にする項目は何になるでしょうか。
これが、組織営業力を高めるきっかけになれば幸いです。
