仕組みで売れる体制づくり「営業の成約達人」の仕組みの作り方-第146話 価格競争に陥り、営業部が商品力(技術力)頼みになっていませんか
先日、ある会社の営業会議にスポットコンサルティングの参加をしてきました。
経営者から、自社の営業会議の進め方について、第3者の客観的な意見を聞きたいとの要望があったからです。
その営業会議で、驚くべき光景を目の当たりにしました。
今年の4月以降、その会社の主力商品の見積もり提出金額が昨年実績を下回っているとの報告がありました。
そして、その対策を営業会議で考えるということなので見守っていると、営業マンから驚きの発言がありました。
その発言とは、以下の通りです。
営業マン:「4月以降の主力商品○○の見積もり提出金額が下がっているのは、当社の技術力が競合と比較して落ちているからです。もっと商品の技術力を高めて貰わないと、売れるものも売れなくなりますよ」
営業マン:「営業の月報を見てもらうと分かりますが、月間の訪問件数は減っていません。なのに、見積もり件数が減っているのは、商品の技術力が競合と比較して弱いからです」
さて、コラム読者のあなたは、この会社の営業マンの発言を聞いて、どのように思われるでしょうか。
「そう、そう、その通り」と思われるでしょうか。
「いや、他に問題点があるだろう」と思われるでしょうか。
コラムの文章にすると、客観的に物事が見られるので、他に問題点があるように感じますが、コンサル現場に入ると案外、商品の技術力という商品力の問題という声が多かったりします。
これは、商品の技術力に責任転嫁することで、自責ではなく他責にできるからです。
そう、責任転嫁です。
ちなみに、その会議では、3つの着眼点をホワイトボートに書き、問題点の整理を行いました。
参考までに、3つの着眼点を以下の図で記します。
この3つの着眼点は、正解・不正解を問うものではありません。このような着眼点があるという程度で見ていただければ幸いです。
製品が価格競争に陥った時の3つの着眼点です。
1つ目が、商品力(技術力)の向上です。
2つ目が、仕事におけるミッションの明確化です。
3つ目が、営業における戦略と戦術の実行策の検討です。
これは、私の経験則なので、絶対とは言えませんが、商品が価格競争に陥った時の対策で営業会議において議論されているのは、商品力(技術力)の向上と仕事におけるミッションの明確化です。
この会社も、1つ目の商品力(技術力)の向上でした。
誤解を招かないようにお伝えすると、別にこれが悪と言っているのではありません。
当社がお伝えしたいのは、自分達ができることの最善を尽くした後で、自分達ではできないことを他の部署にお願いするという順番が守れていれば問題はないということです。
他責ではなく、自責ができているかということです。
違う言葉で言えば、自立型の姿勢です。
自立型の姿勢とは、いかなる環境、条件の中においても、自らの能力と可能性を最大限に発揮して、道を切り開いていこうとする姿勢です。(福島正伸先生から教わった言葉です)
そうすると、自立型の姿勢であれば、上記の3つの着眼点でいえば、仕事におけるミッションの明確化と営業における戦略・戦術の実行策の検討になります。
この2つで、効果を発揮できるのは、仕事におけるミッションの明確化です。
なぜ、その仕事をしているのか、その仕事の意義を自身の腹に落とし込み営業活動をすることです。
ただ、これは、当社の経験則なのですが、会社組織の人数が10人未満の会社であれば、仕事のミッションの明確化は上手く機能するのですが、10人を越えると、上手く機能しそうで機能しなかったりします。
究極は、仕事におけるミッションの明確化が価格競争を避ける最大のポイントなのですが、当社のコンサルの実力不足のため、組織人数が10人を超える会社では、営業における戦略・戦術の実行策の検討を先に行なっています。
仕事のミッションの明確化は、分かったつもりで終わり、具体的な営業活動まで落とし込みできる方の人数が少なかったからです。(きれいごとで終わり、自分ごとにまでにはならなかったため)
しかし、営業における戦略・戦術は、やることが明確なので、具体的な営業活動に移しやすいことがメリットでした。
行動して、成功体験を踏まえていただければ、仕事におけるミッションというのを理解していただくことができるようになりました。
逆を言えば、仕事のミッションの明確化を行っても、体験が無ければ分かったつもりで終わってしまうということです。
よって、順序を入れ替えて実践をしていただいていました。(ただ、戦略・戦術の体験がミッションと連結していなければ意味はありません)
で、ここからが本題です。
一見、営業における戦略・戦術の実行策の検討と言えば、「なるほど」との声をいただけるのですが、営業における戦略・戦術の実行策を考えている会社が案外少ないのが実情のように感じています。
営業における戦略・戦術の実行策の検討には、考えるという作業が発生するので、考えるということを面倒くさがり、安易に行動できる価格競争か商品力(技術力)の向上に逃げているだけです。
「そんなことは、ないですよ。乾先生、私たちのことを馬鹿にするのもいい加減にしてください」という声が聞こえてきそうですね。
では、以下の質問をしますので、即答で答えることができるでしょうか。
1、年間売上で増販(既存顧客売上)と増客(新規顧客売上)のウェイトは。
(拠点経営の会社は拠点単位で)
2、増販のウェイトが60%以上の会社であれば、年間単位で増販の計画をどのように立案しているか、また、主力商品の年間の種まきの社数は何社か。
3、年間の増販と増客の施策(仕掛け)はどのようなものがあるのか。(最低5つ以上なければ、仕掛けがあるとは言えません)
4、主力商品を販売するために、最低限押さえておくべき顧客情報を営業マンは理解しているか。そして、どんな悩みを抱えている顧客がその主力商品を購入しているのかを理解しているか。(顧客の悩みは最低3つ以上言えなければ理解していることになりません)
5、主力商品の提供価値を10個以上、見える化したツール類はあるのか。(無ければ、営業マンにお任せの属人化になります)
6、商品特徴を説明するのではなく、顧客視点の需要を喚起する提案ツールや種まきツールを保持して、毎年、内容を改善しているか。
7、新人でも需要を喚起することができる質問形式の営業トークのトークスプリクトを持ち、現場で指導ができているか。
8、年間の行動計画と月間の行動計画を立案して、行動管理のツールを活用して、その差異を振り返る習慣が持てているか。
9、営業目標の未達の反省を会議で行うのではなく、未来に対しての行動の具体策を営業会議で時間を割くことができているか
等々、あまり書くと紙面の都合もあるので、これくらいでやめておきます。
言いたいことは、自分達が出来ることを放棄して、他責の商品力(技術力)の向上の他責に逃げていないかということです。
他責にすることは、ものすごく楽ですが、自分の成長にはなりません。自分の成長がない限り、会社の成長はありません。
あなたの会社では、営業における戦略・戦術の実行策について、どれだけ、自責として取り組んでいるでしょうか。
ここが自責として取り組めていなければ、商品力(技術力)の向上の他責を営業会議で発言することは論外であると思っていただければ幸いです。
