「営業の成約達人」を生み出す仕組みの作り方

代表 乾切抜き 仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第519話  なぜ、うちの営業の種まきは、来期の案件につながらないのか

「新規の種まきは、毎月ちゃんと回らせている」

「訪問件数も、先月より増えている」

「それなのに、見積もりの依頼が一向に増えない」

「来期の案件を聞くと、誰も社名を挙げられない」

一つでも思い当たるなら、原因は営業の頑張りではありません。

種まきの訪問が、訪問したその日で終わっている可能性があります。

このまま今期の刈り取りに追われ続けると、今期の数字がどれほど良くても、来期が始まった途端に、営業の予定表から新しい社名が消えていきます。

営業の種まきは毎月続けているのに、なぜ見積もりの依頼が増えないのでしょうか?

営業の種まきとは、まだ必要を口にしていないお客様を訪ね、次に会う日を決めて帰るところまでを指します。

初回訪問に行った時点では、種まきはまだ半分しか終わっていません。

先日、ある経営者との面談で、こんなやり取りがありました。

「種まきは毎月、一人十社と決めて回らせています」

「その十社のうち、次に会う日が決まっている会社は何社ありますか」

「えっ、そこまでは把握していません。行ったかどうかは、日報で確かめていますが」

「行ったかどうかを確かめているなら、それで十分ではないか」という声が聞こえてきそうですね。

ところが、訪問したかどうかを数えている会社ほど、種まきの目的がいつの間にか「会いに行くこと」そのものにすり替わっています。

訪問件数が目標になった途端、種まきは次につなげるための手段から、数字を埋めるための作業に変わります。

お客様にすでに必要が生まれている顕在需要なら、話は自然に種まき・育成・刈り取りの順に進み、見積もりまで行けば、あとは受注になるかどうかの段階です。

潜在需要のお客様の場合は、種まきの時点で提案に至らないことのほうが多く、提案できないからと次の訪問をあきらめると、その訪問は点の営業で終わります。

種まき・育成・刈り取りは、一続きの流れとして進む線の営業です。

どれだけ多くの点を打っても、次の日付で結ばなければ、見積もりの依頼は増えません。

種まきに行ったお客様を、なぜ他社に取られてしまうのでしょうか?

種まきに行ったお客様を他社に取られる会社では、ほぼ同じ順番で四つのことが起きています。

① 「また何かあれば」で席を立つ

初回訪問で先方の担当者から「今のところ、見直す予定はありません」と言われると、営業は無理に食い下がらず、「また何かあればお声がけください」と頭を下げて席を立ちます。

感じのいい訪問です。

ところが、次にいつ会うかは、先方の手帳にも営業の手帳にも書かれていません。

② 言われた案件が予定表を埋める

会社に戻れば、既存のお客様からの追加発注や仕様変更の依頼が待っており、どれも「今週中に」「月末までに」と先方が期日を切ってきます。

期日のある仕事から順に片付けていくと、期日を誰も決めていない種まき先への再訪問は、翌週にも翌月にも入りません。

そう、種まき先には期日がありません。

③ どの一覧にも名前が載らない

見積もりの依頼が出ていない会社は、案件の一覧に載る理由がないため、営業会議で社名が読み上げられることもありません。

訪問した営業本人でさえ、三か月もたてば、どの会社で何を聞いたのかを思い出せなくなります。

④ 他社の提案が先に届く

半年ほどたって、先方が包装の見直しを決めたとき、声がかかるのは最初に訪ねてきた会社ではなく、最後に顔を見せていた会社です。

種まきで訪ねたお客様は、次の日付を決めずに帰ったその日から、他社に取られる準備が始まっています。

【実録事例】種まきが一回きりで終わっていた会社は、どうやって来期の案件をつくったのでしょうか?

包装資材のメーカーで営業部を見ている社長から当社に相談があったのは、来期の計画づくりに入る少し前のことでした。

行ってきました、で終わる訪問

この会社では、新規の種まきを強化しようと、食品を製造する会社を中心に、営業部で数十社を回っていました。

営業会議に上がってくる報告は、「感触は良かったです。今は予定なしとのことでした」という形がほとんどでした。

会議で見ていたのは、月ごとの訪問件数(延べの件数)です。

一方で、営業一人ひとりの予定表は、既存のお客様からの追加発注と仕様変更の対応でびっしり埋まっていました。

種まきで回った会社は、見積もりの依頼が出ていないため、案件の一覧のどこにも載っていません。

半年後、訪問した会社の一つで、新商品の包装が他社に決まったことが分かりました。

営業が改めて伺うと、先方の担当者からはこう言われたそうです。

「去年お話を聞いたとき、また来てくださると思っていました」

社長は「行った会社を、なぜ取られるのか」と、しばらく言葉が出なかったといいます。

次の日付を持ち帰る訪問

当社が最初にお願いしたのは、種まきの数を、延べの件数ではなく軒数で数え直すことでした。

延べの件数では、同じ会社に三回通っても、三社に一回ずつ行っても、報告の上では同じ「三件」になるからです。

軒数で数え直してみると、二回目の訪問があった会社はほんのひと握りで、ほとんどの種まきが一回きりで止まっていました。

この数字を前にして、社長も営業も、ある逆説に気づかれました。

提案できる話がない訪問ほど、次の日付が要るということです。

見積もりの話が出ている顕在需要の先ならお客様のほうから次の連絡が来ますが、まだ案件になっていない潜在需要の先には、こちらが決めない限り次の日付は存在しません。

そこから、次の三つに取り組まれました。

ステップ1:報告を「次に会う日」で締める

種まき訪問の報告は、感触ではなく「次に会う日と、その日に持っていく話」で締める決まりにしました。

対象は、見積もりの話がまだ一度も出ていない、潜在需要の会社です。

日付は会社ごとに、帰り際に先方の事情を伺って決め、決まらなかったときは「決まらなかった」とそのまま書きます。

ステップ2:仕掛ける先だけの一覧をつくる

お客様から言われた案件の一覧とは別に、こちらから仕掛けるそのうち客だけを集めた一覧をつくり、次に会う日の早い順に並べました。

ステップ3:会議は仕掛ける側の一覧から開く

営業会議の冒頭では、仕掛ける側の一覧を先に開き、日付を過ぎたのにまだ行けていない会社を読み上げるようにしました。

読み上げるのは責めるためではなく、その会社の次の日付を、その場で決め直すためです。

数か月後、仕掛ける側の一覧には、来期に包装を見直す予定の会社の名前が並び始めました。

社長は、その一覧を見ながら、当社にこう話されました。

「今期の見積もりは、お客様が催促してくれる。来期の案件は、誰も催促してくれなかったんだな」

来期の案件を聞かれても社名が挙がらない状態は、種まきの帰り際から変えていけます。

その先で、種まき・育成・刈り取りを担当者任せにせず、組織として回していくための考え方と手順は、無料レポートにまとめています。

【無料レポートはこちら】

お客様から言われた案件と、こちらから仕掛ける案件を、同じ一覧で管理してよいのでしょうか?

お客様から言われた案件と、こちらから仕掛ける案件は、同じ営業の予定表に並んでいても、始まり方がまったく違います。

お客様から言われた案件は、問い合わせに応じるところから始まり、要望を伺い、見積もりを出し、受注へと進みます。

こちらから仕掛ける案件は、いつ会いに行くかをこちらが決めるところから始まります。

入口を決めるのがお客様か自分たちかという違いは、新聞記者の仕事にたとえると分かりやすいかも知れません。

新聞記者が書く記事には、相手が日時を決めて記者会見に呼んでくれる「発表もの」と、記者が自分で相手を追い続けない限り生まれない「独自ダネ」があります。

発表ものは、行けば必ず書くことがあるので、予定を入れ忘れる記者はいません。

独自ダネのほうは、そうはいきません。

取材相手に「今は何も話せない」と言われて終わる日のほうが、ずっと多い仕事だからです。

その帰り際に「では、来月の十日にもう一度伺います」と日付を置いて帰る記者だけが、相手が話せるようになったとき、その場に居合わせます。

日付を置かずに帰った記者は、後日、同じ話を他紙の一面で読むことになります。

腕のいい記者ほど、発表の予定表とは別に、追いかける相手の名前と次に会う日を並べたネタ帳(追う相手の一覧)を持っているものです。

営業に置き換えると、言われた案件は発表もので、そのうち客への種まきは独自ダネです。

世間で広く使われている案件管理の仕組みは、見積もりの依頼が出た顕在需要を追いかけるには向いていますが、潜在需要の先を追いかける作りにはなっていません。

二つを一つの一覧で管理すると、期日のある発表ものが上に並び、独自ダネは誰にも気づかれずに下へ沈んでいきます。

ここ、大事なので、もう一度書きます。

言われて発生した案件の管理と、こちらから仕掛ける先の行動管理は、分けて持つ必要があります。

仕掛ける側がごっそり抜け落ちた会社では、営業は毎日忙しく働いているのに、組織としての伸びが止まってしまいます。

営業の種まきを来期の案件につなげるには、明日から何を確かめればよいのでしょうか?

営業の種まきを来期の案件につなげるために、経営者に明日確かめていただきたいことは一つです。

先月、種まきで訪問した会社を、営業一人ひとりに一社ずつ書き出してもらい、各社の横に「次に会う日」を書いてもらってください。

数えるのは訪問件数ではなく軒数なので、同じ会社に二回行っていても一行です。

日付が決まっていない会社は、空欄のまま出してもらうのが大事なところです。

空欄を責めずに並べて見るだけで、誰の種まきが点の営業で止まっているかが、営業会議の場で気づきとして共有できます。

当社が月ごとに必ず確かめているのも、その月に訪問した先について、次はいつ訪問するのかという一点です。

多くの場合、空欄が並びます。

営業にその場で日付を埋めてもらうことはできても、埋めた日付を書き込み、来月も再来月も追いかけていく場所が、今の案件管理のどこにもないことに気づかれるはずです。

一枚書き出すことはできても、その日付を続けて追いかける形は、紙一枚からは生まれません。

まずは先月一か月分で構いませんので、書き出していただければ幸いです。

今期の刈り取りで手一杯の会社でも、来期の案件は間に合うのでしょうか?

今期の刈り取りで手一杯の会社でも、来期の案件はまだ間に合います。

来期の案件は、来期に入ってから生まれるのではなく、今月の種まきの帰り際に置いた一つの日付から始まっています。

書き出した一覧の空欄が一つずつ日付で埋まり始めると、営業会議で来期の話をしたときに、社名が挙がるようになります。

そう、次に必要になるのは、その日付を言われた案件とは別の一覧で持ち続け、毎月の営業会議で確かめ直していく形です。

あなたの会社では、種まきに行った会社の次に会う日が、言われた案件とは別の一覧に並んでいるでしょうか。

それとも、訪問件数の報告を聞いて種まきは回っていると安心したまま、今期の見積もり対応に目を奪われていないでしょうか。

来期の案件を聞いても社名が出てこない悩みを、次の日付が並ぶ営業会議へ変えていく道筋は、無料レポートで順を追って解説しています。

【無料レポートはこちら】