“誰でも成約の達人テンプレート”を活用した自立型の売れる営業組織の構築法とは!-第107話 営業マネジメントによる過去最高月商の落とし穴

6月初めに、1年前に支援が終了した会社の営業所長から次の電話をいただきました。
「乾先生、5月は全品目の目標を達成し、売上は過去最高の月商になりました」
結果だけ聞けば、素晴らしい報告です。この営業所は少数精鋭のため、さぞ忙しく一生懸命に働かれていたかと思います。
当方も、思わず、「よく頑張りましたね」と労いの言葉をかけました。
ただ、営業所長は、マネジメントも必要になってくるので、この言葉のやり取りだけで終わってはいけません。
そう、一般論で言われている、『結果の管理は三流、原因の管理は一流』を営業所長は押さえられているかということです。
そこで、当方は、その営業所長に次の質問をしました。
「また、翌日に電話をするので、次のことを調べておいてください」
「全品目の目標達成で素晴らしいのですが、主力製品の○○について、仕掛けを通じて売上が発生していたのか、それとも顧客からの急な問い合わせで売上が発生しているのかを確認しておいてください」
この会社では、行動管理システムによって、訪問の量と質を顧客別に把握することができるので、どのタイミングで種まきの価値提案を行い、育成のフォローをどのタイミングで行なっているかを把握することができます。
よって、主力製品を成約した顧客だけ、営業プロセスの状況を確認していただくことにしました。
翌日電話をして、驚くことが判明しました。
種まきは、1年前に確実に行っていました。ただ、その後の育成のフォローがほとんどできていないか、顧客から呼ばれてから訪問しているので訪問間隔が驚くほど空いていたりすることが分かりました。
営業活動が、完全に能動型から受動型に逆戻りをしていました。
これは、当方も反省せざるを得ない結果でした。
マネジメント支援ツールは、その会社にあったものが導入されていましたが、現実は日々の業務に忙殺されて、マネジメント支援ツールを活用できていそうでできていませんでした。
このことを、電話をいただいた所長も再認識し、浮かれモードから、反省モードに切り替わっておられました。
この結果、あくまでも予測ですが、営業会議も未来についての話ではなく、日々起こっている日常の問題対応で終始していたことが予測されます。
なぜ、このようなことをこのコラムで声を大にして取り上げているのか・・・。
特に製造業の方に多いのですが、
「昨年度、過去最高年商を上ることができました」
「先月、最高月商を上げることができました」
「本年度の受注は終了し、もう、次年度の納期しか受注を取ることができません」
等々の好景気の言葉をよく聞くためです。
ものづくり補助金を実施している中小企業庁も次のメッセージを発信しています。
「現在、工作機械の受注額が前年を大幅に上回って推移しているとの報道もな
されているところ、もの補助に応募される事業者におかれましては、機械装置
の納期を購入予定先の機械メーカー等に事前に確認するとともに、事業期間内
に事業を完了できるものに限って事業計画を策定いただきますようお願いいた
します。」
このことから、製造業の工作機械は景気の良さが伺えます。
景気が良いことから、日々の日常業務に忙殺されるかと思います。この時に『結果の管理』だけを行っていると、大きな落とし穴が待っています。
そう、知らず知らずのうちに、能動的営業を忘れ、受動的営業(顧客からの反応で行動する)にどっぷり浸かっているかもしれません。
ただ、仕事は忙しいので、一見、能動的に見えるかもしれませんが、実態は受動的営業だったりします。
営業職の一般社員は、目の前のことを一生懸命に取り組むことで良いかもしれませんが、営業所長になればマネジメントが機能しているのかを見抜く必要があります。結果で一喜一憂していれば、所長のマネジメントは機能していないと思って良いかもしれません。
マネジメントの機能が組織として働いていないと、ランチェスター戦略やブルーオーシャン戦略等の戦略論を採用しても、絶対に機能しないからです。
戦略論が機能していない理由として、経営陣がよくする言葉としては、「自社にとっては、時期尚早だった」、「自社にとって○○戦略は合わなかった」という声をよく聞きます。
当方からキツイ言葉であえて言えば、『時期尚早なのではなくて、マネジメントの土台の問題』であり、『売上増加に甘んじて、目の前の優先事項のマネジメントを職務放棄しているだけ』としか言えません。そう、流行りの戦略論や戦術論を導入する以前の問題であるということです。でも、この当たり前のことに気づかずに、営業所長に知識だけを詰め込もうとする経営幹部もたまに見受けます。
マネジメントの土台が機能してから、自社にあった戦略論等を取り入れれば良いと思っています。逆にそうしないと色々なことが機能せずに、何をやっても消化不良になると思います。
今回の事例は、警笛を込めて書いています。景気が良い今だからこそ、もう一度、マネジメントの土台をチェックすることをお勧めします。
この土台をおろそかにすると、2020年以降、過去最高売り上げだったものが、過去最低にもなりかねません。忙しい今だからこそ、出来る限りの種まきと育成を継続することを願っています。
あなたの会社では、結果の管理の落とし穴にハマっていませんか。
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追伸)来週のコラムで、増販増客の仕組み構築(戦略編)の冊子を無料で読めるようにしておきます。ページ数は、69ページです。戦術編を読まれた方は、戦略編とセットで読まれると、当方が何を大事にしているかを理解することができると思います。